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この23.8型フルHD液晶は爪を隠す鷹! ViewSonic「VP2456」は色域にこだわり&USB-C搭載のプロ用モデル

文●宮崎真一 編集● ASCII

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 液晶ディスプレーを購入する際、用途によってスペックのどこを重視するかは異なってくる。たとえば、ゲーミング用途であれば高リフレッシュレートへの対応や応答速度が高速なものが求められる。一方、フォトレタッチなどのクリエイティブな用途であれば、液晶パネルの色合いなどの画質をなによりも重視するはずだ。

 今回紹介するViewSonic「VP2456」は、後者のタイプに適した23.8型の液晶ディスプレーだ。では、VP2456は一体どのような製品なのか詳しく見ていこう。

ViewSonic「VP2456」は23.8型フルHDという液晶ディスプレーとしては標準的なサイズ・解像度である一方、クリエイティブ用途向けにパネルの画質を重視したモデルだ

ノングレアのIPSパネルを採用
sRGBカバー率100%など色再現性が優秀

 VP2456は、ViewSonicが色再現性にこだわった人向けに展開する「ColorPro VP56」シリーズに属する。画面サイズは、冒頭でも触れたように23.8型だ。液晶パネルは、光沢のない、いわゆるノングレアタイプで、駆動方式はIPSを採用している。そのため、IPS駆動らしく鮮明な映像表現を実現しており、動画を表示して確認すると赤色や緑色などの自然色が鮮明な印象を受けた。また、視野角は水平方向と垂直方向ともに178度と広く、IPS駆動のメリットがよく出ている。

 コントラスト比は1000:1だが、全画面黒表示と全画面白表示の輝度差を示すダイナミックコントラスト比は、2000万:1を誇る。それゆえ、明暗がクッキリとした映像で、輝度は250cd/m2と特段高いわけではないものの、画面は比較的明るい印象を受ける。

 なお、解像度はフルHD、つまり1920×1080ドットで、リフレッシュレートは60Hzをサポート。さらに、中間色から別の中間色への切り替え表示に要する時間を示す応答速度(GtG)は最速で5msと、ゲーミング用途ではないものの高速応答を実現している。そのほか、画面のチラつきを抑えるフリッカーフリーや、眼精疲労の原因とも言われるブルーライト軽減機能を備えており、長時間の使用でも問題は生じにくい。

 さらに、画面の明るさを自動で調節するDCR(Dynamic Contrast Ratio)を装備し、1刻みで0~100までその効果を調節できる。また、暗がりのシーンを明るく表示し視認性とディテールを向上させる「Black Stabilization」を搭載。その効き具合を0~10の11段階に設定可能だ。

AdvancedDCRの効果を0(上)と100(下)で比較すると、0は全体的に明るいのに対して、100は明暗がクッキリとした印象だ

Black Stabilizationの設定を0(上)/5(中央)/10(下)で見比べてみると、レベルを上げると視認性が向上しているのが確認できる。プレイヤーの衣装や板場の陰がわかりやすいはずだ

 そのほか、ディスプレー側でリフレッシュレートをコンテンツに同期する「Adaptive Sync」を搭載しており、試しに「GeForce RTX 4090」を搭載したPCと本製品を接続してみたところ、「G-SYNC Compatible」として動作した。なお、VESAが策定する規格上、Adaptive Syncを利用できるのは、DisplayPort接続に限られる点は注意したい。

OSDから応答速度を「超高速」にすると、5msの高速動作を実現する

OSDからAdaptive Syncを有効にしている様子

RTX 4090とVP2456をDisplayPortで接続すると、Adaptive Syncを有効にした際、G-SYNC Compatibleとして動作した

 そして、本製品の最大の特徴がsRGBカバー率が100%を誇る点にある。Adobe RGBカバー率は78%、NTSCの色域は77%と、写真や画像といった静止画を広い色空間で表現することが可能だ。

 さらに、DCI-P3のカバー率が80%、EBUが99%、REC809が100%、SMPTE-Cが100%と動画に関しても色再現性はかなり良好。RGB各色は8bitで表現されるが、本製品では6bit+FRCを採用している。FRC(Frame Rate Control)はフレームの残像効果を利用して中間色を作り出す技術のため、純粋な8bitには劣るものの、それでも本製品の色合いはかなり鮮明。もちろん、1677万色を表現可能だ。

