ポストコロナで海外カンファレンスはリアルイベントが再熱 識者が教える傾向と対策
JID2023セッションレポート「最新版、海外カンファレンスの活用術」
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ASCII STARTUPは2023年3月3日、先端技術やイノベーションに関わる企業、団体が集う展示カンファレンス「JAPAN INNOVATION DAY 2023」を東京・赤坂インターシティコンファレンスにて開催した。セッション「最新版、海外カンファレンスの活用術」では、2023度の海外カンファレンスの近況報告、展示会への参加で成果を出すためのポイントについて議論した。
登壇者は、JETRO スタートアップ支援課 課長代理 澤田佳世子氏、株式会社DG Daiwa Ventures キャピタリスト 西川由真氏、株式会社THE BRIDGE 共同創業者兼シニアエディタ 池田将氏の3名。
コロナ禍が収束し、昨年から徐々に海外の展示会が再開されてきている。2023年1月に開催されたCESでは日本企業の活躍が多く、今後はスタートアップの海外展示会への参加がより活発になると見込まれる。オンラインでのリモート参加も可能となり、海岸展示会のあり方は変わってきているようだ。
ポストコロナでリアルイベントは重要なネットワーキングの場に
池田氏は2022年3月、3年ぶりにリアル開催された「SXSW 2022」に参加。コロナ前の8割程度は賑わいが戻ってきたようだったが、日本企業の出展はまだ少なく、北米中心だったという。この1年間で10近くのスタートアップイベントに参加した印象としては、アジア圏はマスク着用など多少の警戒感はあるものの、欧米は完全にノーマルに戻っているとのこと。
「スタートアップ界隈にとって資金調達は冬の時代と言われるなか、スタートアップイベントがないと、起業家と投資家が出会う機会を創出できない。その危機感からイベントが増えていると感じる」と分析する。
澤田氏によると、JETROのスタートアップ支援課では、昨年までは海外テックイベントには年間3本しかリアル参加できなかったが、2022年度は10本以上リアル参加しているとのこと。また「コロナ禍を受けて、リアルの重要性を認識されたように思う。これまでのテックイベントに参加する目的は、トレンドの把握や業界情報のキャッチアップとしての活用が主流だったが、今年はさらに一歩進み、新たなコネクションを広げて、その場で商談を進めていきたい、というリアルだからこそできることをやろうという印象を受ける」と話す。実際、「CES 2023」のジャパンパビリオンに出展したスタートアップの商談件数は過去と比較して数倍に伸びているという。
西川氏は、コロナ過は海外イベントへの参加は減ったものの、オンラインミーティングが普及したことから、現地に行かずとも海外VCと密に連絡を取り合うことができ、かえってネットワークを強化できたという。また最近は、リアルで会うことの価値が高まり、ハイブリッド型で開催されてきたイベントが現地のみにするケースも増えてきている。こうした久々のリアル開催となったイベントには大物が来場するのが今年の傾向で、イベント参加はトップティアVCや企業の役員と直接話せる絶好のチャンスだ。
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