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ProAVスイッチ新製品「M4350」、MeuralのNFTアート展示なども、ブース展示徹底紹介!《AV over IP+Meural編》

ネットギア、Interopで8K映像10ギガNW伝送、映像配信スタジオなどデモ展示

2023年06月19日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 2023年6月14日~6月16日に幕張メッセで開催された「Interop Tokyo 2023」。昨年からさらに規模を拡大したネットギアブースでは、AV over IP、ビジネスネットワーク(法人向け)、ホームネットワーク(家庭向け)の3領域を中心とした製品/ソリューション展示が行われた。

 AV over IP領域では、10Gネットワークを使った8K映像の伝送デモ、多数のパートナー製AV over IPデバイスを組み合わせた映像配信スタジオや会議室ソリューションのデモなどが、ProAVスイッチ新製品「M4350シリーズ」の紹介などとともに展開されていた。

 今回は、Interopに合わせて来日していた同社 会長兼CEOのパトリック・ロー氏に、ブースの見どころや最新製品の特徴などを紹介してもらった。なお、ビジネスネットワークやホームネットワーク領域の展示については別途、記事をあらためてご紹介する。

ネットギア 会長兼CEOのパトリック・ロー(Patrick C.S. Lo)氏

AV over IP:10Gネットワークによる8K映像伝送、ProAVスイッチ新製品

 ネットギアブースでまず目を引いたのが、98インチの8Kディスプレイと、49インチ×4面のビデオウォールが設置された2つの壁面だ。

通路側に大きく2つのディスプレイ/ビデオウォールを配置

 8Kディスプレイ側では、2台のアストロデザイン製JPEG XS IPゲートウェイ「CD-5550」(エンコーダー、デコーダー)間をネットギアの10Gモジュラー型スイッチ「M4300-96X」でつなぎ、8K映像を10Gネットワークで伝送するデモが行われていた。非圧縮の8K/60p映像データレートは40Gbps超の容量だが、JPEG XSのビジュアルロスレス圧縮(SMPTE ST2110-22)により、10Gネットワークでも映像品質を大きく落とすことなく高精細画像が伝送できる。

 ユースケースの一例として、順天堂大学で開催されたシンポジウム「8K超高精細医療の未来を考える」の講演映像が紹介されていた。これは心臓手術の模様を8K撮影し、その映像を医学生の学習やリモート手術などの用途で役立てようという取り組みだ。8K映像によって心臓組織の微妙な色の違いや細い縫合糸などもクリアに見え、高く評価されているという。

8K映像を10Gネットワークで伝送するデモ展示。エンコーダー/デコーダーの間をネットギアの10Gスイッチ「M4300-96X」で接続していた

 4面ビデオウォールでは、ブース内の数カ所に設置されたPTZカメラ(ソニー、キヤノン、パナソニック製)の4K映像を、10Gネットワーク経由で集約しリアルタイムに表示するデモが行われていた。

 「SDVoEアライアンスパートナー(CYP製)のエンコーダー/デコーダー/コントローラーを使っており、タブレット操作だけで4つの映像ソースを同時に表示させたり、1つの映像ソースを4分割して大きく表示させたりすることが簡単にできる」(ロー氏)

ブース内各所に設置した4Kカメラ映像を10Gネットワーク経由で伝送。画面表示はコントローラーで簡単に切り替えられる

 なおこちらのデモ環境は、ProAVスイッチラインの新製品「M4350シリーズ」で構成されていた。ProAVスイッチの従来製品である「M4250シリーズ」と同様に、プリセットされた各種AV over IPデバイス用の接続プロファイルを選択するだけで最適な設定ができる。ただし1GのみだったM4250とは異なり、M4350シリーズは2.5Gや10G、100Gといった大容量のネットワークにも対応する。ハーフラックモデルや多ポートモデルなど多様なモデルを揃えており、導入目的に合わせて選びやすいのも特徴だ。

