FCNTが開発したサステナブルスマートフォン「arrows N F-51C」が、いよいよ2月10日にドコモから発売される。電気電子部品を除く部品総重量の約67%をリサイクル素材が占め、工場での製造工程でも再生可能エネルギーを用いるなど、徹底的に環境に配慮されたモデルだ。
発売に先駆けて、2月7日にドコモショップ丸の内店にて「arrows N 新商品体験&トークセッション」が開催された。arrows Nの企画・開発に携わった人がarrows Nへの熱い思いを語り、いち早く実機に触れられるタッチ&トライも開催された。
FCNTの田中社長がarrows Nをアピール
あ イベントでは、まずFCNTの代表取締役社長の田中典尚氏が登壇。FCNTは2月1日に創立7周年を迎えたが、「昨年は富士通時代に携帯電話事業を始めてから30周年、arrowsを世に出してから10周年という節目の年だった。これまで 、誰一人取り残さないデジタル社会の実現に向けて、いろいろなサービスを提供してきた。新たに、サステナブルな社会の実現に向けて、arrowsブランドをリューアルし、その象徴的な商品として、arrows Nを開発した」と述べた。
先進的なarrowsのDNAを受け継ぎ
いち早くサステナビリティに着手
続いて、FCNTのプロダクト&サービス企画統括部の外谷一磨氏から、FCNTのサステナブルへの取り組みについて説明された。
「富士通時代からの30年を振り返ると、早すぎると揶揄されながらも、いろいろな挑戦を重ねてきた。当時は早すぎたとしても、今では当たり前になっていることもある」。FCNTは、そうしたDNAを受け継いでおり、これからすべきことを考えて、サステナビリティにたどり着いたという。
サステナビリティは社会全体で取り組んでいくべき課題だが、携帯電話業界ではまだ本格的な取り組みが始っているとは言えない。「携帯電話はイノベーションを牽引する存在で、我々の生活に欠かせない存在。誰かが始めないと、周りが着いてこない」という思いで、プロジェクトがスタートしたという。
FCNTがいち早く環境に配慮したスマホを開発できた理由について、外谷氏は「FCNTは国内に製造拠点を持ち、小ロットでもお客様のニーズに合った商品を開発できる機動力がある」と語った。
arrows Nは、環境に配慮された工場でリサイクル材を使うなど、現段階で実現可能な基準が設定されて開発されたが、FCNTが目指すサステナブルは、さらに大きなもの。「作って売って終わりではなく、お客さまが使い終えたものを、さらに循環させるサーキュラーエコノミーを形成したい。そこまで考えて商品を開発する決意を固めている」と言う。
「サステナブル性能をスマートフォンの新たな競争軸にしたい」と言う外谷氏。そのためには、FCNTだけでなく、携帯電話業界全体での取り組みを進める必要がある。「FCNTはその指針を示す役割を担いたい」と言う。
約67%の再生材使用率を実現。さらに、基本性能も強化
続いて、FCNT プロダクト&サービス企画統括部の荒井厚介氏から、arrowsブランドのリニューアルの背景と、arrows Nの商品特性について説明された。
荒井氏はarrowsのリブランディングの背景に、「社会の変化」と「提供価値の変化」があると説明。「社会の変化」は、生活のデジタル化、働き方の変化、地球環境の変化。もう1つの「提供価値の変化」は、昨年から開始したユーザー向け会員サービス「La Member's」など、商品を作って売るだけでなく、売った後に提供するサービスも重要になってきているという。
新しいarrowsの最初のプロダクトとして開発されたのがarrows N。サステナビリティをテーマとする環境に配慮したスマホだ。
背面パネルだけではなく、内部の小さな部品にもリサイクル素材を使い、ディスプレーやバッテリーなどの電気電子部品を除く約67%のリサイクル素材使用率を実現。パッケージにも環境に配慮されたFSC認証の紙とバイオマスインキを使用するなど、徹底したサステナビリティを実現している。
ただ、環境に配慮された素材を使うだけではなく、基本性能も充実させている。特に力を入れたのがカメラで「今までで最も良いカメラを搭載しています。ミドルハイの前機種・arrows NX9と比べて約1.65倍のセンサーを搭載し、スーパーナイトモードで夜景もより鮮明に撮れるようになりました」と自信を見せた。
リサイクル材を使いながら、防水・防塵、耐衝撃など、arrowsの特徴である堅牢性は堅持。新たにクノボ社の技術を採用することで、電池の劣化を抑えて、4年間のロングライフを実現した。OSのアップデートは最大3回、セキュリティーパッチのアップデートは最長4年提供される。これは、FCNTのスマホとして過去最長のサポートで、おそらく国内メーカーでも最長の対応だと言う。
幅広い分野のパートナー企業と協業
会場には来られなかったFCNT 執行役員常務 櫛笥直英氏はビデオレターで出演。プロセッサーに、クアルコム社のSnapdragon 695 5Gを採用したことを話し、クアルコムジャパン社長の須永順子氏のビデオレターにつなげた。
櫛笥氏は、arrows Nが、多くのパートナーの協力によって製品化を実現できたことも紹介。その中から、再生プラスチックを提供したSABICの桐山雅史氏からのビデオレターが紹介された。
続いて、arrows Nを販売するドコモ、FCNTと協業してエシカルな事業に取り組むパートナーからのビデオメッセージが紹介された。