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eスポーツからリアルレースへ 2年目を迎えた「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP」

2023年09月28日 11時00分更新

文● 中田ボンベ@dcp●編集ASCII STARTUP

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 自動車メーカーのマツダが「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP」というeモータースポーツ大会を実施している。本大会は上位入賞者にリアルモータースポーツへの挑戦機会が与えられるのが特徴。2022年大会の成績優秀者の中からは、リアルレースでも上位入賞する選手が出ているなど、バーチャルとリアルをつなぐイベントとして大きな注目を集めている。

「グランツーリスモ7」を用いたeモータースポーツ大会

「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP」は、人気レースゲーム「グランツーリスモ7」を用いたeモータースポーツ大会だ。2022年10月から12月にかけて第1回大会である「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP 2022」を実施。今年も2023年10月15日~12月10日を中心に「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP 2023」が実施される。

 本大会は、一般参加の「Challenge Class」と、6歳以上17歳以下が対象の「U-17」の2部門のオンライン大会が行なわれる。「Challenge Class」はマツダ車両ワンメイクによる全5戦のオンライン対戦で競うルール(最終戦のみTOYOTA、SUBARU車両も含めた3社から選択可能)。「U-17」は車種とコースは固定で、タイムのランキングを競うタイムアタック形式で行なう。

2022年大会の模様

 その他、本年は新たにサーキットで開催するファンイベントの特設会場でオフライン大会を実施することや、リバリーデザインコンテスト「MAZDA SPIRIT RACING Livery Design Contest」も開催される。リバリーデザインは「グランツーリスモ7」の人気コンテンツということもあり、さまざまな個性的なデザインの投稿が期待される。

リアルレースに挑戦する機会が得られるイベント

 マツダでは2022年4月より「MAZDA SPIRIT RACING」というブランドを展開している。このブランドは、「モータースポーツをより身近で手軽に楽しんでもらうこと」や「ジャンルを問わずスピードスポーツを楽しんでもらうこと」をテーマに、モータースポーツを楽しむ人やそれを応援する人と一緒になって盛り上げていくことを目指している。

「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP」は、「MAZDA SPIRIT RACING」というブランドの認知拡大を目的に開催されているが、本大会の最大の特徴が「リアルレースに挑戦する機会を得られる」という点だ。

 マツダでは、「バーチャルからリアルへの道」をテーマにしたチャレンジプログラムを実施しており、「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP」はその活動の一環。本大会の「Challenge Class」で成績上位に入った20名は、次のステップである「REAL CIRCUIT EXPERIENCE」へと進む。ここでは実際のサーキット(昨年は筑波サーキットにて開催)で1泊2日の走行会を実施する。

筑波サーキットでの走行会

 さらに、「REAL CIRCUIT EXPERIENCE」で優秀だった選手は「REAL RACE CHALLENGE」にステップアップ。事前練習を行った後、なんと本当のレースシリーズに参戦するという仕組み。本物のサーキットを舞台に、実車で走れるだけでなく、本物のレーサーになれるという車好きにはたまらないプログラムだ。

バーチャルをきっかけにリアルへの興味を持つ人が増えている

「バーチャルからリアルへの道」を切り開くことができる「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP」は大きな注目を集めており、2022年の第1回大会は一般参加部門に3000名が出場。U-17部門にも同じく3000名が参加と、国内の多くの車好き、またレースゲームファンが集まった。

 本プロジェクトを担当するカスタマーサービス本部 エンゲージメント推進Gr.の油目雅史氏によると、「グランツーリスモの公式戦におけるマツダ車のシェア拡大や、オンライン大会へ多くの方に挑戦頂けたことなど反響は大きい。SNSや動画配信サイトでも参加者の皆さまに大会をお楽しみ頂いている模様が数多く投稿されて盛り上がった」という 。

 また、「実際に本プログラムを経験したプレーヤーが、リアルのモータースポーツイベントにご自身で参加される機会も増えている」とのこと。『MAZDA SPIRIT RACING GT CUP』の目的のひとつである、「バーチャルをきっかけにリアルへの興味を持ってもらう」という流れが順調に生まれ始めている。

プロジェクトを担当する油目雅史氏

 油目氏に今後の意気込みを聞いたところ、「本大会を通じてリアルモータースポーツの楽しさや、誰でも挑戦できるということを伝えていきたい。そしてバーチャル・リアル問わず「MAZDA SPIRIT RACING」にはモータースポーツを仲間と楽しめる場があることを知っていただき、より多くの方にこの素晴らしい世界をご体感いただければと考えている。そのためにも、今後も『MAZDA SPIRIT RACING GT CUP』を継続させていきたい」とのこと。

 ちなみに、「実際のレースでも安全に速く走れるのか」と疑問に思っている人もいるだろう。2022年大会のチャレンジプログラムから「REAL RACE CHALLENGE」へと進んだ参加者(9名)の成績を聞いたところ、デビューレースで3位に入るなど上々の成績を残しているとのこと。

 また、すべての参加者がこれまで事故やトラブルなくモータースポーツを楽しめていることも、危険なイメージがあるモータースポーツにおいて「安心、安全に誰もが楽しめる」ということを体現している。これも本取り組みの特筆すべき点であるといえる。

 自動車メーカー開催のeモータースポーツ大会では国内最大級の規模というだけでなく、「リアルレースに挑戦するという機会が得られる」ということでも大きな注目を集めている本大会。モータースポーツへの新たな取り組みの今後に期待したい。

Gran Turismo 7: TM & ©️2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.

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