コア数3倍、メモリ容量1.5倍などハードウェア強化。アナリティクスクエリは最大3.6倍の高速化
OLTPが最大3倍高速に、AMD EPYC搭載「Oracle Exadata X10M」発表
2023年06月22日 13時45分更新
オラクルは2023年6月22日、Exadataプラットフォームの最新世代となる「Oracle Exadata X10M」を発表した。「第4世代 AMD EPYCプロセッサー」の採用により、データベース(DB)サーバーで前世代比最大3倍、ストレージサーバーで同 最大2倍のコア数を搭載。トランザクション処理性能が最大3倍、アナリティクスのクエリ処理も最大3.6倍高速化するという。
発表時点では、オンプレミス製品のExadata Database Machine、顧客データセンター設置のマネージドDBサービスであるExadata Cloud@Customerで利用可能。またX10Mを使った「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」のDBサービス(Exadata Database Service、Autonomous Database Service)については、今後数カ月以内に提供開始予定としている。
オラクルのDBプロダクトマネジメント担当VPであるアシッシュ・レイ氏は、X10Mではトランザクション処理(OLTP)、アナリティクス、DB統合(コンソリデーション)、モダンアプリケーション、セキュリティというすべての側面が改善されたと説明。高度なDB統合の実現による大幅なコスト削減が可能になるとアピールした。
Exadataは、Oracle Databaseワークロードの実行に最適化されたハードウェアとソフトウェア、自動化された管理機構で構成されるデータベース専用プラットフォームだ。レイ氏は「Exadataはミッションクリティカル領域の厳しい要求を持つ顧客の声に応えることでイノベーションを生み、それを製品に反映してきた」と語る。
最新世代となるX10Mについて、レイ氏はデータベースサーバー、ストレージサーバー、ネットワーク接続それぞれの強化ポイントを紹介した。
データベースサーバーでは、最新AMD EPYCプロセッサの採用で搭載コア数が前世代比3倍(サーバー1台あたり最大192コア)に拡大。またDDR5メモリの採用で、最大1.5倍のメモリ容量(最大3TB/台)と、最大2.5倍のメモリスループットを実現している。ネットワークカード(NIC)枚数も、1台あたり3枚から5枚へと拡充された。
またストレージサーバーでもAMD EPYCプロセッサを採用し、コア数は前世代比2倍(64コア/台)に拡大。データベースサーバーからのRDMA(Remote Direct Memory Access)アクセスが可能なキャッシュメモリ「Exadata RDMA Memory(XRMEM)」には、高速/低レイテンシな1.25TBのDDR5メモリを採用している。ストレージ容量も、パフォーマンスティアのEF(Extreme Flash)ストレージは前世代比2.4倍(122.88TB/台)、キャパシティティアのHC(High Capacity)ストレージではハードディスクが1.2倍(264TB/台)、フラッシュアクセラレーターが1.1倍(27.2TB/台)と、それぞれ増強されている。
サーバー間のネットワーク接続部分では、100Gbps RoCE(RDMA over Converged Ethernet)を採用しており、データベースサーバーとストレージサーバーの間で広帯域/低レイテンシのコミュニケーションを実現する。
さらにソフトウェア面でも、大量データのSQLクエリをストレージサーバーにオフロードする「Smart Scan」、圧縮/展開アルゴリズムなどの改良が行われているという。
こうした製品強化によって、前述のとおりトランザクション(OLTP)処理が最大3倍、アナリティクス処理のデータベースクエリが最大3.6倍、インメモリアナリティクススキャンが最大2.4倍高速化するといった性能向上が実現している。
レイ氏はX10Mのメリットとして、1台のExadataにより多くのDBを統合できて大幅なコスト削減につながること、データ処理パフォーマンスの向上で業務効率も向上すること、そしてリアルタイムなデータのインサイトを得ることができるためビジネス成長にもつながることを挙げた。