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京大、3次リンパ組織が腎機能を低下させる仕組みを解明

2023年08月22日 06時11分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学の研究チームは、3次リンパ組織が腎機能を低下させる仕組みを解明した。3次リンパ組織とは、リンパ節に似た血球の集まりであり、高齢者の腎臓にこの組織ができてしまうと腎機能が改善せず、慢性腎臓病に陥ってしまう。

京都大学の研究チームは、3次リンパ組織が腎機能を低下させる仕組みを解明した。3次リンパ組織とは、リンパ節に似た血球の集まりであり、高齢者の腎臓にこの組織ができてしまうと腎機能が改善せず、慢性腎臓病に陥ってしまう。 研究チームは、3次リンパ組織が形成された高齢マウスの腎臓を対象に、シングルセル遺伝子発現解析を試みた。その結果、3次リンパ組織内部の血球、特にリンパ球が腫瘍壊死因子α(TNFα)やインターフェロンγといった炎症性サイトカインを過剰に産生し、それが周囲の近位尿細管上皮細胞に直接影響して障害を引き起こし、修復不可能になることを確認した。さらに、障害を起こした近位尿細管や3次リンパ組織内部の線維芽細胞が、サイトカインの影響で炎症を起こし、血球を呼び集めることで3次リンパ組織を拡大させ、炎症を悪化させることも明らかにした。 研究チームは、マウスの腎臓と同様にヒトの移植腎組織に存在する3次リンパ組織でも、周囲を炎症性障害近位尿細管が取り囲み、内部には炎症性線維芽細胞が存在することを確認しており、今回マウスの腎臓で確認した細胞群と細胞間相互作用がヒトにも存在する可能性が高いとしている。 研究成果は8月7日、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ソサイエティ・オブ・ネフロロジー(Journal of the American Society of Nephrology)誌にオンライン掲載された。研究成果は、慢性腎臓病の新たな治療法の開発につながる可能性があるという。

(笹田)

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