広島大学などの国際共同研究チームは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用い、合体途中の衝突銀河のエネルギー源の正確な位置を世界で初めて突き止めた。さらに、衝突銀河の「エンジン」とも言えるこのエネルギー源が、非常にコンパクトで小さな領域に集中していることも分かった。
広島大学などの国際共同研究チームは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用い、合体途中の衝突銀河のエネルギー源の正確な位置を世界で初めて突き止めた。さらに、衝突銀河の「エンジン」とも言えるこのエネルギー源が、非常にコンパクトで小さな領域に集中していることも分かった。 研究チームは、2022年7月に観測運用が開始されたばかりのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の早期科学観測プログラムにより、世界に先駆けて近傍宇宙にある衝突銀河の観測を実施。観測ターゲット4つのうちの1つの銀河である「IIZw096」で、エネルギー源の正確な位置を特定した。 同チームによると、エンジンのサイズは大きくても約570光年と見積もられ、銀河全体の大きさ6万5000光年と比較すると1/100以下しかない。しかも、銀河中心から外れた場所に位置するのにも関わらず、合体銀河全体からのエネルギーの少なくとも70%が、この領域から放射されているという。 IIZw096については、スピッツアー宇宙望遠鏡で巨大な赤外線エネルギー源の存在がわかっていたが空間分解能が足りず、放射源の正確な場所やその大きさを特定できていなかった。これまで見つかった衝突銀河では、銀河中心や衝突している境界面で巨大エネルギーが発生しているケースがほとんどで、IIZw096のように、外れた場所に位置する領域からエネルギーの大半が放射されていることは非常に珍しいという。 研究論文は、アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)に2022年11月15日付けで掲載された。(中條)