5月16日、Webブラウザ「Vivaldi」を開発しているノルウェーのVivaldi Technologiesはアイスランド大使館で、プレスカンファレンスを行なった。Vivaldiは4月に最新のデスクトップ版Vivaldi 6.0がリリースし、5月5日にはVivaldiアカウントの2要素認証などを導入するなど、勢いよくバージョンアップを重ねている。
リリースから7年 世界中で使われるVivaldiブラウザ
まずは冒頭、ステファン・ホイクル・ヨハネソン大使からアイスランドの紹介が行われた。再生エネルギーで国が使う100%の電力を賄っているのは驚きだ。日本で食べられているししゃもの8割がアイスランド産、知ってました? なぜVivaldiのプレスカンファレンスがアイスランド大使館で行なわれたかと言うと、テッツナー氏がアイスランド生まれのアイスランド人だから。もちろん、Vivaldiもアイスランドに拠点を持っている。
続いて、VivaldiのCEOであるヨン・スティーブンソン・フォン・テッツナー氏から、Vivaldiのプレゼンが行なわれた。2016年にリリースされて7年、世界中で愛用されているブラウザに育ったものの、従業員はたったの50名とのこと。それなのに、25もの国籍の社員が働いているという。さらにユニークなのが投資家が入っていないこと。100%従業員の持ち株会社なのだ。
これはテッツナー氏の哲学によるもの。投資家が入ると、利益を上げるためにやりたくないことをしなければならなくなるというのだ。そもそもテッツナー氏はあの「Opera」ブラウザの共同創業者だ。上場後、2011年に会社を辞めたのも、やりたいことができなくなったから。
そんな創業の経緯については、2016年にインタビューした「世界中のファンが待ち望んだ、新参ブラウザー「Vivaldi」CEOにいろいろを聞いてみた」をチェックしてほしい。しかし、テッツナー氏とVivaldi共同創業者の冨田氏と3人で撮った写真が掲載されているが、二人とも7年で見た目が全然変わってない。羨ましい……。
自動車で使えるようになるVivaldi
Vivaldiは現在、PCがWindows、Mac、Linux、スマホ・タブレットはAndroidと本日発表されたiOSに対応しており、さらには自動車にも搭載されている唯一のブラウザだという。世界で初めてAndroid Automotive OS版としてリリースされており、PolestarやRenaultに搭載されているのだ。
また、今年に入ってメルセデス・ベンツのEクラスでVivaldiが使えるようになると発表があり、フォルクスワーゲングループのAudiもVivaldi対応車を6月から出荷する予定だという。
さらに5月10~12日にアメリカで開催された「Google I/O」で、なんとGoogleはVivaldiが2億台超の次世代車で利用できるようになると発表。Vivaldiユーザーは色めき立った。
Vivaldiのビジョン、充実したタブ、RSSリーダーや同期機能も紹介
現在、Vivaldiのホームページを開くと、「Powerful, Personal, Private」というビジョンが表示される(2016年の時は「Browser for our friends」だった)。この「Powerful」について、Vivaldi共同創業者でCOOの冨田龍起氏が詳細を紹介してくれた。普段、冨田氏はアメリカのカリフォルニア州にいるのだが、カンファレンスのために来日したそう。
「(Vivaldi 6.0で搭載された新機能である)ワークスペースは、プロジェクトごとに、文脈ごとに、もしくは1日の中でワークフローを分けたりして使います。この機能はほかのブラウザにもありますが、Vivaldiがユニークなのは、タブスタックをワークスペースの中で使えるところです」(冨田氏)
Vivaldiの大きな特徴の一つが充実したタブ機能。他のブラウザと比べてもダントツに柔軟な設定が可能で、かゆいところに手が届くのだ。この機能をワークスペースの中でも利用できるので、多数のタブを開いて、縦横無尽に情報を収集する際にはとても効率的だ。
冨田氏は30インチの4Kディスプレイで作業しているそうで、タイル機能で複数のウェブページを並べて表示しているという。データを参照しながらスプレッドシートに入力したり、英文を翻訳しながら海外サイトを読んだりできる。
現在のVivaldiには、当初のロードマップ通り「メール」や「カレンダー」機能が搭載されている。さらには、Googleが撤退した「Googleリーダー」のようなRSSリーダーも搭載している。Vivaldiアカウントによる同期機能も強力で、PCとスマホ、そして車でもシームレスに同じ情報にアクセスできるのだ。