広島からユニコーン創出へ グローバル目指すスタートアップ5社の実証実験の成果
広島県 D-EGGS PROJECT「サキガケ」 デモデイ2023 イベントレポート
提供: 広島県
小型船舶の自律航行AIプラットフォームで海上に新たな市場を創出する
株式会社エイトノット
エイトノットは小型EV船の自律航行により、海上交通のDXに取り組むスタートアップだ。ヒューマンエラーによる船舶事故や船員の人材不足、航路の事業継続などの課題に取り組み、海上に新たな市場を形成していく。
2021年3月に創業したばかりにもかかわらず、開発した小型船舶向け自律航行プラットフォーム「AI CAPTAIN」は、広島県で社会実装をスタートしている。「AI CAPTAIN」は既存の船舶に取り付け、目的地を設定するだけで、フルオートの航行を可能にする。操船で最も難しいとされている着岸も可能だ。
エイトノットは2021年4月に、自律航行技術が未完成の段階だったが、「D-EGGS PROJECT」に採択された。広島商船高等専門学校や旅客船事業者の有限会社バンカー・サプライと共創し、自律航行を活用した水上タクシーなどの実証を行ってきた。
今後は瀬戸内海を拠点に、他地域への事業展開を加速させる展望だ。2025年までに広島県で無人航行を実現し、段階を経て日本各地への展開を見据える。木村氏は「社会課題の解決はもちろん、海上における新しい経済圏の創出にもチャレンジする。最終的には世界を目指して事業を進めていきたい」と語った。
ピッチ後、会場からスペシャルコメンテーターとして広島商船高等専門学校の岸拓真氏がコメント。「エイトノットの技術開発スピードには驚きの連続だった。船舶の自律航行に向けた信念とロボティックスが大好きなメンバーが集まっているからこその成果だと思う。今後も自律航行の安全性を高めるために協力し、世界で使われる技術になるよう応援していきたい」と述べた。
ラストマイルの輸送に新たな労働力を供給する自動配送ロボットを開発
LOMBY株式会社
LOMBYはラストマイルの輸送に新たな労働力を供給する自動配送ロボットを開発している。労働人口が減少している一方で、配送需要は右肩上がりに増加している。2024年には運送業界における時間外労働の上限規制が適用されるため、人手不足のさらなる深刻化が予想される。
現在開発中の自動配送ロボット「LM-R1」は、遠隔操作の屋外走行と完全自律の屋内走行が可能だ。屋内の自律走行時に、オペレーターが別の機体を遠隔操作し、1人で2機を稼働させることも可能となる。また、LOMBYを導入した店舗では専用アプリで機体のQRコードを読み取り、ボックスを開けて荷物を積めるため、現場作業員を配置する必要もない。
「サキガケプロジェクト」におけるロードマップとしては、2022年度の開発フェーズを経て、2023年度はサービス検証に注力する。また海外からの遠隔操作の検証も行うなどして、より低コストかつ効率の良い配送の実現を目指す。
グローバルでも100万人都市において10台以上の配送ロボットが同時運行している事例はないといい、100万人都市である広島市で2023年度に達成できれば世界初の取り組みとなる。
内山氏は「1号機から広島県で製作を進めており、Made In Hiroshimaが実現できると感じている。広島県発のロボットサービスで世界のラストマイル輸送をアップデートしていきたい」と語った。
ピッチ終了後、スペシャルコメンテーターとして経済産業省の脇谷恭輔氏は「4月1日に改正道路交通法が施行され、自動配送ロボットがいよいよ公道を走行できるようになる。今後の課題としては市場創出やコスト削減が挙げられる。LOMBYは低コストかつ効率的に稼働させることに関して先進的な技術を有するため、市場を盛り上げる取り組みになると思う」と述べた。