このページの本文へ

村のスマホ普及率を8割まで上昇。KDDI、デジタルデバイド解消を支援する非営利団体を設立

2023年08月07日 16時00分更新

文● ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

「一般社団法人まるごとデジタル」公式サイトより

 KDDIは8月7日、高知県日高村、チェンジと協働で、国内のデジタルデバイド(情報格差)解消とデジタル化を通じた地域住民の生活の質向上を支援する「一般社団法人まるごとデジタル」を設立することを発表した。

左から株式会社チェンジ ディレクター 尾形正則氏、高知県日高村 村長 戸梶眞幸氏、KDDI株式会社 経営戦略本部 副本部長 江畑智広氏

 行政におけるデジタルサービスの導入・活用においては、地域住民がデジタルを使いこなす必要がある一方で、デジタルに触れる機会の不足により、十分にサービスの恩恵を受ける事ができないデジタルデバイド層へのサポートが課題となっている。

 人口およそ5000人の日高村でも、当初村内のスマホ普及率がおよそ65%(2020年5月時点)と、デジタル化による住民サービス維持および増進に向けて、デジタルとの接点を持たない住民への対応が必要となっていた。

 三者は2021年5月24日に包括的連携協定を締結し、住民説明会などを通じたデジタルデバイド解消に向けた取り組み背景の理解促進や、スマホに関する悩みごと相談ができる「スマホよろず相談所」の設置などのさまざまな取り組みを通じて、普及率をおよそ80%(2022年6月時点)まで上昇させることに成功した。

 日高村では、スマホ普及率の上昇後、健康アプリサービスの提供や対話AIシステムを活用した介護モニタリングの実証実験などに取り組んでおり、企業と自治体が連携したデジタル化に関する知見を蓄積し、住民向けサービスの拡大に繋がっているという。この知見を本社団法人の取り組みに活かし、企業と自治体が共にデジタルについて相談・連携しあう場を構築していく。

日高村村長の戸梶氏「スマホの普及は70代から急激に落ち込むがデジタル普及の取り組みによって平均80%まで成長した」

 本社団法人では、勉強会などを通じて、日高村での取り組み内容の共有や、賛助会員である企業からデジタルサービスのノウハウ共有をしていく。また、賛助会員である自治体間でのコミュニケーション促進に向け、専用のツールを活用することで、各自治体での成功事例や失敗事例などを気軽に共有できる環境を整備する。

 日高村での取り組みの知見を活かし、各自治体が解決すべき課題の洗い出しから、その解決に必要なスキームの検討・構築までを一気通貫で支援。事業全体の最適化を目指し、取り組みを幅広く支援することで、地域住民の生活の質向上に繋がるデジタル化支援を実施する。

 例えば日高村では、住民サービス維持および増進のための手段として村内スマホ普及率100%が必要という認識から、常設のスマホ相談窓口を設置し、操作をサポートする「普及事業」と、自治体独自アプリや地域通貨などのデジタルサービスの導入による「生活の質向上事業」の両輪で、住民の利便性および満足度向上を実現している。

 本社団法人は、8月7日から全国の自治体・企業を対象に、賛助会員の募集を開始する。三者は本社団法人を通じて、デジタルデバイド解消とデジタル化を通じた地域住民の生活の質向上を支援し、人が主役のSociety 5.0の実現に貢献していく。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン