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宇宙ダストが非古典的な経路で形成されることを発見=北大など

2023年01月18日 06時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

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北海道大学や東北大学大学の国際共同研究チームは、国際協力による観測ロケットを用いた微小重力実験で宇宙ダストの形成初期過程を再現。宇宙ダストは、ナノ領域の特異性で理解できる非古典的な経路で形成されることを発見した。

北海道大学や東北大学大学の国際共同研究チームは、国際協力による観測ロケットを用いた微小重力実験で宇宙ダストの形成初期過程を再現。宇宙ダストは、ナノ領域の特異性で理解できる非古典的な経路で形成されることを発見した。 研究チームは今回、スウェーデン宇宙公社の観測ロケット「MASER 14」に独自の実験装置を搭載。約7分間の微小重力環境下で、チタンと炭素の高温の蒸気を発生させ、その蒸気が冷えて核生成を経てナノメートル(nm)サイズの微粒子を形成する過程を、独自開発した光干渉装置で観察した。 さらに、回収した試料(模擬宇宙ダスト)を透過型電子顕微鏡で詳細に分析。その結果、模擬宇宙ダストの形成は、従来の原子や分子が最終的な生成物になることを想定している古典的な過程では説明できず、微小な世界でだけ見られるナノ現象である融合成長など、3段階のプロセスから成る非古典的な経路で形成することを明らかにした。 宇宙には100ナノメートル以下のダストと呼ばれる粒子が多量に存在しているが、そのサイズや構造などの特徴を理論的に説明することはできていなかった。今回の成果は、宇宙ダストの特徴を理論的に説明する手法の確立に繋がると共に、隕石中に見つかるプレソーラー粒子の形成過程や天体観測で検出されるダストの形成過程に新たな解釈を与えるものとして期待される。 研究論文は、サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)に2023年1月13日付けで掲載された

(中條)

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