Intel(R) Innovation 2023開発者をサポートし、AI Everywhereを実現
インテル株式会社
AIが創出する「Siliconomy」:シリコンとソフトウェアの妙により新たに世界経済が成長する新時代が到来
ニュースハイライト
「4年間で5つのプロセスノードの実現」を目指すプロセス技術の計画が順調に進行。チップレット 相互接続の標準規格「Universal Chiplet Interconnect Express(UCIe)」を採用した世界初のマ ルチチップレット・パッケージを披露
電力効率とパフォーマンスの大幅な向上、288コアのE-coreを搭載したプロセッサーなど、次世代 インテル(R) Xeon(R) プロセッサーの新情報を公表。第5世代 インテル(R) Xeon(R) スケーラブル・プロ セッサーを12月14日(米国時間)に発表
12月14日(米国時間)に発表されるインテル(R) Core(TM) Ultra プロセッサーとともに、AI PCの新時 代が到来。インテル(R) Core(TM) Ultra プロセッサーは、インテル初となるニューラル・プロセシング・ ユニットを統合し、電力効率に優れたAIアクセラレーションとローカルのPC上での推論を実行
すでに一部顧客で利用が進んでいるAIをはじめとするハイパフォーマンス・アプリケーションの開 発とテストに向けたインテル(R) デベロッパー・クラウドの一般提供を発表
インテル(R) ディストリビューションのOpenVINO(TM) ツールキット2023.1版を含む、新規ならびに 今後予定されるソフトウェア・ソリューションを公開。AIの新たな可能性を導く開発者を支援
インテル コーポレーション(米国カリフォルニア州サンタクララ)は、今回で第3回目となる年次イベン ト「Intel(R) Innovation」において、クライアントからエッジ、ネットワーク、クラウドまで、AIをあらゆる環 境で実現させ(AI Everywhere)、それらの環境におけるすべてのワークロードの利用を一層、容易にす る数多くのテクノロジーを発表しました。
インテル コーポレーション CEO(最高経営責任者) パット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)は「AIは 世代交代の象徴であり、世界経済が成長する新たな時代の到来を告げるものです。そして、すべての 人々のよりよい未来にとって、コンピューティングを一層、無くてはならないものにします。この新時代 の到来は、開発者にとり、可能性の限界を打破することで、世界が直面している最難関の課題を解決す るソリューションを創出し、地球上のすべての人々の生活を豊かにできる、社会的にもビジネス的にも 極めて大きな機会を生み出します」と述べています。
イベントの基調講演において、ゲルシンガーは大勢の開発者を前に、インテルが今後どのようにAIの機 能をすべてのハードウェア製品に実装し、オープンでマルチアーキテクチャーのソフトウェア・ソリュー ションを通じてその利用を拡大していくのか、説明しました。また、「シリコンとソフトウェアの妙により 実現される経済成長」を意味する「Siliconomy(シリコノミー)」の推進におけるAIの重要性を強調しま した。今日、シリコンは5,740億ドルの市場を形成し、世界全体で約8兆ドル規模のテクノロジー経済を 支えています。
シリコン、パッケージング、マルチチップレット・ソリューションでの進展
私たちの取り組みの起点は、シリコンのイノベーションにあります。ゲルシンガーは「4年間で5つのプ ロセスノードの実現を目指す開発プログラムは順調に進行しており、Intel 7プロセスでの量産が始ま り、Intel 4プロセスによる製造もすでに準備が整い、さらにIntel 3プロセスは今年末の製造開始に向 け進行中です」と、述べています。
ゲルシンガーはさらに、Arrow Lake(開発コード名)で採用予定のIntel 20Aプロセスで製造された最 初のテストチップが形成されたウエハーを見せながら、同プロセッサーを2024年にクライアント・コン ピューティング市場に投入する計画を伝えました。Intel 20Aは、インテルのバックサイド給電テクノロ ジー「PowerVia」と新設計の全周ゲート型(GAA)トランジスター「RibbonFET」を採用する最初のプ ロセスノードになります。Intel 18AにもPowerViaとRibbonFETは実装され、2024年後半の製造開始 に向け順調に進んでいます。
ムーアの法則の前進に向けてインテルが注力しているもう1つの手段は、今週発表した画期的技術で あるガラス基板に代表される新しいパッケージング技術です。ガラス基板により、パッケージ内に実装 するトランジスターのスケーリング(微細化)を継続させ、AIなどデータ負荷が高く、ハイパフォーマン スが要求されるワークロードに求められる要件を満たすことができ、2030年以降もムーアの法則を順 調に進展させることができます。
またインテルは、UCIeを採用して構築したテスト用チップパッケージを披露しました。ムーアの法則の 次の波はマルチチップレット・パッケージが起こすと、ゲルシンガーは述べ、オープン規格によりIP統合 での摩擦が緩和されれば、次の波の到来は早まる可能性があります。昨年策定されたUCIeの標準化に より、異なるメーカーから提供されるチップレットであっても相互に連動し、今後広がる多種多様なAI ワークロードに対応した新規設計が可能になります。このオープンな仕様をサポートする企業は120 社を超えています。