 「M4350シリーズの上位モデルでは、SMPTE ST-2110(放送映像機器向けのIP伝送規格)にも対応している。M4350は今後、ProAVスイッチの旗艦シリーズとして、放送映像の現場にも多く入っていくだろう」(ロー氏)

 なお、M4250/M4300/M4350シリーズのスイッチを複数台導入する現場向けに、スイッチの自動検出と中央統合管理ができる「NETGEAR Engage」ツールも紹介されていた。

ProAVスイッチの新製品「M4350シリーズ」。今回のInteropでは「Best of Show Award 準グランプリ」を受賞した

AV over IP:映像配信スタジオ、会議室のソリューション体験展示

 AV over IPソリューションを実際に体験できるデモ展示として、映像配信スタジオ、会議室のデモスペース(協力:アスク・エムイー、アストロサーブ)も設置された。

ネットギアブース内の映像配信スタジオ。実際にアスク・エムイーの公式YouTubeチャンネルでライブ番組配信も行われた

 三脚に設置された2台の放送用PTZカメラ(ソニー「FR7」、AVITOK「V429B4-NDI」)は、ネットギアの「M4250-40G8XF-PoE++」スイッチからPoE++給電を受けていた。2Uサイズのこのスイッチは、1ポートあたり最大90W(Ultra 90 PoE++)、スイッチ全体で2880Wの給電容量を持つ。そのため多数のPTZカメラを設置するような場合でも、それぞれケーブルを1本接続するだけで給電と映像伝送の両方がまかなえる。

ProAVスイッチ「M4250-40G8XF-PoE++」は1ポートあたり最大90W給電が可能。カメラ側のケーブル接続が1本で済む大きなメリットがある

 会議室ソリューション展示では、ネットギアのWiFi 6Eアクセスポイント「WAX630E」や小型モデルのM4250スイッチをはじめ、AVerやキヤノンのPTZカメラ、GENELECのネットワークアクティブスピーカー、SHURE(シュア)の天井設置型アレイマイクなどが設置されていた。もちろんこれらのデバイスはすべてPoE給電が可能であり、ネットワークケーブル1本で容易に設置できるのがメリットだ。

AV over IPでシンプルに構成/設置できるメリットを生かした会議ソリューションの展示

Meural:NFTデジタルアートを「飾る」新たな楽しみ方を紹介

 スマートアートキャンバス「Meural」の展示では、サブスクサービスで楽しめる世界の名画(抽象絵画や印象派絵画、日本の浮世絵)と並んで「デジタルアート」が紹介されていた。

 現在のMeuralは、自分自身のウォレット(MetaMaskやCoinbase)と接続して自身が保有するNFTアート、プロがキュレーションしたNFTアートコレクション(Async Art、SuperRare)なども飾って楽しめるように進化している。

 ロー氏によると、すでに米国や韓国などではMeuralでNFTを飾って楽しむユーザーも増えてきている。「日本でもそういう楽しみ方が普及してくることを期待している」と語った。

「Meural」の新たな楽しみ方として、大きな画面でNFTデジタルアートを飾ることを提案していた

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 AV over IP/ProAV領域の展示では、ネットギア製のスイッチやWiFiアクセスポイントと共に、カメラやマイク、スピーカー、エンコーダー/デコーダーなど他社製のAV over IPデバイスも数多く展示/紹介されていたのが印象的だ。急拡大するAV over IPエコシステムの中核を担うのが、ネットギアのProAVネットワーク製品だ。

 なおビジネスネットワークやホームネットワーク領域の展示については、別途記事をあらためて紹介する。多くの電波が飛び交うInterop会場でも通信スピードが劣化しないWiFi 6E/6GHz帯デモ、ネットギア初のWiFi 7ルーターや5Gミリ波対応のWiFi 6Eモバイルの参考展示などがあり、こちらも来場者の注目を集めていたのでレポートにご期待いただきたい。

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