猫がおもちゃで遊んでる姿って写真に撮りたいよね。今は縦動画で撮って「ストーリーズ」なり「TikTok」なりにアップしたくなる人のほうが多いだろうけど、ここでは写真がメインだ。今回はそんな話。
うちのミル、最近、青いネズミのぬいぐるみが大好物で、とうとう投げたらくわえて戻ってくるようになってしまったのである。よしってんで、投げて戻ってくるところをさくっと撮ったのが冒頭写真。で、思えば、さくっと撮れちゃうってすごいよな、と。昔は飛んだり跳ねたり歩いてきたり、そんな動く猫を撮るのに苦労したものだ。
初めて「これは撮れた!」と喜んだのが、次の写真。この連載では未使用だったので(昔、単行本で使ったのだ)ここで初公開。お気に入りの1枚である。
うちのかふかがまだ小さい頃、稲穂にめちゃ反応したので、デジタル一眼レフを構えてねらったのである。もちろん猫AFもないし、ISO感度をあまり上げられなかったから、ストロボの発光部を天井に向けて(光を直接当てたくないので、天井にバウンスさせたのだ)、一瞬のタイミングを逃さずに撮る、って技で撮った1枚。
確かフォーカスは、あらかじめこの辺ってとこに固定しておいて、そこに誘導する感じでねらったはずだ。特に、コンパクトデジカメだとAFは絶対間に合わないから、置きピンといって「あらかじめピント位置を固定」しておき、そこに猫が来たタイミングで撮るって技が当たり前。
これなんか、苦労して撮った記憶がある。人懐こくて、おもちゃ大好きな猫がいる河原があったので(今はもう猫はいません)、おもちゃを持って行ったのである。確か、白黒のハチワレがジャンプする瞬間を撮ろうとしたら、横からしゅっとキジトラがかっさらっていったというシーンだったか。ここまで完璧なタイミングで撮れたのは偶然です。
やがてデジタル一眼レフの性能も上がり、ISO感度を上げれば室内でも動きを止めて撮れる、となったのもその頃か。ISO8000で1/400秒で撮ったジャンプする瞬間のかふかだ。
その後、一願レフからミラーレス一眼の時代になり、AFも超高速になり、猫AFが実現したのが確か2019年。あれは画期的だった。「猫検出」+「コンティニュアスAF」+「高感度画質の向上」が猫写真に革命をもたらした……のかどうかは知らないけど、少なくとも私にとっては革命だったのである。何しろ、撮影環境としてはたいしてよくない自宅で、こんな瞬間を撮れるようになったのである。
まあ、どっちも70万〜80万円するフラッグシップ機だけど(もちろん自分では買えない)、今やミラーレス一眼の現役モデルの半分以上は猫AFを積んでて、AFも速いのだ。もはや当たり前の機能なので、そこまで高いモデルじゃなくてもいい。技術の進歩って素晴らしい。
と、この原稿を書いてたら、黒猫ミルが起きてきて遊べ遊べというので、おもちゃを出してきて遊ぶついでに撮ったのがこれだ。
さて、うちのミル。ネズミを摸したおもちゃはいっぱいあるのだが、なぜか冒頭写真の青いネズミにご執心なのである。ほかのネズミは投げても追いかけもしないで目線で追って終わりなのに、この青いネズミだけはいつまでたっても飽きない。何度でも、投げるとくわえて戻ってくる。
もしや、青いものが好きなのか? と白地に青の模様がついた陶器の玉を転がしてみた……面白がって遊ぶじゃないか。ほかの色のボールは、ちょっとつついてすぐ飽きるのに。
実は、ほかのアイテムでも試してみたのだが、青いほうが反応がいいのである。猫は青色が好き、といった話は聞いたことないので(だったら、猫用のおもちゃは青いものばっかになるだろう)、単なる偶然か、青がミルのマイブームなのか、その辺はよくわからない。いずれにせよ、猫は不思議で面白い。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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