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PoE++給電対応を強化、ライブステージなどに無人カメラを設置する際の利便性が大幅向上

リモート操作で映画品質の映像撮影、ソニー Cinema Line カメラ「FR7」とネットギアProAVスイッチの親和性

2023年07月12日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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ソニーマーケティングの映像業界向け製品内覧会にて。ソニー Cinema Line カメラ「FR7」(右奥)とリモートコントローラー類(右手前)、ネットギアのPoE++対応スイッチ「M4250」(左奥)の組み合わせで展示

 ネットギアの“ProAVライン”スイッチは、さまざまなAV over IPプロファイルをあらかじめ内蔵しており、GUIで簡単に最適化設定できるのが特長だ。ただしそれだけではなく、大容量給電が可能なPoE++ポートを備えたモデルを多数ラインアップしているのも特長である。

 今年6月にソニーマーケティングが開催した映像業界向け製品内覧会では、リモートからのパン/チルト/ズーム操作が可能な「ソニー Cinema Line カメラ『FR7』」(以下、FR7)と組み合わせるかたちで、ネットギアのUltra90 POE++対応フルマネージスイッチ「M4250」が展示されていた。実際にこの組み合わせで使用されている現場も多いという。

 FR7の特長やネットギアスイッチとの組み合わせに対する評価を、ソニーマーケティング B2Bプロダクツ&ソリューション本部の樽井宥利氏にうかがった。

フルサイズセンサー搭載、シネマ映像とリモート撮影で新しい表現が可能なFR7

 ソニーが2022年11月に発売したFR7は、リモートからのパン/チルト/ズーム(PTZ)操作が可能なレンズ交換式/旋回台式カメラだ。

 PTZカメラというと、一般的には会議室や教室に設置するビデオ会議用カメラなどが想像されるだろう。しかしFR7はそうした目的のカメラではない。ソニーの「Cinema Line」シリーズの製品として、映画制作のような高品位で印象的な映像表現を行うためのプロフェッショナルカメラと位置づけられている。

 FR7は35mmフルサイズCMOSセンサーを採用しており、高精細な映像、暗所でもノイズの少ない映像、美しいぼけを表現する映像が撮れる。ソニーが映画制作用カメラで培ってきた「ルック」(映像の色やトーンなどの映像表現)を搭載するうえ、Eマウントレンズの豊富なラインアップから表現に合ったレンズが選べるため、こだわりを持った映像表現ができる。

FR7はEマウントの交換レンズに対応。本体にはデジタル一眼カメラでおなじみの「α」ロゴも入っている(写真はInterop会場にて撮影)

 その一方で、カメラのリモート操作(PTZ、フォーカス、録画/再生など)は、WebインタフェースとIPネットワークを介して、タブレットやPCからシンプルかつ直感的に行える。ここに専用のハードウェアコントローラー(RM-IP500)を追加すると、最大100台のFR7を一カ所からリモート操作したり、プリセットしておいた設定(カメラの向きやズーム)をボタン1つで瞬時に呼び出したりすることもできる。

リモート操作はタブレット(Webブラウザ)で簡単にできるほか、コントローラー(RM-IP500)を接続すればより細かな操作が可能に

「リモート撮影」と「高い表現力」を生かせるユースケースは

 FR7はどういった利用シーンに適しているのか。樽井氏は「音楽ライブのような、ステージイベントの撮影に使いたいというお問い合わせはよくいただきます」と説明する。カメラスタッフがステージに上がれなくとも、ステージ上に無人のカメラを設置してリモート操作で撮影ができれば、ステージ演出を妨げることなく至近距離からの映像が撮れる。そのうえフルサイズセンサーのぼけを生かした、印象的かつノイズの少ない映像が撮れる。

 「以前、舞台の中央にオーケストラを配置して、その周りをモデルが歩く形態のファッションショーがあったのですが、オーケストラの間にFR7を数台設置して、リモート操作で撮影が行われました。そのほかにも天吊り(天井からの吊り下げ)や高い場所からの俯瞰といった、これまでにないような視点からの撮影にも使えます」(樽井氏)

 一方で、最近ではケーブルテレビ局などで、カメラスタッフの人手不足を補うために活用されるケースも増えているという。スタジオでのニュース収録などはFR7を使って省人化を図り、そのぶんカメラスタッフは社外での取材や中継に出られるというわけだ。

三脚にセットしたFR7

 「また一般の企業様でも、映像配信用のメインカメラとして使っていただいています。最近は皆さん映像を見る目が肥えてきていますから、トップメッセージなどを印象的な映像で配信したいというニーズが高まっています。タブレットの画面をタッチすればフォーカスが合わせられるなど、FR7はプロのカメラマンでなくても使い勝手の良いカメラとして、そうしたニーズにも応えます」(樽井氏)

 ちなみにFR7の最新ファームウェア(Ver.1.10以降)では、RCP(リモートコントロールパネル)やMSU(マスターセットアップユニット)といった、ソニーのシステムカメラ向けコントローラーとのリモート接続も可能になった。「既存のシステムカメラとFR7を合わせて使う場合に、これまでどおりのオペレーションで統一してコントロールできます。プロの現場でも使い勝手がすごく良くなったと思います」(樽井氏)。

ネットギアのProAVスイッチは「お客様に安心して提案できる」

 最新ファームウェアではもうひとつ、PoE++給電時でも内部収録/再生機能に対応できるようになった。FR7ではPTZのリモートコントロール用にLANケーブル(IPネットワーク)を接続するが、これまでは内部収録したい場合、別途AC電源ケーブルも接続する必要があった。

 「先ほど挙げた例のように、FR7をステージの中央や天井に設置する場合、そこまで電源を引くのがとても大変でした。今回のバージョンアップでPoE++対応が強化されたことにより、お客様の使い勝手もさらに良くなります」(樽井氏)

 レンズ交換式のFR7では、1ポートあたり最大90WのPoE++給電(IEEE 802.3bt Type 4 Class 8)が必要だ。それに対応しているのが、今回FR7とともに展示されていたネットギアのM4250-10G2XF-PoE++(GSM4212UX)である。

 ちなみにM4250シリーズでは、1Gポート×8から1Gポート×40まで、またPoE給電なしからPoE++給電対応まで、幅広いモデルがそろっている。たとえばM4250-10G2XF-PoE++は1Uサイズで1Gポート×10とSFP+スロット×2を搭載するが、90W給電対応モデルとしてはそのほかにも、1Uサイズで1Gポート×26とSFPスロット×4を搭載するM4250-26G4F-PoE++(GSM4230UP)、2Uサイズで1Gポート×40とSFP+スロット×8を搭載するM4250-40G8XF-PoE++(GSM4248UX)がある。接続するデバイスの台数と必要な給電容量に応じて、最適なモデルを選びやすい。

ネットギアのM4250-10G2XF-PoE++(GSM4212UX)とFR7

 樽井氏はネットギアのPoE++スイッチについて、「弊社で動作確認ができているため、お客様に安心してご提案できます」と語った。両社製品の組み合わせは現場でも安心して導入できるはずだ。

 「カメラに接続するケーブルをできるだけ減らしたい、というお客様のご要望は強くあります。FR7のアップデートファームウェアにより、PoE++給電でも内部収録ができるようになったので、これからネットギアのPoE++スイッチと一緒にご提案していくことが増えるものと期待しています」(樽井氏)

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