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exFATでの高速転送にはLinuxカーネル、OSビルドも要チェックだった!

Google Pixel 7 ProやPixel 6シリーズでポータブルストレージの挙動を再検証

文●平澤 寿康 編集●北村/ASCII

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Pixel 7 Proは問題なくexFATを認識し
転送速度も速かった

 ではまず、Pixel 7 ProでのexFAT対応を検証していこう。今回は、Android 13最新ビルド「TQ1A.230105.002」にアップデートした状態のPixel 7 Proを用意するとともに、exFAT対応ストレージとして、容量1TBのポータブルSSD「T7 Shield」を用意した。

防塵、防水、耐落下性を備えたボディを採用する「Samsung Portable SSD T7 Shield」。リード最大1050MB/sec、ライト最大1000MB/secの高速なシーケンシャル性能を実現している

 そのうえで、過去の記事と同じ約14GBの動画ファイルをPixel 7 ProからT7 Shieldへ転送する時間を計測した。

 ちなみに、Googleの純正アプリの「Files」では、1分40秒ほどで転送が終わることもあったが、転送にすごく時間がかかることもあった。転送がいつまでたっても終わらないこともあり、前回のGoogle Pixel 6シリーズでの検証と同様「Files」での転送は挙動が安定せず、実用的ではないと判断した。

 そこで前回同様、ファイル管理アプリの「ファイルマネージャー+」を利用して転送する時間を計測した。転送時間の計測はストップウォッチを利用し、3回計測の平均を出している。

Pixel 7 Pro→T7 Shield ファイルマネージャー+による約14GBの動画データ転送時間
  平均(転送速度) 1回目 2回目 3回目
Pixel 7 Pro OSビルド TQ1A.230105.002 34秒(442.13MB/s) 34秒76 35秒22 33秒44

 結果は、転送時間が約34秒と、申し分ない速度で転送できた。データ転送速度は400MB/sを超えている。Pixel 7 ProのUSB Type-CはUSB 3.2 Gen2対応、T7 ShieldもUSB 3.2 Gen2対応ということを考えると、T7 Shieldの最大書き込み速度である1000MB/s近くの速度が発揮されても良さそうだが、速度的にはまずまずという印象だ。

 もちろん、転送したデータはPCで問題なく再生できたし、Pixel 7 ProからT7 Shieldに転送したデータを直接再生することも可能だった。

 これなら、動画や写真などのデータで内蔵ストレージの容量が不足した場合でも、T7 ShieldのようなポータブルSSDを用意することで素早くデータを転送し、内蔵ストレージ容量不足を解消できるだろう。そういった意味で、exFAT対応は非常に心強いと言える。

Pixel 6 Pro、Pixel 6aでも
Android 13最新ビルドで高速転送を確認

 続いて、Pixel 6 ProとPixel 6aだ。過去の記事では、Pixel 6 ProとPixel 6aをAndroid 13にアップデートすることでexFATに対応したことは確認したものの、約14GBの動画データを転送するのに約3分45秒もかかるというように、データの転送速度が非常に遅いという問題があった。その後Pixel 6 Pro、Pixel 6a向けのAndroid 13のアップデートによって、その問題が改善されているか確認してみた。

 今回用意したPixel 6 ProとPixel 6aは、いずれもAndroid 13の最新ビルドにアップデートしたものだ。ビルドはPixel 6 Proが「TQ1A.230105.002」、Pixel 6aが「TQ1A.230105.001.A2」だ。そして、先ほどのPixel 7 Proでの検証と同じ条件で、約14GBの動画ファイルの転送時間を計測した。

Pixel 6シリーズ→T7 Shield ファイルマネージャー+による約14GBの動画データ転送時間
平均(転送速度) 1回目 2回目 3回目
Pixel 6a OSビルド TP1A.220624.021.A1 3分45秒  (66.81MB/s) 3分38秒06 3分34秒85 4分00秒23
Pixel 6a OSビルド TQ1A.230105.001.A2 33秒(455.53MB/s) 33秒63 32秒71 32秒77
Pixel 6 Pro OSビルド TP1A.220624.021 3分47秒  (66.22MB/s) 3分44秒15 3分54秒89 3分42秒18
Pixel 6 Pro OSビルド TQ1A.230105.002 34秒(442.13MB/s) 34秒19 34秒12 35秒15

 結果は、Pixel 6 Proが約34秒、Pixel 6aが約33秒と、Pixel 7 Proとほぼ同じ程度の短時間で転送できた。過去の検証の場合と比べると7倍以上速くなった形だ。転送速度はPixel 7 Pro同様に400MB/sを超えている。そして、Pixel 6 ProとPixel 6aのUSB Type-CはUSB 3.1 Gen1準拠のため、USBポートのデータ転送速度を十分に引き出せている。

 このことから、Pixel 6シリーズの初期のAndroid 13ビルドでは、exFATのI/Oまわりに何らかの不具合が存在し、それによってデータ通信速度が遅くなっていたものと考えられる。そして、その後のビルドで不具合が解消され、本来の速度でデータを転送できるようになったのだろう。そのため、Pixel 6シリーズでもexFATファイルフォーマットの大容量USBポータブルストレージを、本来の速度で問題なく利用可能と考えてよさそうだ。

Android 13最新ビルドなら
exFATで400MB/s超のデータ転送ができる

 今回見てきたように、Pixel 6シリーズおよびPixel 7シリーズでは、Android 13最新ビルドにアップデートすれば、問題なくexFATファイルフォーマットの大容量ポータブルストレージが利用可能となる。

Android 13最新ビルドにアップデートすれば、Google Pixel 6シリーズおよびPixel 7シリーズでも400MB/sを超える速度でポータブルストレージが使える

 データ転送速度については、Pixel 7 Proではもう少し高速でもいい気はするが、いずれも400MB/sを超える速度でデータを転送できており、大容量データもかなり短時間で転送可能。もちろん、これが本来あるべき姿なのは間違いないが、少なくともそれが実現されたこと自体は大いに歓迎したい。

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