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挑戦する土壌とイノベーションが循環するエコシステム形成を目指す「ひろしまユニコーン10」プロジェクト

「ひろしまユニコーン10」プロジェクト開始から1年間の成果とこれから

提供: 広島県

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ボストンでグローバルの研究開発スピードを実感
プラチナバイオ株式会社

「ひろしまユニコーン10」プロジェクトにおける海外ビジネス展開支援のプログラムが「Hiroshima Global Unicorn Incubator」だ。海外展開を目指すスタートアップを対象にした「Basic Program」と具体的に海外展開の準備を進めるスタートアップを対象にした「Advanced Program」の2コースがある。

「Advanced Program」に採択されたのがプラチナバイオ株式会社だ。同社はバイオインフォマティクスとゲノム編集の技術を用いて産業課題を解決し得る生物機能を一気通貫でデザインし、環境・エネルギー、フード&アグリ、医療などの分野の共創パートナーと社会課題の解決に取り組む、広島大学発のスタートアップだ。ボストンでの渡航プログラムに参加した同社COOの石井敦浩氏にお話を伺った。

プラチナバイオ株式会社 COO 石井 敦浩氏

――プログラムに参加した理由を教えてください。

石井敦浩氏(以下、敬称略):弊社独自のゲノム編集技術「Zing Finger(ジンクフィンガー) ND1(以下、「ZF-ND1)」を創薬に応用するにあたり海外市場での事業機会を探索したいとの思いからです。創薬への投資は海外企業のほうが積極的なので、海外進出は必須と考えていました。

――海外企業とのネットワークづくりは、国内スタートアップにとって難しい部分もあるのでしょうか?

石井:海外企業と接点を持つ機会が限定的であり、研究成果を海外にどのように発信すれば効果的なのかがわからないという課題を感じていました。そうしたときにジェトロ広島の方から、このプログラムを紹介いただき、先端技術に投資する海外企業とのネットワークづくりの機会になるのではと思い、応募しました。

――プログラムで取り組んだ内容を教えてください。

石井:プログラムは企業経営や海外展開に関して学ぶ講義と、米国ボストンへの渡航プログラムの大きく2つに分かれていました。

 講義は毎回、興味深かったです。スタートアップ経営者の先輩から事業開発や資金調達、知財マネジメントや海外展開に関する実践的な体験談や講義を聞くことができ、実務に役立つ情報がたくさんありました。

――ボストンへの渡航プログラムでは、どのようなことに取り組みましたか?

石井:我々の「ZF-ND1」を用いて研究開発を進めている遺伝子治療のパイプラインに関する発表を、CICボストンで行いました。メンターがCICボストンでヘルスケアに精通されている方だったこともあり、現地の視点で発表資料についてもアドバイスをもらいました。ボストンでは、企業や研究機関が日々情報交換を行っていて目が肥えているので研究データを示さなければ議論してもらえないというカルチャーの違いや、自社の立ち位置を理解して成果を積極的かつ効果的に発表するハングリー精神を実感しました。

 なにより米国の研究開発スピードを体感できたことが大きな収穫でした。ボストンではスタートアップ関連施設やシェアラボなどを視察したのですが、スタートアップが研究開発の成果を2〜3日に1回のペースで事業会社にアピールしたり、企業や研究機関の間で情報交換したりできる環境が整っていました。グローバルに展開するなら、同じくらいのスピード感で事業を進める必要があることを肌で感じました。

CICボストンで行ったピッチの様子

――今回の経験をもとにどのような対策をとられるのでしょう?

石井:研究成果や取組事例の発信を国内外で強化するべく、研究開発部とも連携しながら、取組事例やニュースリリースをメディアやイベントでこまめに発信するなど、できることはさっそく改善しています。また、今回のようなグローバルアクセラレーションプログラムやグローバルの事業開発イベントへの参加、現地のエコシステムやマーケットの情報を持つ人とのネットワーキングもこれから強化していきたいと考えています。将来的に海外展開を本格的にスタートさせる際は、海外拠点を構えて現地の企業とのディスカッションを柔軟かつ迅速に進められる体制も整えたいと考えています。

――参加の感想を教えてください。

石井:ここまで手厚く支援してくれるプログラムは、ほかにないと感じています。広島県やジェトロ広島の方々からはプログラム期間を通して、フィードバックをどんどんしてほしいともお声がけいただき、スタートアップの支援に熱心に向き合っていただいていることを感じました。

 スタートアップはもちろん、投資家や地元企業にも細かくヒアリングしながらプログラムを作られているので、実態に即したスタートアップエコシステムが形成されている印象です。海外ではスタートアップが身近な存在で、大学卒業後のキャリアとしてスタートアップ就職や起業がひとつの選択肢になっていますが、国内では特に地方ではまだそのカルチャーが浸透していません。広島県の取組が成功事例となることで、スタートアップでのキャリアに魅力を持ってくれる方が増えることを期待しています。

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