Windows Info 第398回
Windows Subsystem for Androidの進化を確認 エクスプローラーからのファイルのドラッグ&ドロップが可に
2023年09月24日 10時00分更新
Windows 11で、Androidアプリケーションを起動するWindows Subsystem for Android(以下、WSA)は、頻繁にアップデートされている。今年2月に当時の状況を紹介した後(「AndroidアプリがWindowsで動く、「Windows Subsystem for Android」は今どうなってる?」)、先月までに5回のアップデートもあった。また、細かなバグも修正もされている。今回は、この半年の間の改良を見ていくことにしよう。
4月の更新ではPIPやメモリ占有量を減らした常駐が可能に
4月のアップデート(WSAバージョン2303.40000.3.0)では、「PIP(Picture-In-Picture)」と「Partially running」がサポートされた。PIPは、Android内では他のアプリなどの画面上に、小さなオーバーラップウィンドウでビデオ再生などを表示するものだ。
PIPを有効にすると、Windowsのデスクトップの右下、システムトレイの上にウィンドウが移動し、PIPウィンドウとして表示される。もともとAndroidアプリは、独立したウィンドウで表示されているので、あまり代わり映えしないが、PIP状態に入ったアプリを通常状態に戻す、あるいはPIPを許可しないという使い方はできるようだ。

Androidのサンプルプログラムを改良してPIPを用いるアプリを作成した。PIPウィンドウを開くと、システムトレイの直上のコンパクトなウィンドウとして表示される。通常のWSAのAndroidアプリウィンドウと異なり、タイトルバー右上に「戻る」ボタン(左矢印)がない
一方のPartially runningは、WSAの設定アプリ(Android用Windowsサブシステム)の「詳細設定」→「メモリとパフォーマンス」→「サブシステムリソース」の設定に追加された機能だ。従来は、「継続」「必要時」の2つしか設定がなく、WSAを常駐させるか、毎回起動するかの二択だったが、「部分的に実行中」(日本語版の表記)を選択すると、WSAを最小リソースで常駐させ、アプリの起動時間を短縮させつつ、メモリ専有量を減らすことができる。
WSAは、仮想マシンで実現されており、おそらく仮想マシンを起動状態にしたまま、メモリ割り当てを減らすなどして、リソース占有量を減らしたものと考えられる。
続いて、WSAバージョン2304.40000.5.0では、パッケージをインストールする前にウィルススキャンをする「パッケージ検証」機能と、URLからAndroidアプリを起動するAndroid AppLinkがサポートされた。
このAppLinkが有効だと、アマゾンから来たメールにあるURLなどをクリックすると、WSAが1回起動してからブラウザでページが開くことがある。これは「Windowsの設定」→「アプリ」→「Webサイト用のアプリ」で、「Windows Subsystem for Android」のトグルスイッチをオフにして、AppLinkを禁止すれば止められる。
ドラッグ&ドロップとコピー/貼り付けによる
ファイル転送に対応した
6月に配布されたWSAバージョン2305.40000.4.0以降では、Androidアプリに対して、エクスプローラーからのドラッグ&ドロップやコピー/貼り付けでファイル転送が可能になった。
ただし、Androidアプリ側は共有機能を公開している必要がある。Androidのアプリケーションの多くは、共有機能で情報を受け取ることができる。アプリは、インストール時にシステムにデータタイプ(MIMEタイプ)や呼び出しエントリポイントなどを登録する。これらはアプリの開発時に指定するもので、後から設定するものではない。
通常はAndroidの共有機能から起動され、アプリが起動してデータが読み込まれる。ドラッグ&ドロップによるファイル転送機能は、これを応用したものだ。ドラッグ&ドロップが実行されたときWSAがアプリの共有機能を起動してファイルを転送する。このため、Androidアプリ側が、ファイルタイプを共有機能で受け入れ可能でなければならない。同様に「コピー/貼り付け」でファイルを転送するには、クリップボードからの情報読み込みに対応している必要がある。
エクスプローラーなどでコピー、あるいはドラッグした対象データファイルのタイプと、Androidアプリ側の受け入れ可能なデータタイプが一致したときのみファイル転送機能が有効になる。

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