日本電気は3月29日、AIを活用し地雷埋設エリアを予測する実証実験を行なったと発表した。
地雷は、森林や砂漠では保護色のものが使われるため埋設位置を特定するのが難しく、また人や車両が通る場所を選んで埋設されるため、紛争が終わった後も人命に危害を与えやすい兵器。2021年には、クラスター爆弾や地雷などのERW(Explosive Remnants of War:爆発性戦争残存物)による死傷者は世界で5554人に達し、その大半が民間人であるとされている。
本実証は2021年6月に開始した赤十字国際委員会(ICRC)との共創プロジェクトの一環として行なったもの。実証ではICRCから河川・山岳地帯などの地形情報、工場や重要建物の位置といったオープンデータや、住民からの情報などの提供を受け、NECのAIで有効な情報を選択し分析。地雷埋没の可能性が高いエリアを予測した。アジア地域の紛争地の情報をもとに予測したところ、実際に地雷が埋設されていた位置との合致率およそ90%を実現し、高精度に予測できることを確認した。
これにより、従来は膨大かつ未整理の情報をもとに、多くの人が時間をかけて行なっていた地雷埋設の可能性が高いエリアの特定を、少ない人員で迅速に行なうことが可能になり、安全・迅速・効率的な地雷除去を支援するとともに、調査地域の拡大に貢献するという。
同社では今後、他のアジア・アフリカ地域などの情報をもとにした実証実験や、ドローンや人工衛星などリモートセンシングにより得られる情報の活用を通じてAIの予測精度と分析速度を向上するとともに、2023年度中に、本AIを活用した地雷埋設エリアの予測ソリューションを、各国の政府や国際機関などに提供することを目指すとしている。