 そのうえ、本製品の液晶パネルは、色見本で知られるPantoneの認証を受けている点も見逃せない。しかも、工場でキャリブレーションして出荷されており、購入後すぐ使用しても鮮明な色表現を享受できるメリットはかなり大きい。また、同社が提供する「Colorbration+」(Version 1.2.1.1)というアプリケーションを使用すれば、ソフトウェアキャリブレーションも可能となる。

ViewSonicが提供するソフトウェアで、キャリブレーションができる「Colorbration+」。VP2456でも利用可能だ

スイーベルやチルトなど細かな調整が可能
USB Type-Cは映像入力と電源供給の両対応

 VP2456の外観は黒一色で落ち着いた雰囲気。ベゼルは実測で約5mmと狭縁デザインで、その外観はスタイリッシュ。液晶パネルに非表示領域が設けられていない点も好印象だ。また、23.8型の液晶パネルだけあって、全体のサイズは実測で約537×530×215(W×H×D)mmと、机上に置いても邪魔にならない。

 さらに130mmの範囲で高さ調節が可能なほか、120度のスイーベル機能、マイナス5~プラス21度のチルト機能も用意されており、視線に合わせた位置の微調節が可能だ。そのほか、時計周りと反時計周りのどちらでも90度のピボット機能も備わっているので、液晶パネルの縦置きに簡単に変えられる。写真を撮影した向きに合わせて全画面表示したい場合などで重宝するのではないだろうか。

標準付属のスタンドはピボット機能に対応しており、縦画面配置も可能だ

 スタンドは約280(W)×215(D)mmの長方形の台座に、高さが約410mmほどの支柱で構成される。台座は重量があるため、全体の重心が低く安定感は良好だ。台座と支柱は1本のネジで固定するが、ネジに取っ手が付いているためドライバーを必要とせず、支柱と液晶パネルも溝に爪を引っかけるだけなので、組み立てに工具が要らない点はありがたい。

 支柱は下半分が2本に分かれる構造をしており、その間にケーブルを通してまとめることもできる。その上部には取っ手があり、持ち運ぶ際に役立つ。そのほか、100×100mmのVESA規格もサポートしているため、対応スタンドやアームを装着することが可能だ。

スタンドの支柱には取っ手が設けられており、持ち運びは比較的容易だ

スタンドを背面から見た様子。重心が低く、安定感は良好だ

 映像入力端子は、DisplayPort 1.2とHDMI 1.4、それにUSB Type-C(Alt mode)の3系統を装備。このうち、USB Type-Cは60Wの給電機能、いわゆるUSB PD(Power Delivery)にも対応しているため、最近のタブレットやノートPCで主流の、USB Type-Cで映像出力と充電の両方に対応しているデバイスであれば、ケーブル1本で映像を表示させつつ、充電することが可能となる。ACアダプターを用意する必要がなくなるので、かなり使い勝手がいい。

背面の各種インターフェース。左からDisplayPort、HDMI、USB Type-C、USB 3.2 Gen.1 Type-B、USB 3.2 Gen.1 Type-A×3の順に並ぶ

 そのほか、VP2456には、USB 3.2 Gen.1 Type-Aを3つ備えており、Type-BをPCなどに接続することでUSBハブとしても使用可能。これにより、マウスやキーボードをVP2456に繋いで使用できるため、PCを少し離れた場所に置いたり、机下に置いてケーブルの引き回しにおっくうさを感じたりする場合に重宝する。

 2W×2のスピーカーも内蔵されているが、その音質は筆者の主観であること断ったうえで記すと、やはり低音が物足りない感じがするものの、高音域はクリアな印象を受けた。ただ、背面にはヘッドフォン出力端子は設けられておらず、PCなどに直接繋ぐ必要がある。

内蔵スピーカーの音量はOSDから変更可能

 電源はACアダプターを使用せずに電源ケーブルを直接繋ぐタイプ。ViewSonicによると、VP2456の最大消費電力は27.5Wで、通常使用の典型的な消費電力は16Wのこと。また、OSDからECOモードを有力にすると、消費電力は11.6~13.6Wに軽減できるという。

 付属品は、電源ケーブルのほか、HDMIケーブルとUSB Type-Cケーブル、それにUSB Type-A-USB Type-B変換ケーブルの4本。DisplayPortケーブルが同梱されていない点は残念だが、購入後すぐ使えるだけのケーブルは用意されている。

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