年末調整に間に合わず、サラリーマンでありながら、確定申告しなければならなくなったオオタニ。しかし、今年度はマイナンバーカードとマイナポータル連携のおかげで、医療費情報や保険の控除証明書をオンラインでやりとりできるようになった。そんな便利なe-Taxで大活躍したのが、7年前に記事を書いたソニーのICカードリーダー「PaSoRi(パソリ)」である。
確定申告をやることに
なんと年末調整の提出期限に間に合わなかった。冗談めかして同僚やかみさんに話したら、「それはさすがにヤバいでしょう」とドン引きされた。サラリーマンにとってみると、それくらい忘れてはいけない所業なのだ。
総務部に聞いたら、ご自身で確定申告してくださいとのこと。せっかく会社が面倒くさいことを引き受けてくれてるのに、甘えすぎていた。BGMは「そして、僕は途方に暮れる」(by 大沢誉志幸)である。医療費控除に加え、年末調整でやってもらっていた保険や確定拠出年金の処理もやらなければならない。ライターやカメラマンさんが蛇蝎のごとく嫌がってる確定申告。いやだなあ。紙の書類に手書きで提出なんてまっぴらごめんだ。
なんとか楽できないかと思って、いろいろ調べてみると、e-Taxとマイナンバーカードという光明が見えてきた。マイナンバーカードも作ったし、どうやらマイナポータルと連携させると、確定申告がめちゃくちゃ楽になるらしい。スマホでもいいのだが、入力の手間も考えると、使い慣れたPCでe-Taxしたい。そんなことを考えたときに記憶の底から思い出されてきたのが、ソニーのICカードリーダーのPaSoRi(パソリ)である。
当時はマイナポータルもなかった
7年前の2016年。僕はPaSoRiのタイアップ記事を書いている。当時、僕が担当していたASCIIのB2Bは認知度も、ビジネス面もダメダメだったが、うちの営業はいろいろなところに売り込んでくれた。で、営業のスギちゃんがつないでくれたのが、ソニーのPaSoRiの事業部。大崎のオフィスに何回か足を運んで、PaSoRiについて書いたタイアップ記事がこちらだ。
e-Taxもマイナンバーも!個人事業者にPaSoRiが必携な理由
https://ascii.jp/elem/000/001/091/1091674/
顔出ししてリコメンさせてもらったが、当時はマイナンバーやマイナンバーカードが配布され始めたばかり。マイナポータルも存在していなかった。e-Taxはマイナンバーカードの前身とも言える「住基カード」を使っており、ちょうどマイナンバーカードへの切り替えが開始された段階。つまり、「e-Taxもマイナンバーも!」と記事タイトルに書いたものの、マイナンバーカードを使ったe-Taxを行なうのは、まだまだ未来の話だったのだ。
なにより心の中で後ろめたく感じていたのは、当時の自分はe-Taxと無縁で(医療費控除もかみさんがやっていた)、PaSoRiを使う機会がまったくなかったことである。まあ、その意味では自ら買ったり、契約することないデータセンターやサーバーの記事を自分の買い物のように書けることこそ、B2B担当記者の美徳ではあるのだが……。
さて、あれから7年が経った。2017年にマイナポータルの運用が開始され、2019年にマイナポータルのログインにe-Taxが使えるようになった。その後、控除証明書の電子交付やマイナポータル連携がスタートし、2022年以降は、ふるさと納税や地震保険料、医療費もマイナポータル連携の対象になった。つまり、e-Taxでマイナポータルと連携すれば、控除証明書もデジタルで取り寄せられるし、二重入力大賞でもある医療費控除の計算もなくなるわけだ。そんなe-Taxに必須のPaSoRi。いよいよ時代がPaSoRiに追いついたのだ。
こんなにあっけなくていいのか?
ホントに登録は楽になるのか? あくまでサラリーマンとして確定申告したことある程度のオオタニは半信半疑である。まずは買ってきたPaSoRi(RC-S300)をPCにつなぎ、ドライバーをインストールし、マイナポータルにアクセス。マイナンバーカードでの認証を選び、恐る恐るカードをPaSORiに近づけるとパスワード入力の後、問題なく認証クリアできた。かみさんはもちろん、長女にも医療費がかかるので、家族の分も同じようにマイナポータル連携させておく。
さて、2月の上旬には医療費情報が登録されたはずなので、マイナポータルにログインして、e-Taxを始めよう。医療情報はマイナポータルの「わたしの情報」「健康・医療 医療費通知情報」を選択し、期間を指定すれば入手できる。窓口で払った負担額の合計、病院名、支払日時までの明細がずらり。マイナンバーカードでログインすれば、家族の分ももちろん入手できる。
ありがたいことにマイナポータルと連携したe-Taxのやり方に関しては、Web記事やYouTubeなどコンテンツがあふれていて、あまり迷うことはなかった。保険の控除証明書に関しても、年末には紙で受領しているのだが、保険会社から電子版をダウンロードし、e-Taxの申請で登録。まさか確定申告でXMLファイルをオンライン登録するとは思わなかった。あくまでマイナポータル連携が済んだ状態ではあるが、数時間で作業は完了。データ入力がほとんどないので、楽なのは当たり前だが、正直あまりにもあっけなくて感動もない。
クライアントとして、ユーザーとしてお礼
事務方のかみさんのチェックを受け、登録開始日の前日には税務署への転送を完了! ちゃんと受領メールもやってきたので、手続きが間違ってなければ、還付金が戻ってくるはずだ。そういえば、みなさまは確定申告お済みでしょうか?
先日、たまたま出社した市ヶ谷オフィスで、たまたま出社していたスギちゃんにこの顛末を話したら、「いやー、大崎行きましたよね」と懐かし話で盛り上がった。そして、7年前には正直未知数だったASCIIのB2Bに広告を出してくれたソニーの担当者、そして案件をとって来てくれたスギちゃんへの感謝の念が、今このコラムを書かせている。BGMは「傷つけた人々へ」(by 尾崎豊)である。
あれから7年、僕はようやくユーザーとしてPaSoRiにお礼が言えるようになった。便利なe-Taxをありがとうと。

この連載の記事
- 第40回 増えすぎたSaaSの淘汰とAIの静かなる浸透 2023年のクラウド動向を読む
- 第39回 新型コロナ真っ最中の日本、ビジネス基盤になり始めたSaaSの最新動向
- 第38回 ビジネスチャットの中で仕事が完結する世界はやってくるのか?
- 第37回 B級テクノロジー「RPA」が働き方改革に悩む日本企業を救う
- 第36回 クラウド市場での隠れた勝者エクイニクスはなぜ強いのか?
- 第35回 1.9万シェアされたコラムから記者はなにが学べるか?
- 第34回 リアルイイクラ納会はIT媒体の作り手と読者の新しいコミュニティだったのはないか
- 第33回 IT記者のラスベガス出張ってこんな感じ
- 第32回 記者が広報・PR会社のもとに出向くキャラバンやってみた
- 第31回 V字回復のクラウド美談「陣屋」事例の正しい読み方
- この連載の一覧へ