フェイク検知、インデックス不要の全文検索、デジタルツイン制作など多様なAI展示
JAPAN INNOVATION DAY 2023ブースレポート
ASCII STARTUPは2023年3月3日、オールジャンルの展示交流カンファレンスイベント「JAPAN INNOVATION DAY 2023」を開催した。76の国内先進スタートアップ、テクノロジー企業がブースを出展したほか、トークセッションやピッチなどを行った。今回の記事では展示会場の様子を「AI」のカテゴリーからピックアップして紹介する。
AIによる生成物を画像、音声、動画を問わずフェイク検知
NABLAS株式会社
NABLAS株式会社のブースでは、同社独自のディープフェイク検知システムなどの展示とデモが行われていた。
ディープフェイク検知システムは、動画でも画像(イラスト)でも音声でも、「AIによって生成されたか」を判定できるというシステムだ。画像の生成AI技術が世の中に浸透していく一方で、悪用されてしまうケースも考えられる。こうした場合に備えて、メディアやSNSでの生成と加工の判定、本人認証や情報信憑性を担保したいケースにおいて活用されることが期待される。
このほかにも、DX推進を加速させる完全カスタマイズ型のノーコードAIツール「nablasian」やAI人材育成サービス「iLect」など多様なサービスの展示を行っていた。
世界最大級のスタートアップデータベース「ZUVA PRO」
Zuva株式会社
Zuva株式会社は、世界最大級となる約155万社のスタートアップデータベースと、それらのデータをAIにより抽出する技術を持つスタートアップだ。ブースでは、スタートアップデータベース「ZUVA PRO」のデモが行われた。「ZUVA PRO」は月額2万5千円のサブスクリプションモデルで提供される。事業会社や金融企業、VC(ベンチャーキャピタル)などが共創や投資先を検討する際に利用されることが多いという。
また、チケット制で希望のテーマに基づいたスタートアップのアタックリストを作成する「ZUVA DATA LEAP」や、世界のスタートアップとの交渉や提携実務に精通した担当者が共創の橋渡しをする「ZUVA BRIDGE」などの関連サービスも充実している。日本とシリコンバレーの2拠点体制で、事業会社の新規事業開発をサポートする。
デジタルツインを簡単に作成する次世代型AIシミュレータ「assimee」を展示
BIRD INITIATIVE株式会社
BIRD INITIATIVE株式会社は次世代型AIシミュレータ「assimee」の展示を行った。「assimee」は現実に忠実なデジタルツインを簡単に作成し、工場やサプライチェーン全体における人員配置や在庫数の最適化、ボトルネックの分析などができるSaaS製品だ。現実の制約を満たしたうえでの最適な施策が提示されるため、ユーザーは納得感のある意思決定が可能となる。
たとえば商品の製造工場においては「生産管理の予測を現場の経験や勘に頼っている」、「Excelでの管理に限界を感じている」などの課題を抱えているケースもあるだろう。
「assimee」を導入することで、デジタル空間上に生産ラインや物流拠点を再現できるため、リスクのない環境で、高速かつ安価に試運転や評価、改善を繰り返すことが可能となるという。
世界初TSP方式の全文検索システムを展示
株式会社エイ・オー・テクノロジーズ
エイ・オー・テクノロジーズのブースでは、世界初となるインデックスのいらない全文検索プロセッサ(TSP:Text Search Processor)搭載システムのデモが行われていた。
メールやファイルなど、複数の文書の中から特定の文字列を探す「全文検索」は、日常生活や仕事に密着した重要な情報処理だ。しかし我々が気軽に検索するその裏側にはデータベースのインデックス(索引)が必要であり、このインデックスの作成に時間や手間がかかるのだという。同社の全文検索を使用すれば、インデックスが不要で、高速かつ高精度な全文検索が可能になるという。
ブースで説明をしてくれた同社代表取締役の井上克己氏は、「マイクロコンピュータ誕生直後から、様々なコンピュータシステムの開発に携ってきた」という。