京都大学などの国際共同研究チームは、超新星「SN2018ivc」の長期モニタリング観測を実施し、超新星からの電波発光が弱まった後、約1年経過後からミリ波帯で再増光したことを発見。理論モデルと比較することで、この大質量星が、爆発前の一生の末期に連星相互作用の影響を受けて星の表面のガスを周囲に撒き散らした末に、終焉を迎えたことがわかった。
京都大学などの国際共同研究チームは、超新星「SN2018ivc」の長期モニタリング観測を実施し、超新星からの電波発光が弱まった後、約1年経過後からミリ波帯で再増光したことを発見。理論モデルと比較することで、この大質量星が、爆発前の一生の末期に連星相互作用の影響を受けて星の表面のガスを周囲に撒き散らした末に、終焉を迎えたことがわかった。 研究チームは、近傍渦巻銀河「M77」で見つかった超新星、SN2018ivcが出す電波を、「アルマ(ALMA:アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)」望遠鏡を用いて数年にわたって観測。同超新星によるミリ波の放射は爆発から200日後には弱まっていたが、その後、爆発から約1年後以降に再増光するという珍しい観測結果を得た。 同チームによると、爆発後200日では、衝撃波は周囲の濃いガスに到達しておらず、その後、衝撃波が到達し、約1年後以降に再増光が観測されたと考えられるという。さらに、増光の強度とその時間変化を理論による予測と比較することで、超新星爆発の位置から0.1光年ほどの距離に爆発前のこの星からばらまかれた濃いガスが分布していると推定。こうしたガス分布は、超新星爆発の約1500年前に連星相互作用で星周ガスが剥ぎ取られた場合に起こるという。 今回の電波再増光を示す超新星の発見は、大質量星進化における連星進化の役割の体系的理解に貢献することが期待される。研究論文は、アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)に、2023年3月1日付けで掲載された。(中條)