このページの本文へ

現役情シスのLANSCOPEユーザーが語るエンドポイントマネージャー クラウド版

2023年03月27日 11時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●愛甲武司

提供: エムオーテックス

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

オンプレミス版とクラウド版の機能差はもはやほとんどない

 続いてオンプレミス版からクラウド版への移行について聞いた。3人の会社はクラウド版への移行を実施済み、または移行を検討中という点も共通している。

 現在はクラウド版とオンプレミス版を併用しているメディカルノートの遠藤さんは、「クラウド版に移行すれば、サーバーの保守運用の必要がなくなります。すぐには無理だと思いつつ、順々に移行できるタイミングで移行させます」と語る。遠藤さんから見ても、クラウド版とオンプレミス版の機能差はないとのこと。

 特にスマホに関しては、VPP(アプリの一括配信)のおかげで集中管理が可能になり、大幅な管理工数の削減につながったという。「製品名がLanScope Anの時代から使っていたので、クラウド版がどのように進化しているのかという技術的な興味もあった。早めにクラウド版に移行したのは、その方がエムオーテックスにユーザーとしての要望を取り入れてもらえそうだから」と遠藤さんは語る。

 クラウド版への移行をほぼ済ませているデルソーレの松田さん。クラウド版移行のきっかけには、アプライアンス製品のサポート期限が迫っていた点だけでなく、店舗に配置しているVPNでつないでいない端末も管理下に置きたいといった背景もあった。さらに、アプライアンスを置いているデータセンターの利用期限もあった。「データセンターからそろそろ出て行ってくださいと言われていたタイミングで、クラウド版の機能が充実してきたので、この際移行してしまえと」(松田さん)。

 移行のメリットは、やはりモバイル端末とPCを1画面で管理できる点。「価格もそこまで高くなかった。あと、エンドポイントマネージャーはオンプレミス版のときからログの圧縮率が高かったので、クラウド版に移行しても心配ないと考えました」と松田さんは語る。ただし現状は、ソフトウェア資産管理やAD(Active Directory)連携などの機能がオンプレミス版にしかないほか、ファイル配信に関してもクラウド版には若干の制限があるという。

 クラウド版に移行検討中のひこさんは、「長期的に見たらクラウド版の方がコストは高くなります。でも、一人で会社のITまわりの面倒を見ている立場としては、社内にサーバーがあるという状態はなるべく避けたい」と語る。オンプレミス版とクラウド版の機能差も埋まりつつあるので、残っているWindows PCもクラウド版での管理に移行したいという。ただ、現状はエムオーテックスが用意しているドキュメントもオンプレミス版の方が充実しているので、エムオーテックスには今後、クラウド版のドキュメントの充実も望みたいという。

コロナ禍はテレワーク端末の保護が課題

 続いて、コロナ禍でのセキュリティ対策について聞いた。

 エムオーテックスはコロナ禍前の2019年度からテレワーク制度を開始したが、週2回に限定されており、利用率も11.9%とそこまで普及していなかった。しかし、2020年の緊急事態宣言時には原則出社禁止となり、テレワーク利用率はほぼ100%%まで跳ね上がった。現在は週4日までテレワークを行なってよいルールとなっている。

 テレワーク中のコミュニケーション手段は以前から使っていたビジネスチャットやオンライン会議ツールを活用した。また、オンラインのバーチャルオフィスサービス「oVice」も導入し、社員のアバターに気軽に話しかけることも可能だという。

 とはいえ、テレワークが本格化する際は試行錯誤の中で「奇習」が生まれたこともあった。「当初、全従業員が同じZoomに入り、業務中はカメラをオンにしなさいというルールがありました。300~400人の従業員の仕事中の真顔が画面上に並んでいるだけだけど、これ意味ある?という話で、1ヶ月くらいでこのルールは廃止になりました(笑)」(武藤氏)。こうしたことがありながらも、在宅勤務手当やフレックスタイム制も導入され、テレワーク体制はかなり整ったという。

 遠藤さんのメディカルノートは、東京オリンピック対応策としてテレワークを推進したこともあったため、もともとテレワーク率は3割と高かったが、コロナ禍以降は出社と在宅勤務のハイブリッド、フルフレックス勤務に移行した。「フレックスで、朝からの夕方の人も、昼間から遅くまでの人もいるので、問い合わせへの対応時間は長くなりました(笑)。情シスとしては大変になりましたね」(遠藤氏)。

 全員出社、フレックスタイムなし、固定席という典型的な日本企業だったひこさんの建設会社は、コロナ禍の緊急事態宣言時には原則出社禁止のため在宅勤務となった。緊急的にテレワークをスタートすることになり、全社員分のVPNライセンス、通信デバイス、在宅勤務用のデバイス購入などでコストがかさんだという。

 とはいえ、建設現場で仕事をすることが多いことから、もともとTeamsによるリモートワーク環境を整えていた。そのため、コロナ禍を契機にその環境を全社員に開放したという形になっている。「業務の前半工程は設計なので、リモートでも可能。ただ、後半工程は建設になるので、現場事務所に出向く必要があります」(ひこさん)とのこと。現在は週2回まで在宅勤務が可能になったものの、コロナ禍以前の働き方に戻ったという。

 遠藤さんとひこさんが情シスの課題として挙げるのは、やはりテレワーク時の端末のセキュリティ。「テレワークはVPNでつないで業務をしているので、基本的なセキュリティは担保されていると考えています。とはいえ、自宅のネットワークにPCをつないでいるわけで、従来の境界防御ではカバーできないのは事実です。」(ひこさん)「まったく同じですね。会社のファイアウォールをいくら強化しても、セキュリティに配慮しなければならないポイントがどんどん端末側に寄ってきています」(遠藤さん)とのことだ。

 一方、松田さんのデルソーレは、テレワークに関しては「基本やらない会社」とのこと。受注業務は5~6割がEDI化されているものの、修正対応が紙だったり、FAX受注もあるため、会社に来ないと仕事ができないという。「クラウド型PBXも導入していますが、受注関係の電話を自宅でするのはなかなか難しい」(松田さん)とのことだ。緊急事態宣言時でも出社が基本継続されていたという。

 ただ、営業マンにはSIM内蔵のモバイルPCを貸与しているため、外出先から社内システムにアクセスできるようになっている。管理部門や濃厚接触者になって自宅待機という社員に関しては、リモートアクセスツールの環境を都度払いで用意して、在宅勤務が行なえる体制も整備している。

 松田さんによると、端末のセキュリティ対策としてエンドポイントマネージャーが活躍したという。「うちの会社は置き引き対策として10年くらいノートPCが禁止でした。2020年に事務所が有明に移転したタイミングで、営業マンもようやくノートPCが解禁になりました。でも、そのときに条件になったのが、紛失時の端末内データ削除でした」と松田さんは振り返る。この時、万が一の紛失時に備えて、端末をリモートロック・ワイプできるツールとしてクラウド版を導入したという経緯があった。

ノートPC解禁のタイミングでクラウド版を導入したデルソーレの松田さん

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード