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WONK 井上幹氏に聞く

アップル「Logic Pro」音楽のプロが使う理由

2023年07月28日 11時30分更新

文● 山本 敦 編集●飯島恵里子/ASCII

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Apple Pencilを使ってオートメーションカーブを手書きで設定できる機能もMacのLogic Proにはありません

直感的なアウトプットができるiPadアプリのインターフェースも魅力

 既にデスクトップミュージックには心得があり、これから「iPadによる作曲」にも進んでみたい方のため、少し踏み込んだiPadのLogic Proを使いこなすテクニックも井上さんに聞いてみました。

 iPadのLogic ProにはApple Pencilを使って直感的に、そして正確に楽曲のデータを編集できる機能があります。

 「僕はApple Pencilでオートメーションカーブを手描きできる機能がとても気に入っています。選択したトラックに『オートメーション』を設定して、『ブラシ』の機能ツールを選択します。例えばトラックの中で音量を上下させたり、パンニング(定位)のバランスを左右に振って、意図的にゆらぎを加える効果もApple Pencilでパラメータを描くことによってデザインができます」

 同じオートメーションの設定をMacのLogic Proでしようとすると、マウスやトラックパッドでポイントを指定してパラメータを上下させる作業が必要です。「iPadとApple Pencilによる直感的な操作」ができることは、編集の手間が軽減されるだけでなく、創作の視野を広げることにもつながると井上さんは指摘しています。

 さらに井上さんは「iPadのLogic Proは『ミキサー』の画面をタッチしてフェーダーを上下にスライドしたり、ノブが回せる操作を実現していることが何より画期的。MacのLogic Proでは無かった感覚」だといいます。この機能もまたApple Pencilを使って細かくパラメータを動かしながら調整できます。

画面下、中央の印を付けたアイコンをタップするとタッチ操作やApple Pencilからパラメータが微調整できる「ミキサー」のパネルが表示されます

 楽器の演奏をiPadのLogic Proに取り込んで、エフェクトを加えたりしながら楽曲にまとめることももちろん可能です。

 「エレクトリック系のギターやベースなどの楽器は、iPadにも対応するUSB接続のオーディオインターフェースに接続して録音するという方法があります。MIDI出力のあるシンセサイザーやキーボードなどの鍵盤楽器の中には、アップル純正のUSB-C/USBアダプタのようなアクセサリーを介してiPadに接続できるものもあります。またはギターやピアノなどアコースティックな楽器、ボーカルなどの『生音』はデモ音源を制作する場合などあれば、iPad Proが搭載するスタジオ品質の高音質マイクでそのまま録る方法もアリだと思います」

 井上さんがLogic Proの中で気に入っているという「Flex Time」の機能についても教えてもらいました。

 「Flex Timeは録音したオーディオ素材のリズム補正をトラック単位で圧縮/伸長したり、細かな編集ができる機能です。トラックインスペクタからはドラムやパーカッション、モノフォニック楽器(管楽器のような単音を鳴らす楽器)やギターにピアノ、合唱など和音楽器などそれぞれの音源に合わせて調整されたアルゴリズムが選択できます」

 この機能を上手に使えば、何度も録音を繰り返さなくても後からiPadで音源のリズムを調整したり、または音源にクリエイティブな効果を加える使い方もできます。

画面左のトラックインスペクタから「Flex」をオンに。音源に合わせたFlex Timeのアルゴリズムを選択できます

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