スリから狙われやすいスマートフォン
この10年で特に狙われるようになったのがスマートフォン。各国とも中古市場があり、買取も日本ほど厳密にはチェックが行なわれていないので、スマートフォンは"手軽に現金化できる高額アイテム"としてスリからは人気です。と同時に、旅行者にとっても、スマートフォンは地図やメッセージといったアプリだけでなく、スマホに表示させた電子チケットで飛行機などに乗り込んだり、支払いをスマートフォンのタッチ決済で行ったりと、旅先で活用する機会が多いため、盗難被害に遭うと非常に困るアイテムです。
特にヨーロッパなどスリの多い地域では、飲食店などのテーブルにスマートフォンを置いておくと、高い確率で盗られます。気がつかれないようにサッと盗られるのはもちろん、アンケートを装ってバインダーをスマートフォンの上に置き、そのまま持っていってしまうといった手口があります。もちろん、財布と同じくズボンのポケットに入れておくのは「盗ってください」と合図を送っているようなものです。
そのほかの手口として、鉄道の座席でスマートフォンを使っていたら駅を出発する直前に強奪され、泥棒がそのまま列車を降りてしまい、ドアが閉まって追いかけられなくなるといったケースや、歩きスマホをしていたら後からバイクで近づいてきて強奪される、といった話もよく聞きます。
そのため筆者は、海外ではスマートフォンに必ずネックストラップをつけています。首からぶら下げておくという使い方はもちろん、食事時などでテーブルに置くときは、手首にストラップを巻いて、万がいち持っていかれてもすぐに気がつけるようにしています。またショルダーバッグにしまう場合でも、バッグのベルトにストラップを巻き付けています。
筆者が使っているのは100円ショップで売っているストラップなので、思いっきり引っ張ると壊れたり引きちぎられて持っていかれてしまいますが、"気がついたら盗られていた"というケースはこれでかなり防げます。そもそも「スリ対策をしている」とひと目で分かるので、狙われにくくなります。
以上が、筆者が旅先での街歩きで気を付けているスリ対策です。
盗難にあってしまったら、まずどうすればいい?
気をつけていても盗まれてしまった場合はどうすればいいでしょうか。盗まれた財布にクレジットカードが入っていたら、すぐにカード会社へ連絡して使用を止めてもらいましょう。また現地の警察(都市によってはツーリストポリス)に行って、「盗難証明書」を作成してもらいます。犯人が捕まり、盗難されたものが帰ってくることはほぼありませんが、この「盗難証明書」があれば旅行保険で金銭的なダメージを埋めることができます。
当然ですが警察では現地語か英語になるため、スマートフォンの翻訳アプリなどを駆使する必要があります。その時のために、出発前に自分のカバンなどはスマホで写真に撮っておいて、「これです」と指をさして説明できるようにしておくとハードルは少し下がります。もし、スマートフォンが盗まれてしまった場合は、悪意のある第三者の手に渡った可能性を考慮し、同行者の手を借りるなどして極力無効化する手段をとっておきましょう。
スリ対策として、使用するバックパックやスーツケースの取り扱い、ホテル内での盗難対策などもありますが、そちらはまた別の回でお話します!
この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)
世界60ヶ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。
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