東京大学や東京理科大学らの共同研究グループは、植物が器官を再生させるときに遺伝子の働きを制御する「ヒストン脱アセチル化酵素」の同定に成功した。この酵素の活性を人為的に制御することで、必要なときに植物の器官を再生させる手法を開発することが可能になるという。
東京大学や東京理科大学らの共同研究グループは、植物が器官を再生させるときに遺伝子の働きを制御する「ヒストン脱アセチル化酵素」の同定に成功した。この酵素の活性を人為的に制御することで、必要なときに植物の器官を再生させる手法を開発することが可能になるという。 植物は高い器官再生能力を持っているが、器官を再生するときには、適切な場所や時間で、必要な遺伝子のスイッチをON/OFFする必要がある。遺伝子の働きは、DNAに結合する塩基性タンパク質・ヒストンの修飾によって制御されており、ヒストンのアミノ酸がアセチル化されると遺伝子はONになり、脱アセチル化されるとOFFになる。 研究チームは今回、20種類以上存在するシロイヌナズナのヒストン脱アセチル化酵素に注目し、一つひとつ機能を失わせながら、器官再生を制御する酵素の特定を試みた。その結果、ヒストン脱アセチル化酵素の一つである「HDA19」の変異体では器官が再生せず、その変異体に正常なHDA19を導入すると、正常な器官が再生することを突き止めた。 研究成果は、国際科学雑誌、米国科学アカデミー紀要ネクサス(PNAS Nexus)のオンライン版に2023年2月22日付けで掲載された。(中條)