今後は幅広いネットワークソリューションへと事業ポートフォリオを拡大
HPEが「Aruba Networking Central」次世代版を発表
2023年05月26日 07時00分更新
日本ヒューレット・パッカード(HPE)は2023年5月25日、IT部門によるネットワーク管理プロセスの簡素化と運用の俊敏性を支援するため、クラウドベースのネットワーク管理ソリューションである「HPE Aruba Networking Central」(以下、Networking Central)の次世代版を発表した。
Networking Centralは、2014年に最初の世代が登場した。2世代目でサービスの一元化を実現し、今回発表された新世代版ではAIプラットフォームを採用して、管理のシンプル化を目指した製品になっているという。
HPE Aruba Networkingで全世界営業部責任者を務めるアラン・カーペンター氏は、「ネットワークの可視化、そして管理の仕方をシンプル化して、劇的にUIを変えていこうと考えた」とその狙いを説明する。
新たなビューの1つが「ソーラーステム」ビューで、複数のネットワークのエンティティの見せ方をシンプル化し、問題を見つけやすくしたという。
もう1つのビューが「サンバーストトポロジー」ビューで、マルチレイヤーで物理的および論理的なトポロジーを表示し、大規模なネットワークの可視化を実現した。「ネットワーク上で何が機能して、何が機能しないのかが一目で分かる」形になっているという。
そのほか「ネットワーク・タイムトラベル」機能も追加された。これは最大7日間、1分単位でネットワークの状態を記録したスナップショットを確認でき、特定の時点まで数分で復旧が可能だという。
また、顧客やチャネルパートナーがHPE GreenLakeプラットフォーム上で月額サブスクリプション型の導入/展開/管理を可能とする“Network-as-a-Service(NaaS)”の新たな利用方法として「HPE GreenLake for Aruba NaaS Service Packs」を発表した。これは、パートナーが顧客向けにNaaSソリューションを設計/提供できるようにするもので、「ClearPassネットワークアクセスコントロールソリューション」をベースにしたNetwork Policyサービスパックとなる。日本国内では2023年11月以降に受注開始予定としている。
今後はネットワークソリューションにも事業ポートフォリオを拡大
発表会ではHPE Aruba Networkingの国内戦略も説明したした。HPE ArubaブランドではWi-Fiアクセスポイントやスイッチが有名だが、今後は他のソリューションの販売を積極的に行い、事業ポートフォリオの拡大を図っていくという。
「ひと言で言えば『Arubaと言えばWi-Fi』という世界から、『トータルネットワークを提供できる会社』という形に変わってきている」(日本ヒューレット・パッカード 執行役員Aruba事業統括本部長 本田昌和氏)
事業ポートフォリオ拡大のために「事業開発本部」を新設し、パートナーを含めた営業職の人材育成、マーケティングからの発信力強化などを図るという。
また“One HPE”として、サーバやストレージ、GreenLakeといったネットワーク以外の製品やサービスとも連携し、データセンター、5Gといった新しいビジネス領域を効率よく開拓していく。
データセンター向けでは、スモールスタートが可能な「CX10000」スイッチを積極的に販売する。
さらに「DX向けのプラットフォーム」というキーワードで、プロダクトベースの提案ではなく、顧客の課題解決のためのソリューション提供活動を強化するとした。
たとえばセキュリティでは、SSE(Security Service Edge)とSD-WANの組み合わせでゼロトラストソリューションを提供していく。これは、HPEが3月に買収を発表したクラウドセキュリティプロバイダーのAxis Securityが保有するソリューションを活用する。
「Axisの買収を通じて、非常に強力なSASE(Secure Access Service Edge)を実現するプラットフォームが手に入った」(本田氏)
SMB向けには「Aruba Instant On」を提供し、スマホアプリからの簡単設定/管理を実現する。SMBに対してはe-コマースサイトを新たにつくり、販売チャネルの拡大も図る。
そのほか、営業リソースへの投資、新規パートナー開拓、インサイドセールスの活用なども行っていく。
Wi-Fiや「GIGAスクール」向けの施策
Arubaが得意とするワイヤレスネットワークでは、製造業や小売の顧客を中心に店舗、工場、倉庫といった場所での無線化、IoTの活用といった需要が増えているという。そうした動きをふまえ、今後はIT部門だけでなく、ライン部門へのアプローチも強化する。
また、数年前に大きなムーブメントがあった「GIGAスクール」向け施策については、リフレッシュサイクルの波をとらえたいとした。数年前に導入した機材を入れ替える提案だけでなく、導入済みの機材をベースに次に何をすべきかという部分まで広げて提案するという。そうした施策の一環として、GIGAスクール専用サイトを先日オープンし、今後は積極的に情報発信を行うとした。