青い日記帳の推し丸アート 第10回

有楽町駅前の「SusHi Tech Square」にて無料アート展示第一弾! 次世代アート展「わたしのからだは心になる?」 クリエイティブディレクターの田尾圭一郎氏に直撃!

文●中村剛士

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小鷹研理《ボディジェクト指向#03 <変身>》

 2023年8月30日、JR有楽町駅前の旧無印良品(交通会館の前)に「SusHi Tech Square」(東京都千代田区丸の内3-8-3 旧東京スポーツスクエア)がオープンしました。

SusHi Tech Square 外観

SusHi Tech Square 外観

 最先端のテクノロジー、多彩なアイデアやデジタルノウハウによって、世界共通の都市課題を克服する「持続可能な新しい価値」を生み出す「Sustainable High City Tech Tokyo = SusHi Tech Tokyo」を推進する取組の一環として東京都主導で開設されたスペースです。東京の持つ強み・ポテンシャルをワンブランドで展開することで、東京の価値を国際社会に浸透させることを目的とした施設が「SusHi Tech Square」なのです。

 3階建ての「SusHi Tech Square」の1階フロアには「自由な活動が可能な空間 “Space”」を設け、期間ごとにテーマを設定し体験型メディアアートの展示を展開しています。

 “Space”の記念すべき、第1期展として「わたしのからだは心になる?」展が11月19日まで開催されています。

<公式サイト>https://sushitech-real.metro.tokyo.lg.jp/first

展示入り口

展示入り口

 これまでの展覧会の概念とは一線を画す新たな次世代アート展「わたしのからだは心になる?」展クリエイティブディレクターの田尾圭一郎氏にお話を伺ってきました。

中村:有楽町駅前に新たにオープンした「SusHi Tech Square」のこけら落とし展「わたしのからだは心になる?」展は、どのような展覧会なのですか?

田尾:「SusHi Tech Square」1Fではこれから、メディアアートやテクノロジーの展示を通して、様々な人に都市生活や自分の未来を考えてもらう企画が行われます。その第一期展覧会が「わたしのからだは心になる?」展で、からだをテーマに8組のアーティストに展示してもらいました。

小鷹研究室as 注文の多いからだの錯覚の研究室

小鷹研究室as 注文の多いからだの錯覚の研究室:小鷹研理《ボディジェクト指向#03 <変身>》(写真左)、宇佐美日苗・小鷹研理《あなたは今、しています。A3 / A6》(写真右)

ノガミカツキ

ノガミカツキ《仮想支配》

中村:銀座、日比谷からもほど近い、いわば東京のど真ん中で開催している今回の展覧会。どんなコンセプトや考えで作られたのでしょうか。

田尾:東京には新しいものやエンタメ・刺激が溢れかえっていて、情報を追いかけることに疲弊し食傷し、自ら想像する余裕を持つことは困難です。もちろんここも新しい施設ではあるのですが、そのひとつというよりは、自分のなかにずっとあるモノを発見したり、熟考して育てるような、主語を取り戻すソフトインフラになってほしいという思いから企画立案しました。

中村:東京都主導で開設された新スペースで、それはかなりチャレンジングな内容ですね。

田尾:確かにそうかもしれません。行政やクリエイター、有識者が牽引する未来もあるけど、ぼくら一般の生活する一人ひとりが紡ぐ、小さな日常的な未来もあって、それらを少しでも主体的に前向きにしたい──という願いから実現させた展覧会なのです。

中村:具体的には一般的な展覧会とどのような違いがあるのでしょう。

田尾:会場には「主語を取り戻すソフトインフラ」となるための工夫が様々に用意されています。作家の考えや未来への想像を助ける問いかけが各作品には掲出されており、考えを話したり整理したり自由に過ごせる余白地のプレイグラウンドが用意されています。

プレイグラウンド

プレイグラウンド

プレイグラウンド

 また対話しながら解説したり、解釈の伴走をしてくれるアートコミュニケーターが常時います。鑑賞ツアーは毎日、ワークショップやイベントは毎週末行われます。

アートコミュニケーター

アートコミュニケーター

 そして、展覧会全体に通底する「わたしのからだは**になる?/わたしの心は**になる?」という問いの答えを各々に書いてもらうボイスウォールが中央にはあります。

ボイスウォール

ボイスウォール

 これらの一つひとつが、生活の未来像を鑑賞(受容)するのではなく、主体的に想像することを鑑賞者に促していくためのものです。

中村:お話を聞いているだけでも、アートを主体的に捉える仕掛けが多く用意されていて、なんだかワクワクしてきますね。

田尾:そう言ってもらえると嬉しいです!これを読んでいる皆さんも是非有楽町の会場までいらしてください。有楽町駅前・入場無料でクーラーも効いていてWi-Fiや電源もあります。

中村:最後に読者の皆さまにメッセージをお願いします。

田尾:病気になったら病院に行くように、教育を受けに高校や大学に行くように、立ち止まりたいときや視野を広げたいときに訪れる場所として、ショッピングやビジネスのついでに「SusHi Tech Square」オープニング第1期展覧会「わたしのからだは心になる?」展を普段づかいしてもらえたら嬉しいです。

「わたしのからだは心になる?」展 チラシビジュアル

「わたしのからだは心になる?」展
会期:2023年8月30日(水)〜11月19日(日)
休業日:月曜日(ただし9月18日、10月9日は開場)、9月19日、10月10日
開場時間:平日 11:00~21:00(最終入場20:30)、土休日 10:00~19:00(最終入場18:30)
入場料金:無料
会場:東京都千代田区丸の内3-8-3
SusHi Tech Square 1F Space
・JR山手線・京浜東北線「有楽町駅」下車[京橋口]徒歩1分
・東京メトロ有楽町線「有楽町駅」下車[D9出口]すぐ
・東京メトロ有楽町線「銀座一丁目駅」下車[1出口]徒歩3分
公式サイト:https://sushitech-real.metro.tokyo.lg.jp/first

【クリエイティブディレクター 田尾圭一郎】
アートの企画・編集・コンサルティングを手掛ける「田尾企画 編集室」代表。
博報堂を経たのち、美術出版社「美術手帖」ユニットにて企業や自治体とのアートプロジェクトの企画、地域芸術祭の広報支援、雑誌・書籍の編集、展示企画などに携わる。
主なプロジェクトに「文化資本経営促進に関する調査研究事業」(経済産業省)、「文化経済戦略推進事業」(文化庁)、「ZOOOOOM ART PROJECT」、「美術手帖×VOLVO ART PROJECT」など。ウェブメディア「prepar.art」編集主幹。

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