2026年、三河安城地域に誕生!!「シーホース三河」新アリーナの「つかい方」「過ごし方」をみんなで考えよう 第1回
三河安城駅は「定刻通りに過ぎるだけの駅」から生まれ変わる!
地元に誕生するアリーナを「ジブンゴト」へ。市民参加型のTIPOFF!イベントが開催
提供: 安城市
7月25日、B.LEAGUE所属のプロバスケットボールチーム「シーホース三河」の新しいホームアリーナ誕生に向けて、みんなでまちづくりについて考えていく「アリーナのわくわくを、みんなのワクワクに。」TIPOFF!イベントが安城市中心市街地拠点施設アンフォーレにて開催された。シーホース三河のシェーファーアヴィ幸樹選手らが登壇し、開場前に長蛇の列ができるほどの熱気に包まれた本イベント。記事前半では、アリーナがもたらす価値や、アリーナが完成するまでに地域として取り組んでいくべきことなど、イベントで発表された内容を紹介。後半では、アリーナ完成で期待される効果や価値、今後の展開などを解説しよう。
まちのことを知り、考えるきっかけづくりを目的に開催
「アリーナのわくわくを、みんなのワクワクに。」をテーマに開催されたこちらのイベント。株式会社アイシンとシーホース三河株式会社が建設を計画しているシーホース三河の新本拠地となる「三河安城交流拠点」(以下、アリーナ)が、2026年に愛知県安城市に誕生する予定である。アリーナの機能や地域にもたらすさまざまな価値を知ると同時に、安城市民がどのように活用していけるのか、みんなでアリーナやまちのことを知り、考えるきっかけづくりを目的に、両社及び安城市による共催で開催された。
「TIP OFF!」とあるように、今回が記念すべき第1回目のイベントとなる。会場となった安城市中心市街地拠点施設アンフォーレには、平日の午前中にもかかわらず200名以上の市民や関係者が参加し、アリーナ誕生を待ち望む期待感が伝わってきた。
このアリーナは、バスケットボールに限らず さまざまなイベントが開催できる!
さっそく当日のプログラムを中心に振り返っていく。開会の挨拶を安城市の三星元人市長が務め、「安城市に夢のアリーナが誕生します。私自身もわくわくがとまりません」と述べ、アリーナが三河安城駅周辺に誕生する意義や、これから期待している内容を紹介。続いてシーホース三河の寺部康弘社長が壇上に上がり、「昨シーズン終了後、皆様のご期待に添えるように、今までにないような強化に取り組んできました。新しいヘッドコーチを迎え、リーグ優勝を狙えるような常勝チームの復活にむけて全力で頑張っていきます」と今シーズンの意気込みを語ってくれた。
建設予定のアリーナについては、シーホース三河の鈴木秀臣シニアアドバイザーが説明した。三河安城交流拠点と位置付けているのは、まちづくりの新しいスタイルとして、三河安城地域における「スポーツ+地域経済+地域交流を目指した施設」であるため。メディア公開前の情報もあり、ここでは詳しく紹介することができないが、「非日常を体感できる空間であること」「バスケットボールに限らずさまざまなイベントが開催できること」「市民もイベントなどで利用できること」という、シーホース三河のホームアリーナにとどまらない、多目的に交流できる拠点である旨が明かされた。
パネルディスカッション第1部は、 シェーファーアヴィ幸樹選手も参加
その後はB.LEAGUE(Bリーグ)の島田慎二チェアマン、シーホース三河のシェーファーアヴィ幸樹選手、MINTO機構(一般財団法人民間都市開発推進機構)の渡邉浩司氏によるパネルディスカッション第1部が行われた。
島田慎二チェアマンは、Bリーグのミッションや未来、さらに琉球ゴールデンキングスのホームアリーナを事例にした、アリーナがもたらす経済効果や地域への恩恵を中心に紹介。シェーファーアヴィ幸樹選手は、選手目線でアリーナについてトーク。大学時代にアメリカで過ごした自身の経験をもとに、選手から見たホームアリーナの存在や魅力について語った。アメリカ時代はトレーニングルームが充実し、指紋認証などセキュリティも完備の体育館だったそうで、「バスケに集中できる環境だった」と振り返る。新アリーナについては「トレーニングルームなどが充実すると聞いていますし、選手のパフォーマンス向上につながると思います。みなさんとわくわくするようなチームを作っていきたい」と期待をこめる。
MINTO機構は、「都市再生特別措置法」に基づく都市開発推進の政策の担い手として、これまでにさまざまな地域に支援を行ってきた組織。まちづくりのプロである渡邉浩司氏は、東京都豊島区の池袋での事例を紹介しつつ、アリーナを通したまちづくりやアリーナの価値を説明し、「これからは人が主役になったまちづくりが大切」と強調した。
パネルディスカッション第2部 安城市民を代表した4名が意見交換
パネルディスカッション第2部では、安城市民を代表して、名古屋産業大学の今永典秀さん、Café&delica NEJIの村澤有紀子さん、ママさんバンド フルーツキッズおよび寺子屋『Dear。。。』の渡邉裕子さんが壇上へ。MINTO機構の渡邉浩司氏と共に、市民はどのようにアリーナを活用できるのか、市民が参加できることは何かなどについて意見交換。今回のイベントでは、コミュニケーションツール「Sparkup」も利用。来場者からさまざまなアイデアや意見を募り、それをリアルタイムでスクリーンに表示させることで、活発な議論が行われた。
閉会の挨拶には、株式会社アイシンの中村本部長、そしてサプライズゲストとして今シーズンよりシーホース三河のシニアプロデューサーに就任した佐古賢一氏が壇上へ。盛大な拍手の中、第1回のTIP OFF!イベントは幕を閉じた。
アリーナが地域にもたらす可能性とは?
