海外旅行は、新しい文化や景色を体験できる魅力にあふれています。ですが楽しい思い出と共に、スリや盗難という不快な経験をしてしまう人も少なくありません。筆者も含めて同業諸氏は、展示会取材などで何度も海外渡航をしていますが、財布やスマートフォン、はては休憩中のカフェでバックパックごと盗まれたりと、多くの人がスリや盗難の被害にあっています。そこで今回は、筆者のスリ被害対策について少しお話します。
実際に遭遇したスリ現場とは?
安全に海外旅行を楽しむためには、いくつかの対策を講じることが大切ですが、安全な日本で暮らしていると気がゆるみがち。ASCII.jp編集部のO氏やS氏も、海外取材中にバッチリ被害に遭っています。ただO氏は盗られたのが名刺入れだったため、スリから名刺入れを投げ返されました。S氏は、地下鉄内で若い女性のグループに囲まれて小銭入れを盗まれましたが、すぐに筆者が「何か盗られてない?」と確認して騒ぎ出したことで、すんなりと返却され、結果として難を逃れています。
S氏がスリグループに「サンキュー」とお礼を言ったなど、今でこそ笑い話ですんでいますが、本当に財布を盗まれていたら、その旅は不快な経験として心に刻まれたことでしょう。2人ともパンツ(ズボン)のポケットに物を入れていたところを狙われたため、基本的に洋服のポケットには盗られてもそんなに困らない物だけを入れておくべきです。
では、目の届きやすい小型のショルダーバッグなら安心か、というと、そうでもありません。かくいう筆者も昔、イタリア・ローマの混み合った地下鉄で財布を盗られかけました。使っていたのは扱いやすいショルダーバッグだったのですが、ジッパーを開ければすぐに財布にアクセスできる形状でした。
そのスリは子どもを抱いた風の女性で、毛布のようなマントで身体を包んでおり、乗車列に並んでいるときからグイグイと身体を近づけてきました。それは乗車後も続いており、ふと気がついてカバンを見ると、ジッパーが開いていて財布が見当たりません。
「無い!」と思った瞬間、無意識にスリの女性の毛布をまくり上げたところ、手に掴んでいる筆者の財布を発見。そのままスリは財布を床に捨てたので、筆者はそれを足で踏んで押さえつつ、スリとのにらみ合いが次の到着駅まで続きました。
結局スリは次の停車駅で降りていき、財布は無事戻ってきたわけですが、財布には現金やクレジットカードなどが入っていたため、盗まれていたら大変なことになっていたと今でも思い出すとドキドキします。
使い勝手と安全面でバランスの良い
フラップ付きバッグを愛用
この事件以降、筆者は使用するショルダーバッグを変更し、ジッパーだけでなく、必ずフラップ(蓋)の付いたカバンを購入しています。このタイプのカバンだと中の物を取り出すときに、フラップを開けてから、さらにジッパーを開ける、という2段階の手順が必要なので、何かされても気づきやすいからです。
ちなみに、首から提げて服の中にしまうネックストラップタイプや、腹巻きのように腰に巻いて同じく服で見えないようして使う貴重品入れを、旅行テクとしてオススメしている人もいますが、筆者は使っていません。
確かに盗られにくいのですが、使用するときに手間取るので、結構不便なんですよね。海外では、駅の券売機などの支払時に手間取っていると逆にスリが狙ってすり寄ってくるため、極力スムーズに動きたいところです。というわけで安全性と利便性のバランスを考えて、フラップ付きショルダーバッグへと辿り着きました。
もちろん服の中に隠す貴重品入れも、極端に治安が悪く強盗が多いような地域では有効ですし(それでも取り出すところを見られてから狙われたらアウトですが)、格安旅行でドミトリーなどの相部屋で寝るときには、身体に密着させられるタイプのほうが安心かなと思います。このあたりはケースバイケースですね。
(次ページ:スリから狙われやすいスマホはどう守る?)

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