今回披露したテストチップは、Intel 3プロセスで製造されたインテルのUCIe IPチップレットと、TSMC のN3Eプロセスノードで製造されたSynopsysのUCIe IPチップレットを組み合わせたものです。2つの チップレットは、先進のパッケージング技術であるエンベデッド・マルチダイ・インターコネクト・ブリッ ジ(EMIB)を経由して接続されます。今回のテストチップの披露を通じて、TSMC、Synopsys、Intel Foundry Services(IFS)がUCIeのオープン規格に基づくチップレットのエコシステムを積極的に支え る姿勢が示されました。
パフォーマンスの向上と、AI Everywhereの拡張
ゲルシンガーは、インテルのプラットフォームを通じて開発者がすでに利用できるAIテクノロジーの広 さとともに、今後1年で利用できるAIテクノロジーが飛躍的に広がる点を強調しました。
先頃、MLPerfで公開されたAI推論のパフォーマンスの評価結果を通じて、大規模で要件の厳しい生成 AIや大規模言語モデルを含む一連のAIワークロードのすべての環境におけるインテルのコミットメン トが一層、強固になりました。また、この結果から、AIコンピューティングの要件に対して、インテル(R) Gaudi(R) 2 AI ハードウェア・アクセラレーターが市場で唯一の有効な代替の選択肢となる点も注目さ れました。ゲルシンガーは、インテル(R) Xeon(R) プロセッサーと、4,000個の同アクセラレーターのインテ ル製品だけで構成された大型のAIスーパーコンピューターを主要顧客であるStability AIとともに構築 すると発表しました。
また、Alibaba Cloud 最高技術責任者(CTO)の周靖人(Zhou Jingren)氏は、AIアクセラレーション を内蔵した第4世代 インテル(R) Xeon(R) スケーラブル・プロセッサーを「Alibaba Cloudの生成AIと大規 模言語モデルの『Tongyi Foundation Models』」に適用した方法を解説しました。周氏は、結果的にイ ンテルのテクノロジーにより「応答時間の顕著な改善につながり、平均して3倍の高速化が見られた* 1 」 と述べました。
またインテルは、次世代インテル(R) Xeon(R) プロセッサーのプレビューを行い、同一の消費電力でパフォ ーマンスの向上とメモリーの高速化の両方を実現する第5世代 インテル(R) Xeon(R) スケーラブル・プロ セッサーを世界のデータセンターに向けて12月14日(米国時間)に提供開始すると発表しました。また、 E-coreの優れた電力効率を最大限に実現したSierra Forest(開発コード名)は、第4世代 インテル(R) Xeon(R) スケーラブル・プロセッサーと比較して、2.5倍のラック密度、2.4倍高速の消費電力当たりの性 能を実現し、288コア* 2を実装するバージョンも含め2024年前半の提供開始が予定されています。さ らに、パフォーマンス重視のP-coreをベースにしたGranite Rapids(開発コード名)は、第4世代 イン テル(R) Xeon(R) スケーラブル・プロセッサーと比較して2~3倍のAIパフォーマンスを実現し、Sierra Forest続いて、提供開始される予定です。
その先の2025年を視野に、Intel 18Aプロセスノードを採用した次世代のE-coreベースのインテル(R) Xeon(R) プロセッサー(開発コード名:Clearwater Forest)が予定されています。
インテル(R) Core(TM) Ultra プロセッサー搭載AI PCの登場
AIの活用は個人ユーザーにも広がっています。ゲルシンガーは、「AIはPC体験を根本から変え、再形成 と再構築を通じて、クラウドとPCの能力を連動させ、個人ユーザーの生産性とクリエイティブ性の限界 を解放します。まさに今、AI PCの新時代を迎えました」と述べました。
この新たなPC体験は、電力効率に優れたAIアクセラレーションとローカルのPC上で推論を実行でき るインテル初となるニューラル・プロセシング・ユニット(NPU)を統合した次期インテル(R) Core(TM) Ultra プロセッサー(開発コード名:Meteor Lake)とともに始まります。ゲルシンガーは、この新製品を12月 14日に提供開始すると明らかにしました。
インテル(R) Core(TM) Ultra プロセッサーは、インテルのクライアント向けプロセッサーのロードマップで の転換点となる製品であり、パッケージング技術「Foveros」を採用し、クライアント向け製品として初 めてチップレット設計を採用します。この最新プロセッサーは、NPUに加え、Intel 4プロセス技術によ る電力効率の大幅な向上や、CPUに内蔵されたインテルArcグラフィックスにより、外付けグラフィック スに匹敵するグラフィックス性能を実現します。
