◆性能は着実に向上も、それをフルに活かせるアプリの不足が惜しい
性能面を確認すると、Zenfone 10はチップセットにクアルコム製の最新ハイエンド向け「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載。メモリーは8GBまたは16GB、ストレージは128GB/256GB/512GBとモデルによって異なるが、コンパクトながらハイエンドというZenfoneシリーズの特徴は、今モデルも健在であることは間違いない。
それゆえ、各種ベンチマークのスコアやゲームのグラフィック設定を確認しても、ほかのSnapdragon 8 Gen 2搭載モデルと同等の性能を持つことは確かだ。AAAクラスのゲームが快適に動作するだけでなく、放熱に関してもZenfone 9同様力が入れられており、長時間プレイしてもプレイに支障が出るほど熱くなることはなかった。
またディスプレーのリフレッシュレートは144Hzにまで対応するが、システム設定を「高性能」にしても120Hzにまでしか上げることができない。最大の144Hzにまで上げるにはゲームプレイ中に「Game Genie」を呼び出して設定する必要があるが、対応するゲームでないと有効活用できない。
また、Snapdragon 8 Gen 2搭載モデルはリアルタイムレイトレーシングに対応するので、Zenfone 10は「3DMark」で最近追加されたリアルタイムレイトレーシング対応のベンチマーク「Solar Bay」の実行もできた。ただ、こちらもまだAndroidでレイトレーシングに対応したゲームを見かけないことから活かせる場面がなく、ハードの性能進化にソフト側が間に合っていないのは惜しいと感じた。
性能の話に戻ると、バッテリー容量は4300mAhでこちらはZenfone 9と変わっておらず、コンパクトモデルとしては容量は大きいといえる。また、FeliCa(おサイフケータイ)やIP68の防水・防塵性能も従来通り備わっており、国内での利用には安心感がある。
最後に通信機能に関してだが、Zenfone 10はデュアルSIM対応だがSIMは両方とも物理SIM(nanoSIM)で、eSIM対応は見送られた。5Gにも対応するが、ドコモが使用している4.5GHz帯(n79)に対応していないのは惜しい。
【まとめ】前機種からの変化は少ないが価格の維持はうれしい
まとめると、Zenfone 10はコンパクト・ハイエンドなスマートフォンにジンバル付きカメラを組み合わせ、アクションカメラ的に活用するという、Zenfone 9で確立した独自のスタイルをしっかり踏襲。それでいてより手ブレ補正に力を入れることで特徴的な要素をさらに強化した、順当進化モデルであることは間違いない。
そのぶんサプライズ要素が少ないのは残念だが、円安が進行しスマートフォンの価格が高騰する中にあって、最も安価なメモリー8GB、ストレージ128GBのモデルで9万9800円という価格を維持したのはユーザーにとってうれしいところ。一時撤退説が出たZenfoneシリーズだが、ASUSもその噂を否定しているだけに、今後のシリーズ展開にもぜひ期待したい。
ASUS「Zenfone 10」の主なスペック | |
---|---|
ディスプレー | 5.9型有機EL(20:9)144Hz対応 |
画面解像度 | 1080×2400 |
サイズ | 約68.1×146.5×9.4mm |
重量 | 約172g |
CPU | Snapdragon 8 Gen 2 3.2GHz(8コア) |
内蔵メモリー | 8/16GB |
内蔵ストレージ | 128/256/512GB |
外部ストレージ | ―― |
OS | Android 13(ZenUI) |
対応バンド | 5G NR:n1/2/3/5/7/8/12/20/28/38/41/77/78 LTE:1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19 /20/26/28/34/38/39/40/41/42 W-CDMA:1/2/4/5/6/8/19 4バンドGSM |
無線LAN | Wi-Fi 6E |
カメラ画素数 | 約5000万画素 +約1300万画素(超広角) イン:約3200万画素 |
バッテリー容量 | 4300mAh(30W対応) |
Qi | ○ |
FeliCa/NFC | ○/○ |
防水/防塵 | ○/○(IP68) |
生体認証 | ○(側面指紋+顔、マスク対応) |
SIM形状 | nanoSIM×2 |
USB端子 | Type-C |
イヤホン端子 | ○ |
カラバリ | ミッドナイトブラック、コメットホワイト、スターリーブルー、エクリプスレッド、オーロラグリーン |
価格 | 9万9800円(8/128) 11万2800円(8/256) 13万4800円(16/512) |
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