あっさりと裏切られたiPhone 15への淡い期待
9月12日(現地時間)にアップル本社、スティーブ・ジョブズシアターで開催された毎年恒例のスペシャルイベント。予想通り、USB-Cに対応したiPhone 15シリーズが発表となった。
個人的にはiPhone 15に淡い期待を2つ抱いていたのだが、あっさりと裏切られてしまったのがとても悲しい。とはいえ、アップルの考え方も十分に理解できたりもする。
1つ目の淡い期待がiPhone 15の「ミリ波対応」だ。ミリ波とは、5Gのなかでも周波数の幅がとても広く、超高速で通信が可能となっている。
iPhoneでは、アメリカ市場向けのモデルでミリ波に対応している。これは、アメリカでトップのキャリアであるベライゾンが、なぜかミリ波で5Gエリアの展開しようとしていたこともあり、アメリカではミリ波対応が必須となっているようだ。
日本ではXperiaやGalaxy、AQUOSなどの、Androidメーカーの各ハイエンドモデルがミリ波に対応している。iPhoneもAndroidに対抗しようと日本でもミリ波に対応してくるかと思いきや、今年も非対応で華麗にスルーされてしまったのだった。
実際のところ、ミリ波は超高速で通信ができるというメリットがあり、5Gの本命とも言われているが、とにかく周波数が高いので、電波として扱いづらいとされている。
そもそも数百メートルも電波が飛ばず、しかも、基地局とスマホの間に人が多く居たりすると、あまりつながらないなんて事もある。ミリ波を活用するのは、キャリアとしてもかなり至難の業のようなのだ。
実は、総務省が今年1月に発表した資料によると、2022年3月末現在で、4キャリアで5000以上のミリ波基地局があるものの、人口カバー率は4キャリアとも0.0%、データの流れる量であるトラフィック量も0.2%しかないという。
キャリアとしては、つながりやすいローバンドでエリアを広げつつ、Sub6という周波数帯でトラフィック量を裁いていくというエリア設計を立てているようだ。ミリ波は扱いにくいため、どうやらあまり期待している感じもしないし、積極的に基地局を打っていこうという前のめり感はほとんど感じられないのだ。
本来、Androidのハイエンド機種が売れて、ミリ波対応のモデルが普及すれば状況は変わるのだが、総務省による割引規制もあって、ハイエンドモデルは苦戦している状況だ。
アップルとしても、ミリ波に対応すれば製造コストも上がる。日本でミリ波の基地局がほとんどないのであれば、コスト高を回避するためにも、日本市場向けでミリ波に対するという選択はいまのところないのだろう。
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