マウスコンピューターの「G-Tune HP-Z」をレビュー

超ド級ゲーミングPC爆誕! RTX 4080&第13世代Core i7のコンビが強い

文●勝田有一朗 編集●市川/ASCII

提供: マウスコンピューター

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どんな用途でも快適な動作を約束する性能

 G-Tune HP-Z搭載のCPU、Core i7-13700KFは、より上位の「Core i9-13900/K/KF」に次ぐ第13世代インテルCoreプロセッサーの準ハイエンドモデルだ。モデル名末尾の“KF”は、オーバークロック対応および内蔵GPU非搭載モデルであることを示している。Core i7-13700KFは性能重視のPコアを8基、効率重視のEコアを8基搭載する計16コア/24スレッドのハイブリッドアーキテクチャーCPUで、最大ブースト時の動作クロックは5.4GHzに達する。

 前世代の第12世代インテルCoreプロセッサーと比較して、最大ブーストクロックアップとL2キャッシュメモリーの増量でPコアのシングルスレッド性能向上を図り、また効率重視のEコア数を増やすことでマルチスレッド性能も大幅に向上させたのが、第13世代インテルCoreプロセッサーの特徴だ。

 システムメモリーは32GB(DDR5-4800 16GB×2)を標準搭載。ゲームプレイに十分な容量であるのはもちろん、動画編集をはじめとしたクリエイティブ用途にも十分対応できる容量だ。本格的なクリエイティブ用途に臨みたい場合は、注文時のカスタマイズオプションでシステムメモリーを64GB(DDR5-4000 16GB×4)に増量することもできる。

 ゲーミングPCの心臓部とも言えるGPUには、NVIDIAの最新RTX 40シリーズの中でRTX 4090に次ぐ準ハイエンドモデルのRTX 4080を搭載する。RTX 4080はビデオメモリーにGDDR6X 16GBを搭載し、グラフィックス性能は前世代の最上位GPU「GeForce RTX 3090 Ti」を軽く凌駕するとされている。RTX 40シリーズの新機能DLSS 3.0もあり、ゲームパフォーマンスの検証がとても楽しみだ。

 ここではまずゲーム以外の定番ベンチマークの結果から、G-Tune HP-Zの基本性能を探っていくことにしよう。

CPU-Z(左)とGPU-Z(右)の実行結果

 最初は、3Dレンダリングを利用した定番ベンチマークの「CINEBENCH R23」で、CPUのマルチスレッド性能とシングルスレッド性能を計測していこう。

CINEBENCH R23実行結果

 結果は、マルチスコアーが26494pts、シングルスコアーが2116pts。マルチ、シングルともに高いスコアーをマークしている。なお、CPUの電力設定はMTP 253W、PBP 125Wの定格運用がデフォルト設定となっていた。

 CPUクーラーに用いられている360mm水冷クーラーの効果も高く、CINEBENCH R23実行中のCPU温度はMTP動作時で最高76度、PBP動作移行後は53度付近で安定していた(室温14度)。室温の低い真冬の作業部屋での計測だったので少々低めに出ていることは確かだが、室温がプラス10度あったとしてもサーマルスロットリングに到達することはなさそうに思える。Core i7-13700KFを十分に冷やせる冷却システムであることを示している。

 次のベンチマークは、実アプリケーションに近い負荷でPC全体の性能を測る「PCMark 10」(Ver.2.1.2574)だ。

PCMark 10実行結果

 総合スコアーは9614で、その内訳は、アプリ起動速度、ビデオ会議、ウェブブラウジングの性能を測る「Essentials」が11557。表計算や文書作成のオフィスソフト性能を測る「Productivity」が11895。写真編集や動画編集、3DCG製作などのクリエイティブ性能を測る「Digital Content Creation(DCC)」が17545という結果になった。

 Essentials、Productivity、DCCの項目がすべてスコアー10000の大台を超えているので、あらゆる作業を快適にこなせるゲーミングPCであることが伺える。特にGPU性能が大きく影響するDCCは17000オーバーという高いスコアーを残しており、RTX 4080が持つ性能の片鱗を感じられた。

 さて次は、RTX 4080の3Dグラフィックス性能を測るベンチマーク「3DMark」(Ver.2.25.8056)の計測結果を見よう。

 DirectX 11のテスト「Fire Strike」では、フルHD(1920×1080ドット)のFire Strikeが49655、4K(3840×2160ドット)のFire Strike Ultraが17271というスコアーに。DirectX 12のテストを行なう「Time Spy」では、WQHD(2560×1440ドット)のTime Spyが25585、4KのTime Spy Extremeが13076という結果になった。DirectX Raytracing(DXR)のテスト「Port Royal」のスコアーは17630。DirectX 12 Ultimateに特化した性能テスト「Speed Way」のスコアーは7125。

 比較例としてGPUにRTX 3090 Ti、CPUに「Core i9-12900KF」を組み合わせたPCのTime Spyスコアーを出してみると、Time Spyが約21000、Time Spy Extremeが約11000だった。CPUの違いがあるものの、おおむね前世代最上位GPUであるRTX 3090 Tiを2割ほど上回るパフォーマンスが備わっているようだ。

 続いて、G-Tune HP-Zのウリのひとつでもある動画配信に関わるものとして、動画エンコード性能の検証も行なっている。ここでは「Adobe Media Encoder 2023」を用い、5分間の4K/60p動画を、VBR 1Pass 40MbpsのH.265およびH.264の4K/60p動画へエンコードするのにかかった時間を計測した。比較対象として1世代前の準ハイエンドPCに相当する「Core i7-12700」と「GeForce RTX 3080 Ti」搭載PCでの計測結果も併記している。

 計測結果から、G-Tune HP-Zの動画エンコード性能の方がRTX 3080 Ti搭載機より約2~3割高いことを確認できた。特に負荷の高いH.265エンコードでの伸びが顕著。同様の検証をRTX 4090搭載PCで行なったこともあるが、結果は今回の計測とほぼ変わらないものだった。動画エンコード性能に関してはRTX 4080とRTX 4090でほぼ同じと考えて良さそうだ。

 動画配信にとって動画エンコード性能はとても重要と思う。その点でG-Tune HP-Zは頼もしい存在になるだろう。

 最後に、内蔵ストレージの転送速度を測る「CrystalDiskMark 8.0.4」で基本ベンチマークを締めくくろう。事前に「CrystalDiskInfo 8.12.7」にて内蔵ストレージのモデルを確認したところ、試用機には「CFD Gaming PG3NF2 シリーズ」が搭載されていた。PCI Express Gen4接続で3D TLC NANDを採用する1TBのM.2 NVMe SSDだ(購入モデルによりストレージの仕様は異なる)。

CrystalDiskMark実行結果

 テスト結果はシーケンシャルリードが5001MB/秒、シーケンシャルライトが4046MB/秒。Windowsの起動やゲーム立ち上げ時のローディングもとても速く快適だった。

 標準構成で1TBのSSD容量は、ゲーミングPCとして必要十分と言えるだろう。G-Tune HP-Zには4TB HDDも標準搭載されているので、ゲームキャプチャーなどの大容量データはHDDへ記録することでSSD容量の無駄遣いを減らせる。ゲーム実況動画作成などにも十分対応できる構成だ。

 もしSSD容量が不足してきてもM.2スロットがあと1基空いており、2.5インチSSDも2基まで内蔵可能だ。後々の拡張性もまったく問題ないと言えるだろう。