ここからは今回のTIPOFF!イベントで紹介された内容をもとに、アリーナ完成で期待される効果や価値について紹介していく。
価値を正しく理解するためにも、まずは「Bリーグ」について知る必要がある。Bリーグは北海道から沖縄まで41都道府県の56クラブが参加(B.LEAGUE 2023-24シーズン)するプロバスケットボールリーグで、シーホース三河はトップカテゴリーであるB1リーグで活躍するプロクラブとなる。
先日、2026年から始まる新トップカテゴリー「B.LEAGUE PREMIER」が発表された。入場者数や売上、アリーナの規格など厳しい審査基準を満たしたプロクラブのみが参入できるカテゴリーで、現在「B.LEAGUE PREMIER」参入を目指して全国各地でホームアリーナ計画が進行している。しかし、具体的に進行しているのは、すでに完成しているアリーナを合わせてもまだ11拠点しかない。そのうちのひとつが愛知県安城市に誕生することは、市民にとって「シビックプライド(都市に対する市民の誇り)の醸成にもつながるのではないか」と島田チェアマンは話す。
また、地域にもたらす経済的価値と社会的価値も大きい。経済的価値は、雇用の創出や、新しい興行の誘致、地域や他産業への経済効果、地価の上昇など。社会的価値は、地域交流の拠点としての機能や、治安改善、防災力の向上などが挙げられる。特に大規模な災害時に果たせる役割は大きく、アリーナは市民を守る基地として機能する。社会的価値は間接的で見えにくいかもしれないが、アリーナがまちにあることで教育・健康・福祉など、さまざまな分野に好影響が及ぶと期待される。
アリーナはまちづくりにもつながっていく。MINTO機構の渡邉浩司氏は「アリーナが何かしてくれるのを待っていてもダメ。市民がアリーナを活かして楽しい暮らし方をどう実現するかが大切」と力説した。まちづくりの価値観は変化しており、これまでは空間がもたらす機能や効率性が重要視された。しかし、現在は「人が中心となったまちづくりが必要」と話す。アリーナが誕生することはそれだけで大きな価値だが、それをまちづくりにつなげていくのは、主体的に関わろうとする人たちがポイントになるとのこと。
市民から見たリアルな感想と 〝ジブンゴト〟として考えたい思い
イベント終了後、パネルディスカッション第2部に登壇した今永典秀さん、村澤有紀子さん、渡邉裕子さんに話をうかがった。まずは率直な感想について「身近な場所にアリーナができて、一緒にまちを作り上げていこうというメッセージをシーホース三河さんや行政の方々から受け取ることができました」(今永さん)、「最初はシーホース三河さんしか使えない場所だと思っていたのですが、そうではないことを知ってわくわくが止まらないですね。一緒になってまちづくりに参加できることを誇りに思います」(渡邉さん)と話してくれた。
ただ、「〝ジブンゴト〟として考えられるのか」との意見も。村澤さんは「アリーナについて素晴らしい説明があって、規模や内容に正直びっくりしました。安城市から相談を受けて参加させていただいたのですが、こうやってお誘いがなければアリーナをジブンゴトとして考えるのは難しかったかもしれません。スケールがすごすぎて、自分たちの声が届くのだろうかと疑問も感じました。それは多くの市民の方も同じだと思います。でも、『自分たちから意見やアイデアを出してもいいんだ』と考えるきっかけにもなりました。まずは身近な人たちなどに、自分のアイデアや考えを伝えていこうと思います」と話してくれた。
大学で地域連携やまちづくりに関わる今永さんも「素晴らしい場所ができたからといって、みんなが楽しく過ごせるかといえば、そうとも限りません。今後はアリーナをきっかけにして、スポーツイベントだけでなく、派生するイベントから市民の交流や関係が生まれるはず。そうした人たちが次のプロジェクトを創出していくんだろうなと感じています」と話し、MINTO機構の渡邉氏が話していたように、まちが盛り上がるには主体的に行動する人たちの存在が欠かせないとの認識だ。
今回のキックオフイベントを皮切りに、2023年10月から2024年2月まで5ヶ月間にわたって継続的に市民参加型のワークショップが開催される。これらのワークショップには、今永さん、村澤さん、渡邉さんも参加予定。
「ワークショップに関して、今はプレッシャーしかありません(笑)。でも、そこで出会った方々と楽しいことを考えていきたいですし、わくわくも増えていくと思うんです。高齢者の方々や若い世代の方々ともコミュニケーションを図るチャンスをいただけるわけですし、自分には思いつかないようなアイデアも生まれると思っています。今までやったことがないようなことを三河安城でやれたらいいなと思いますね」(渡邉さん)
夢のアリーナ完成まであと3年ほど。アリーナを通してどのようなまちづくりが展開されていくのか、市民からどのようなアイデアが生まれ、それがどうやってカタチになっていくのか、今後の動向に注目したい。
(提供:安城市)