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非化石証書の直接調達と電力需給のマッチングプラットフォームの商用化

IIJがカーボンニュートラルデータセンターへの取り組みを説明

2023年04月25日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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 2023年4月24日、インターネットイニシアティブ(IIJ)は、カーボンニュートラルデータセンターへの取り組みを説明。2023年夏から非化石証書を活用した実質再生可能エネルギー由来の電力供給を開始することを発表した。また、環境価値付き電力を割り当てるための電力需給マッチングプラットフォームの実証実験を実施し、2024年度の商用化に向けた開発を進める。いずれも同社の千葉県白井市の白井データセンターキャンパス(白井DCC)を対象に実施する。

環境価値付き電力の需要の増加に対応

 環境価値付き電力供給に向けた非化石証書の直接調達は、データセンター利用者の脱炭素化推進を支援することを目的に、利用者のニーズに合わせて、再生可能エネルギー由来の「環境価値付き電力」を割り当てる取り組みだ。改正省エネ法では、2022年度にデータセンター利用者によるエネルギー使用量の定期報告を義務化したのに続き、2023年度には再生可能エネルギーを含む非化石エネルギー転換についての中期計画書と定期報告が求められることになる。

環境の変化と新たなニーズ

 IIJでは、顧客のサーバーやネットワーク機器などを預かるコロケーション、ハウジングサービスを提供しており、改正省エネ法によって、データセンター利用者の環境価値付き電力の需要が高まることを想定している。また、IIJは2023年4月に一般社団法人日本卸電力取引所の非化石価値取引会員に加入しており、IIJがFIT非化石証書の直接調達を行ない、非化石証書を活用した実質再エネ由来の電力をデータセンター利用者に供給するサービスを、2023年夏から提供を開始する予定だ。

 インターネットイニシアティブ 基盤エンジニアリング本部 基盤サービス部 データセンター基盤技術課長の堤優介氏は、「非化石証書には、データセンター利用者名が明記されており、環境価値を自社で利用することができる。小売電気事業者から提供される非化石証書は、現制度では二次利用ができないが、この仕組みにより、自社のエネルギー消費への割り当てができるようになる。また、実績使用量に応じた調達ができるため余剰コストを抑制できる。直近のオークションでは、約定加重平均価格が0.3円/kWhとなっており、現時点では低コスト化も期待ができる。さらに、RE100報告や温対法報告などにも利用でき。詳細ニーズへの対応が可能になる」などと、新たなサービスのメリットを示した。

インターネットイニシアティブ 基盤エンジニアリング本部基盤サービス部 データセンター基盤技術課長 堤優介氏

トラッキングシステムにより、電力・環境価値の割り当てを確認

 一方、電力需給マッチングプラットフォームの実証実験では、「電力・環境価値P2Pトラッキングシステム」に、自社データセンターの実際の電力データを適用。環境価値付き電力の割り当て機能の動作やプロセスの検証を行なったという。

 2023年3月に実施した実証実験では、電力・環境価値P2Pトラッキングシステムを活用して、データセンター事業者と利用者間で、電力・環境価値の割り当てを確認。ブロックチェーン技術を利用することで、改ざんが不可能な状態で管理し、安全な利用証明が可能になることを確認したという。また、多様な電源調達を実施している白井DCCでは、これらの実データを利用して、電源割合を指定するなど、電力需給マッチングプラットフォーム機能の有効性も実証できたという。

電力・環境価値P2Pトラッキングシステムの導入

 堤氏は「データセンター内での多様な供給側電力を、識別情報を持った電力として扱うことで、分類、管理し、利用者のニーズにあわせた電力環境価値を提供し、利用証明を行なうことになる。データセンター利用者に対する再エネ利用証明は新たな付加価値になると考えている。また、電気をデータで管理するため、電力需要の将来予測も可能になり、調達量の最適化や余剰コストの抑制を実現。自動割当による管理コストの削減といったメリットが期待できる」とした。

 なお、同プラットフォームで利用する電力・環境価値P2Pトラッキングシステムは、関西電力が開発。「すでに実証済みのシステムである」だという。

 今回の実証実験に続き、2023年度には、第三者認証スキームなどの商用利用に向けた検討および追加検証を実施する予定であり、2024年度には商用サービスとして提供を開始する予定だ。

電力需給マッチングプラットフォームの提供

 堤氏は「電力および環境価値の情報や履歴を管理、保管できることから、この特性を生かして、環境価値の余剰分をデータセンター内で融通取引したり、グループ会社であるディーカレットDCPが進めるデジタル通貨のDCJPY(仮称)を利用した環境価値取引と連動したデジタル通貨決済を検討している。デジタル通貨は、決済業務での利用だけでなく、環境価値そのものを使って、IIJのネットワークサービスを購入するといったデータセンター内での活用も期待している」と説明した。

2030年までにPUEを業界最高水準に

 IIJでは、2030年度を目標にデータセンター(スコープ1および2)の再生可能エネルギーの利用率を85%に引き上げること、2030年度までにデータセンターのPUEを業界最高水準の数値以下にすることを目標に掲げている。

 インターネットイニシアティブ 基盤エンジニアリング本部基盤サービス部長の久保功氏は、「IIJ全体では、温室効果ガス排出量の7割以上をデータセンターが占めている。そのため、データセンターにおける再生可能エネルギーの利用とエネルギー効率の向上により、温室効果ガスの削減に取り組むことが重要な課題と認識している。IIJでは、約20カ所のデータセンターを運用しているが、自社データセンターは島根県松江の松江DCP(データセンターパーク)と、白井DCC(データセンターキャンパス)の2カ所であり、残りはDC in DCによる事業展開となっている。自社データセンターでの温室効果ガス削減の取り組みを主体的に進めているところである」とコメントする。

インターネットイニシアティブ 基盤エンジニアリング本部 基盤サービス部長 久保功氏

 白井DCCは稼働率向上によって、PUE1.3台を達成する見込みであり、松江はPUE1.2台を維持していることを示しながら、「省エネ法ベンチマーク制度では、データセンター業で目指すべき水準としてPUE1.4が設定されており、自社データセンターでは、それを下回ることになる。省エネは低炭素社会に貢献するだけでなく、ランニングコストの削減にも直結しており、250ラックの省エネデータセンターでは年間で約1億円の電気代削減が可能になる」などと述べた。

 特に2019年5月から稼働している白井DCCは、省エネ設計を盛り込んだデータセンターで、リチウム蓄電池の活用や太陽光パネルの設置、効率性の高いUPSの採用のほか、直接外気冷却方式を採用し、サーバールームに直接外気を取り込み、床吹出しと比べて、空調機の送風動力を約3分の1まで削減。さらに、今回発表した非化石証書調達により、自社再エネ率の向上や顧客への再エネ価値を提供。2023年度には、オフサイトPPAによる再エネ電力の調達を推進するという。2023年7月には、白井DCCの2期棟の運用を開始する予定だ。

白井データセンターキャンバスの概要

 堤氏は、「改正省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)に伴い発生する新たなニーズに対応し、データセンター利用者の脱炭素化を支援できる。IIJは、従来型データセンターから脱却し、カーボンニュートラルデータセンターの実現を目指しており、そのリソースを活用することで、新たな価値を顧客と社会に還元していく」などと述べた。

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