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「たてもの」と「まち」のイノベーション第16回

月のウサギは鉄製だった:

清水建設が「月の砂」を作っている理由

文●ASCII 漫画●ほさかなお 画像提供●清水建設

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求む、月の砂から何かを作れる人

鵜山 ただ、月の砂をどう加工するのかについては決定打がなくて、「その辺の砂利から半導体を作ってくれ」というような問いになっているんです。それでも月でパネルを作るのでいくらでもエネルギー生産できますということになれば、火星に行っても現地でエネルギー生産する必要性は同じですから、現地での資源利用が重要だということはわかっているんです。

── 資源利用と言えば明治時代もそうだったらしいですよね。鉄橋なんかも昔は輸入していたけど、高炉ができて国内で作れるようになったと。万世橋にかかってる鉄橋は国産初期だか輸入最後だかで、現地で調達できないとコスト構造が合わなかったと言いますね。それと同じで、現地で作らず、ずっと輸入しつづけていたら経済が成り立たないわけですよね。

鵜山 それに、太陽電池パネルを月面生産できる技術力があれば基本的にどんなデバイスでも作れますしね。

── 今から月の砂の研究をしておけば、コンクリート並みのイノベーションにつながるかもしれないと。月の砂を手に入れるのは難しいかもしれませんが。

鵜山 月の砂に近い性質を持つ月模擬砂、シミュラントなら手に入りますよ。実はうちが作っていて、教育・研究開発目的のみに限って販売しているんですが……。

清水建設が製造した国内初の月模擬砂「シミュラント」(画像:「シミズ・ドリーム」公式Twitterアカウント

── なんと、建設会社が月の砂を売っていると!それは大学の研究室でポッと買えるくらいの価格なんですか?

鵜山 もちろん、国内での資源利用研究には当然使えます。この砂から何が作れるのかぜひみんなで一緒に考えていけたらいいなと思っています。

── 樹脂を混ぜたり、バクテリアを使ったり、色々考えられそうじゃないですか。

鵜山 ただ、レゴリスの成分には炭素、窒素、水素がほぼないんですよね。人間の体を作るものがほとんどないんです。ある種「その辺の石ころから何が作れますか?」と問われているのと同じような感覚ですね。

── そこからコンクリートブロックが作れたら最高じゃないかと。

鵜山 コンクリートでなくても全然良くて、まずは工具とか、頑丈なボックスとか、板が作れますとかでも十分です。

── 「ドクターストーン」みたいな世界ですね。月の砂ハッカソンでもやってみたらいいんじゃないですか。「砂はあげるから作ってくれ!」みたいな。となると清水建設としては研究者を募集しているわけですか。

鵜山 募集中です。国内で月資源利用の研究者ってすごく少なくて、この分野の人に増えてほしいんです。記事に堂々と書いてほしいくらいです。

── いいじゃないですか。じゃあ最後に言っておきましょう。いま清水建設さんは月の砂で何かを作れる人を募集しています!この記事を読んだあなた、すぐご連絡ください!

 

(提供:清水建設株式会社)

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