ワイモバイルからソフトバンクへの誘導が今後の課題
もうひとつ、ユーザーがわかりやすく便利に感じる点がオンラインでの使い勝手だ。
ワイモバイルでは店舗業務を100%、オンラインで実現しようと取り組みを進めているという。現在の達成率は98〜99%で、2023年度中にはすべての業務がオンライン化できるようになるという。
ソフトバンクやワイモバイルユーザーがオンラインでの契約変更に慣れてしまうと、それこそオンライン専用ブランドで安価なLINEMOに移行してしまう気もしなくもない。
寺尾氏は「確かにそうしたユーザーはいる。ワイモバイルやLINEMOへのブランド間移動がゴロゴロとおきている。ただ、実際に行ったり来たりするユーザーはそこまでは多くない。
ワイモバイルは家族割や固定セット割がある一方で、LINEMOはそうした割引はない。利用状況に合わせて選んでもらえるのではないか」という。
同社ではソフトバンク、ワイモバイル、LINEMOという3つのブランドを展開しているが、寺尾氏は「ソフトバンクは大容量でPayPayが一番お得に使えるブランド、ワイモバイルは中〜低容量をリーズナブルに提供するブランド、LINEMOはオンライン専用ブランドとして、それぞれの個性を出して提供していく」と語る。
ワイモバイルで他社からユーザーを獲得するという点では大成功を収めている。あとは、いかにワイモバイルからソフトバンクブランドに切り替えさせ、一人あたりの通信料収入を上げるかが、今後の課題と言えそうだ。
筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)
スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。
※お詫びと訂正:初出時、累計契約数1000万契約を突破したのは昨年度としていましたが昨年度末の誤りでした。お詫びするとともに訂正します(9月1日19時12分)
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