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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第212回

今年からインボイス制度、給与のデジタル払いがスタート 規制カレンダー2023

2023年01月01日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 新しい年がやって来た。2023年はどんな年になるだろう。 

 今回は、この連載「規制とテクノロジー」に関係しそうな政治・経済日程の整理を試みた。

 2022年は、ウクライナ戦争とコロナ禍が経済に強い影を落とした年だった。

 当面、戦争とコロナ禍の動向に左右される状況が続くとの見方が大勢だが、2023年は、少しは明るい年になってほしいと願う。

電子処方せんの運用開始(2023年1月26日)

 病院に行くと、薬を購入するのに必要な処方せんを紙で受け取る。患者は、この紙を持って薬局に行くわけだが、この処方せんが電子化される。

 電子化された処方せんは、本人が同意した場合、医療機関や薬局の間でも共有が可能になる。たとえば、引っ越しでかかりつけ医が変わった場合でも、患者が同意すれば、これまでどんな薬が処方されてきたかについての情報が、共有されることになる。

 具体的には、マイナンバーカードを健康保険証として利用すると、医療機関や薬局は、患者が過去に処方されてきた薬の情報を参照できるようになる。

セルフレジで酒・たばこの販売解禁(1月)

 2022年12月末の時点では、セルフレジでは酒・たばこを買うことはできず、有人のレジで支払いをする必要がある。

 1月末ごろまでに、セルフレジにマイナンバーカードをかざすことで年齢を確認し、無人で酒やたばこを販売できる制度がスタートする予定だ。

CES(1月5日~8日)

 アメリカのラスベガスで開かれるCES(Consumer Electronics Show)は、世界規模の電子機器の展示会だ。

 世界中の大手企業が、新製品を発表する場としても知られている。

 この分野に関わっている人たちは、CESのニュースを見ると、「新しい年が始まった」と感じるイベントではないだろうか。

ウクライナ戦争開戦から1年(2月24日)

 ロシアがウクライナに侵攻してから1年が経過する。

 ウクライナ戦争では、リアルな世界とサイバー空間での攻撃が同時進行する「ハイブリッド戦争」が展開されている。

 国境や地理的な距離が影響しないサイバー空間では、遠いウクライナでの戦争は、日本にとっても対岸の火事ではなかった。

 2月ごろには、ロシア軍がウクライナの首都キエフに再侵攻する可能性が高いとも予測されている。

 一方で、開戦から1年を機に、ウクライナ側が和平合意を模索しているとの観測もある。

給料のデジタル払いスタート(4月)

 決済アプリを使った賃金の「デジタル払い」が、導入される。労働者側の同意があり、国から指定された業者のアプリであれば、決済アプリで給料を受け取ることが可能になる。

自動運転レベル4 解禁(4月)

 自動運転レベル4や自動走行ロボットの公道走行を解禁する改正道路交通法が、4月1日に施行される見通しだ。

 レベル4は、限定的な地域であれば、運転手が乗車しなくても運行できる。決まった地域を走る自動運転のバスなどの運行に道を開く改正だ。

統一地方選挙(4月9日、23日)

 日本の各地で、知事選、市町村長、道府県議、市町村議の選挙がいっせいに行なわれる。

 いわゆる「前半戦」が9日、「後半戦」は23日に予定されている。

 地方の選挙ではあるが、与党系の勢力が大敗した場合、支持率の低迷が続く岸田政権の存続にも関わる選挙として注目される。

G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合(4月29日~30日)

 G7は、日本、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、カナダの主要7ヵ国の首脳が集まり、地球規模の課題を話し合う。

 本会合は5月に開かれるが、それに伴い、各大臣レベルの会合も開かれる。デジタル・技術大臣会合は4月末に群馬県高崎市で開かれる。

 国境を越えてデータが行き交うデジタル分野には、国家間の調整が必要な課題が無数にある。現時点で、以下のような議題が想定されている。

  • DFFT及びオンラインの安全性並びに信頼性を向上させる新興技術の促進
  • ビヨンド5G/6Gを含むICTインフラ
  • 人工知能に対する人間中心のアプローチ

 DFFT(Data Free Flow with Trust)は、「信頼性のある自由なデータ流通」と訳され、プライバシーやセキュリティ、知的財産権に関する信頼を確保しながら国際的に自由なデータの流通を目指す考え方だ。

 デジタル・技術大臣会合に合わせて、関連する様々なイベントや講演会なども開かれるだろう。

G7首脳会議(5月19~21日)

 ウクライナ戦争が泥沼化する中、被爆地広島で開かれるG7の首脳会議は、とても大きな意味がある。

 広島を選挙区とする岸田文雄首相が、広島での開催を強く手動したと言われる。

 ただ、岸田政権の支持率は下落傾向が続いているだけに、1月から始まる国会の情勢や、4月の統一地方選挙の結果次第では、政権が持たない可能性も指摘されている。

 広島開催を主導した首相本人が出席できるかという点でも注目される。

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