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応接室の隣には広いサウナと最高な外気浴スペース、そしてフィンランド流のおもてなしの心があった

わたしを“社ウナ”に連れてって!《ヘルシンキ・WithSecure本社編》

2023年07月20日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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「なぜ企業応接室の隣にサウナがあるのか?」の謎を解く

 つい興奮して事細かに社ウナレポートをしてしまいましたが、水シャワーで少し頭を冷やして、あらためて「なぜ企業の応接室の隣にサウナがあるのか?」という謎を解いておきましょう。

 フィンランドにおいては古くから、サウナが家族や友人、近隣住民などとの親交を深める場、さらには意見交換や意思決定をする場として機能してきたといいます。ビジネスにおいても同様で、お客様をサウナに招いてもてなし、静かなサウナでリラックスした会話をすることで、人と人としてのつながりや信頼関係を深めていくのだそうです。社員どうしの交流でもそうでしょうね。

 日本で言えば商談よりも会食に近いイメージかもしれませんが、サウナの場合はお互いに裸ということもあり、ふだんの肩書きや立場を脱ぎ捨て、よりフラットな関係で率直に話し合うことができそうです。ちなみに、国の外交にサウナを活用する「サウナ外交」の歴史も古いのだとか。社ウナが応接室と同じくらい大切に扱われる理由は、そのあたりにあるのでしょう。

 サウナとは、静かにリラックスして相手の話に耳を傾け、お互いのことをより深く知るための場である――。そんなコンセプトのもとで、WithSecureが展開しているポッドキャストが「Cyber Security Sauna」です。

 またサウナかよ! と思うかもしれませんが、WithSecureのホストが専門家のゲストを招き、セキュリティの最新動向などについて熱く語り合うこのポッドキャストは、まさにサウナという場になぞらえるのにふさわしいものでしょう。今回取材した年次イベントSPHERE23の会場にも、ポッドキャスト収録用のサウナ室(!)が設置されていました。

フィンランドWithSecureの会社サウナ

ポッドキャスト「Cyber Security Sauna」収録ブース。もちろん本物のサウナではないのですが、ちゃんとストーブよりも一段高い位置に床板を張ってベンチを設置している(=ロウリュの蒸気をより強く浴びられる)正しいデザインに、フィンランド人の強いこだわりを感じます

フィンランドWithSecureの会社サウナ

このサウナ型ブース、イベント用で特別に作られたものではなくて、ふだんは本社ロビーに設置されているそう。日常にサウナが溶け込んでますね……

フィンランドWithSecureの会社サウナ

昨年からは日本語版ポッドキャスト「Cyber SecurityサウナJapan」も展開中。こちらは日本チームの収録用テントサウナ。日本人のサウナ愛も負けず劣らずですね……

* * *

 今回の取材を通じて、あらためて「フィンランドの人たちにとって、サウナは本当に日常と切り離せないものなんだな」と感じました。日常の中にサウナがあるだけでなく、むしろサウナの中に日常があってもいいじゃない――。フィンランドに行って、そんなことを言葉にする勇気をもらった気がします(どんな勇気だ)

 日本国内で社ウナを持つ企業はまだまだ少ないですが、自由闊達でフラットな社内コミュニケーションの場がほしいとお悩みの社長様、ひとつ御社にも社ウナの導入を検討してみてはいかがでしょうか(いや別に社ウナじゃなくてもいいんですけど、もし社ウナだったらわたしが取材に行きたいという下心もあり……ゴニョゴニョ)。ぜひ、ご検討ください。

 なお、WithSecureは現在ヘルシンキ市内に新社屋を建設中で、2024年下半期にはそちらに本社を移転するそうです。同社プレジデント兼CEOのユハニ・ヒンティッカさんに「新本社にもサウナを作るのですか?」と質問したところ、「もちろんだ」とのこと。その答えを聞いて心強く感じました。グローバル企業のCEOにそんな質問をするのは日本のメディアだけかとは思いますが……。ではまた。

フィンランドWithSecureの会社サウナ

建築中の新社ウナ新社屋。完成したらぜひ連れてってください

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