他クラウドへの接続先拡張、DWHのストレージ価格75%値下げ、新UIのデータツールなど発表
オラクル、“マルチクラウドDWH”実現に向け「Autonomous Data Warehouse」機能強化
2023年05月17日 07時00分更新
オラクルは2023年5月16日、クラウドデータウェアハウス(DWH)サービス「Oracle Autonomous Data Warehouse(ADW)」の機能拡張や価格改定を発表した。
他社パブリッククラウドとの相互接続による「マルチクラウドDWH」を実現する機能強化、新しいデータ管理ツール「Autonomous Database Data Studio」と100種を超えるデータソースコネクタ、データベースのストレージコストをオブジェクトストレージと同等まで引き下げる発表が含まれる。
オラクルのADWは、“自律運転”を特徴とするクラウドデータベースサービス「Oracle Autonomous Database」をベースに、ローコードのデータ管理/変換ツール、データレイクハウス、DWHなどを統合したクラウドDWHサービスだ。アナリティクスの自動化機能も備えている。
今回は、以下4つの機能強化を発表している。
●「マルチクラウドDWH」基盤の機能拡張
オラクルでは、これまでも他社クラウドのオブジェクトストレージに対するセキュアなアクセス、「Azure SQL」「Azure Synapse」「Amazon Redshift」「Snowflake」「MongoDB」「Apache Hive」「PostgreSQL」のデータベースアクセス、さらにマイクロソフトとの提携による「Oracle Database Service for Microsoft Azure」などを実現し、あらゆるクラウドにあるデータソースを活用できる「マルチクラウドDWH」のアプローチを推進してきた。
今回は、AWSのクラウドETLサービス「AWS Glue」のデータカタログとADWデータカタログの連携/統合、「Apache Iceberg」テーブルへのクエリアクセスなど、マルチクラウドDWHのプラットフォームを強化する機能追加が発表されている。
●データレイクのコスト削減
今回、ADWのベースとなっているExadataストレージの価格(利用料)を1TBあたり118.40ドルから25ドルへと75%以上引き下げ、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」で提供するオブジェクトストレージと同等の価格にしたという。
ADWに最適化されたExadataストレージを利用することで、分析クエリはオブジェクトストレージ比で5~20倍高速に処理できるという。今回の価格引き下げにより、ユーザーはオブジェクトストレージかExadataかという判断を迫られることなく、ADWが分析対象とするすべてのデータをExadata/ADWに保存すればよくなる。
●「Data Studio」によるデータ統合の簡素化
新しいデータツールのData Studioは、ETL、データカタログ、分析、データインサイト、データ共有、APIといった機能を直感的なUIで提供し、データの統合や管理を簡素化、セルフサービス化する。
新しいData Studioは、100種類以上のデータソースと接続できるコネクタ「Data Transforms」を内蔵している。また「Microsoft Excel」「Google Sheets」向けのプラグインによるADW上のデータへのアクセスや可視化も可能だ。
●オープンなデータ共有(データシェアリング)
データ共有のオープンプロトコル「Delta Sharing」APIに対応し、他のADWやオラクルデータベースだけでなく、他社のDWHやクライアント(BIツールなど)とセキュアにデータ共有できる点も強調している。
そうしたデータシェアリングの一例として、ADW上のデータテーブルを共有し、Power BIで分析/可視化するケースを紹介している。共有したデータのセキュリティやガバナンスは、引き続きADW側でコントロールできる点もポイントだ。
なおADWは、パブリッククラウドのOCIに加えて、顧客データセンター設置型の「Oracle Exadata Cloud@Customer」「OCI Dedicated Region」でも提供される。