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経済産業省の令和5年度「ヘルスケア産業国際展開推進事業」として採択決定

エレコム、遠隔で新生児の蘇生を援助するシミュレーターを途上国に促進

2023年08月23日 10時20分更新

文● ASCII

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遠隔新生児蘇生法講習シミュレーター

 エレコムは8月22日、経済産業省の公募による令和5年度「ヘルスケア産業国際展開推進事業」の採択事業者に選定されたことを発表した。

 ヘルスケア産業国際展開推進事業では、戦略的な海外展開を計画・実施する事業者の基礎調査および実証調査を経済産業省が補助することで、日本のヘルスケア製品・サービスにおける海外展開の推進を目的としている。

 同社は本プロジェクトにて、カンボジア・ネパール・コンゴ民主共和国で現地ネットワークを構築している団体との共同事業により、「遠隔新生児蘇生法講習シミュレーター」の訓練用デバイスが各国の医療教育プログラムへ組み込まれる可能性や、デバイスが普及する可能性を検証するための情報収集を実施している。

背景

 現在、世界の5歳未満児の死亡率は大幅に減少している。一方で新生児(生後28日未満)の死亡率の減少は緩やかで、5歳未満児までの死亡率の中で最大数を占めるという。

 さらに、全新生児の15%程度が出産直後に呼吸・循環が不安定で仮死状態となり、適切な新生児蘇生法によってその90%以上を救命できると言われている。

 そのため、新生児蘇生術を習得した医療従事者が出産の場に立ち会うことが求められているが、多くの新興国では、新生児蘇生法を習得している医療従事者は少なく、周産期医療を提供する施設においても、新生児蘇生法の訓練に利用できる教育設備や習熟した指導者が不足し、研修内容も実践的ではないなどの課題を抱えているという。

 そこで同社は、現地にて実際にデモンストレーションすることで訓練用デバイスへの関心やニーズを把握し、各国の財政状況や関連機関との連携状況にあわせたビジネス展開の可能性を検討した。

IoT聴診器型新生児蘇生法訓練シミュレーターの普及活動実績

 5月には、カンボジア保健省と国連人口基金が主催する「国際助産師の日」の公式イベントがカンボジアで実施された。イベントには、エレコムヘルスケア取締役 葉田甲太氏がオンラインで参加し、エレコムの企業説明や、IoT聴診器型新生児蘇生法訓練シミュレーターを紹介した。

 6月には、カンボジア国立母子保健センターに3台、同国地方州病院の産科に1台、ラオス国立健康科学大学医学部へ3台もの遠隔新生児蘇生法講習シミュレーターの訓練用デバイスを無償で贈呈し、7月20日時点で、本デバイスを活用した研修受講者は両国でおよそ100名を超えている。

カンボジア国立母子保健センターでの遠隔新生児蘇生法講習シミュレーターの訓練用デバイス贈呈式の様子(写真左:エレコムヘルスケア取締役 葉田甲太氏、国立母子保健センター副センター長 ドクター・ケオ・モイ・スロイ氏)

 6月には、ラオス国立健康科学大学の大学附属病院小児科に勤務する研修医の教育プログラムに、遠隔新生児蘇生法講習シミュレーターの訓練用デバイスを使った新生児蘇生法訓練の授業が導入された。

ラオス国立健康科学大学で遠隔新生児蘇生法講習シミュレーターを活用した実習の様子

 同社は、イノベーションと人を繋ぐ“かけ橋”として、これまでになかった快適さや便利さを「暮らし」と「社会」に届けることを使命としている。今後も世界中の人々のライフスタイルをより快適にするため、誰にとっても扱いやすい製品や利用しやすいサービスを提供していくという。

出典 国際連合「UN Levels and Trends in Child Mortality Report」、2022年
出典 世界保健機構「WHO and Maternal and Child Epidemiology Estimation Group」、2018年
出典 総務省消防庁「日本版救急蘇生ガイドライン2020」、2021年

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