ゲルシンガーがステージ上でこれまでにないAI PCの使用例を次々と紹介するとともに、Acer 最高執 行責任者(COO)を務めるジェリー・カオ(Jerry Kao)氏も登壇し、インテル(R) Core(TM) Ultra プロセッサ ーを搭載した発売前のAcer製ノートブックPCを先行披露しました。カオ氏は、「Acerは、インテル(R) Core(TM) Ultra プロセッサー搭載プラットフォームのメリットを最大限に引き出せるAcerのAIアプリケ ーション・スイートの開発をインテルのチームとともに進めてきました。OpenVINO(TM) ツールキットと 共同開発のAIライブラリーの活用により、ハードウェアに息吹を吹き込みます」と述べました。
Siliconomyの主導権を開発者に
ゲルシンガーは「今後のAIは、より一層、容易な利用や拡張性、視認性、透明性、信頼性を高めていかな ければならない」と述べました。インテルは、開発者がこの未来の可能性を拓くための支援として下記を発表しました。
インテル(R) デベロッパー・クラウドの一般提供:インテル(R) デベロッパー・クラウドは、インテル(R) Gaudi(R) 2 AI ハードウェア・アクセラレーターなど、インテル最新のハードウェアとソフトウェアに よるイノベーションを活用して開発者によるAI導入の加速化を支援します。開発者は、第5世代 イ ンテル(R) Xeon(R) スケーラブル・プロセッサーやインテル(R) データセンター GPU マックス・シリー ズ 1100/1550などのインテル最新のハードウェア・プラットフォームを利用できます。開発者は インテル(R) デベロッパー・クラウドを活用して、AIやHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング) アプリケーションの開発、テスト、最適化のほか、パフォーマンスと効率性を両立させながら小~ 大規模のAIの学習、モデルの最適化、推論のワークロードを実行できます。インテル(R) デベロッパ ー・クラウドは、マルチアーキテクチャー/マルチベンダー対応のプログラミング・モデルの oneAPIによるオープンなソフトウェア基盤をベースにしているため、ハードウェアの選択肢や独 自のプログラミング・モデルにとらわれない自由度を備え、演算処理の高速化や、コードの再利用 と移植を可能にします。
インテル(R) ディストリビューションのOpenVINO(TM) ツールキット2023.1版の提供:OpenVINO (TM) ツールキットは、クライアント・プラットフォームやエッジの開発者にとって、インテル上でのAI 推論の実装やランタイムを展開する際の選択肢になります。今回のリリースには、複数のオペレー ティング・システムや異なるクラウド・ソリューションの包括的な統合に最適化された事前学習済 みのモデルが含まれています。このモデルには、Metaが開発したLlama 2をはじめとする多様な 生成AIモデルなどが含まれています。イベントの講演では、ai.ioやFit:matchをはじめとする企業 がOpenVINO(TM) ツールキットを活用したアプリケーションの高速化のデモを行いました。ai.ioは アスリートのパフォーマンスの向上を支援し、Fit:matchは、小売店やウェルネス企業が斬新な手 法で消費者が身体に最もフィットする衣服を見つけられるようにしています。
エッジネイティブのソフトウェア・プラットフォーム(Project Strata)の開発:2024年にリリース 予定のこのプラットフォームでは、モジュール型のビルディング・ブロックと質の高いサービスとサ ポートが提供されます。このプラットフォームは、インテリジェント・エッジやハイブリッドAIに求め られるインフラストラクチャーの拡張に適した水平型のアプローチを採用しており、さらにインテ ルとサードパーティーによる業界特化型アプリケーションのエコシステムの形成にも貢献します。開発者はこのソリューションにより、分散型のエッジ・インフラストラクチャーやアプリケーション の開発、展開、運用、管理、接続、セキュリティーの確保が可能になります。
今回のIntel(R) Innovationの発表は、始まりにすぎません。米国太平洋標準時間の9月20日(水)午前9 時30分から、インテル コーポレーション 最高技術責任者(CTO)グレッグ・ラベンダー(Greg Lavender)による基調講演が行われます。ラベンダーは、AIのチャンスを切り拓き、AIとセキュリティー の融合を加速させていくための開発者支援の方策を解説します。パット・ゲルシンガーを含む基調講演(英語)はIntel Newsroom(https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/newsroom/home.html )にてオンライン(ライブストリームならびにリプレイ)でご視聴いただけます。また、期間中の各種発表資料(英語)も同サイトで公開します。
注記:
1: Intel does not control or audit third-party data. You should consult other sources to evaluate accuracy.
2: Based on architectural projections as of August 21, 2023 relative to 4th Gen Intel Xeon processors. Your results may vary.