クリエイターのやる気をオンにする電源ボタン
──では外観について伺います。まずはやはり45度の傾斜がついた前側のインターフェースですが、ここはGALLERIAのPCケースを踏襲した感じでしょうか。
佐藤氏:そうですね。パソコンデスク上に置いたときも、下に置いたときもアクセスしやすい角度として、GALLERIAでもお客様から好評だったのでraytrekでも踏襲しました。
──raytrekでは、角度に加えてインターフェース部分に窪みがありますよね?
黒川氏:インターフェース部分は、とくに机の下に設置する場合、暗くて見えないことがあると思います。また机の上に置いたときは、座ったままで手を伸ばしたときに見えません。そういった際に、手触りである程度どこにインターフェースがあるかわかるように窪みを採用しました。
──電源ボタンも珍しいですよね。
野口氏:机の下に設置した場合、普通の電源ボタンだと間違って押して消してしまうということがあるかもしれません。また、単なるオンオフの電源ボタンだとクリエイターの現場に合わないのではないかということで、考えたのがこのスイッチです。
佐藤氏例えば音楽スタジオのDTM機材には、スライドを上げるボタンがたくさん付いていると思いますが、そこにインスパイアーされてデザインしました。あのスライドを上げるときに、仕事の“スイッチ”も入るんじゃないかなと考え、同様に、パソコンの電源を入れるときに、仕事のスイッチも一緒に入れる感覚になっていただければなと思い、このデザインにしました。
──電源ボタンと一緒に仕事のスイッチが入るというのはわかります。あと、ボタンが光るギミックも採用されていますよね。これって結構コストが変わると思ったんですけど。
佐藤氏:製品の価格には影響しませんのでご安心を(笑)。ここは、何度も使っているうちに、愛着を持っていただける大事な部分ではないかなと思いこだわりました。もちろん、暗いところで電源ボタンの位置がわかりやすいという意味もあります。
──スライド式のボタンでも、手が当たったら電源がオフになってしまうということはないんですか?
黒川氏:スライドは半分くらいまでは遊びがあって、しっかりスライドしないと反応しないようになっています。そのため、多少手が当たる程度であれば問題ありません。
カーブと直線のバランスを重要視
シンプルな事務所にも馴染むデザイン
──PCケースのデザインもだいぶ変わりましたよね。
黒川氏PCケースではあまりないですが、最近の白物家電であったり、身近にあるデジタル機器は角ばっているところと、丸みを帯びている部分のバランスがいいなと思う製品が多くあります。そういう流行りの部分も取り入れて、お客様が好意的に受け取ってくれるようにデザインしました。また、製品としてパワーがあるということも示したかったので、しっかりと直線のところは直線にして、力強さというのも表現しています。
野口氏:丸すぎると、やはり可愛らしい外観になってしまうと思います。raytrekはクリエイターさんの道具として使ってほしいので、力強さに加えカッコよさも意識しています。
佐藤氏:前面は両端に曲線を採用しつつ、空気を切って入れていくぞ! というイメージでソリッドなデザインも取り入れています。
──前面のデザインにこだわりを感じる部分として、インテルやNVIDIAのシールが上に貼ってあるのも、地味にいいなと感じました。
黒川氏:最初は前に貼りましたが、それはちょっとこのPCケースにはそぐわないな、上に貼るようにお願いしました。
──シルバーが基調でブラックが織り交ぜてあるPCケースも珍しいと思いますが。
野口氏:クリエイターさんの事務所は、すごく片付けられててシンプル、かつ壁は単色というイメージがあります。例えば、白い壁の部屋だと黒はとても目立ちますが、シルバーでしたら溶け込みそうな感じがします。
──サードウェーブさんとしては完成系として出されていますが、とてもシンプルなデザインになっているので、クリエイターさんによっては、サイドパネルをキャンバスのように使ってもらうのもいいかもしれませんね。
佐藤氏:それはぜひ、できる方はやっていただきたいです。とはいえ、熱に強い素材で描いてもらえたらうれしいです。強力な冷却とはいえ、高負荷な作業を行なうとどうしてもサイドパネルは温かくなってしまうので(笑)。
単純作業を短縮してクリエイティブ作業の時間を増やす
クリエイターの仕事のやる気スイッチを押すマシンに
──最後に、コンセプトの部分にも繋がってくるんですけど、クリエイターさんにどのように使ってほしいですか?
佐藤氏:仕事の“スイッチ”を入れる道具としてみていただきたいですね。仕事前の儀式といったら大袈裟ですが、このパソコンの電源を入れたら、シャキッとするみたいな感じです。
野口氏:例えば、写真や動画をあつかう際、クリエイティブ自体に費やす時間は変わらないと思いますが、レンダリングや書き出しの時間が短縮できると、本来のクリエイティブに費やす時間が増えることになります。このように、よりクリエイティブ部分の試行錯誤をする時間を増やすようなツールになってほしいです。
黒川氏:弊社のミッションステートメントである、“人々の創造活動の可能性を最大限にする”を、実現するツールになっていただければと思います。
──ありがとうございました。
raytrekの新しいクリエイターパソコンは、サードウェーブのraytrekチームが試行錯誤を重ねて、クリエイターのための外観、エアフロー、性能、使い勝手を考慮したマシンに仕上がっている。
従来モデルとくらべて外観からまったく異なるマシンに仕上がっているので、クリエイティブな作業の相棒としてパソコンを探している人は、ぜひチェックしてみてほしい。