ビジネス拡大で重要だった拡張性、料金体系、サポート

サイネージ1万台まで成長した「DAiS Signage」 8年間支え続けた「KAGOYA FLEX クラウドサーバー」

文●指田昌夫 編集●大谷イビサ

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 今や街の中で当たり前の存在となったデジタルサイネージ。クラウドを用いた効率的なコンテンツ配信を実現する「DAiS Signage」を手がける情報技術開発(tdi)は、そのインフラとしてカゴヤ・ジャパンの「KAGOYA FLEX クラウドサーバー」を採用してきた。8年間サービスを支え続けてきた「KAGOYA FLEX クラウドサーバー」について、tdi ソリューション本部 ソリューション企画部 担当部長 植島淳一氏に聞いた。

情報技術開発(tdi) ソリューション本部 ソリューション企画部 担当部長 植島淳一氏

デジタルサイネージもクラウド管理の時代

 ターミナル駅の通路などで見かけるようになったデジタルサイネージ。複数の大型モニターが連動する広告はインパクトがあるが、ああいう派手なものばかりでなく、小さなサイズのデジタルサイネージが街のあちこちに置かれていることに気づいている人も多いはずだ。

 たとえばスーパーの飲料売り場で、棚の中に収まった小さなディスプレイでCMを表示したり、ファストフードやカフェのカウンター上のメニュー表示など、今では至る所でサイネージを見ることができる。

 それには理由がある。デジタルサイネージの運用は、コンテンツがネックだった。かつては「ラウンダー」と呼ばれるスタッフが巡回し、メモリーカードなどに入れた画像や動画のコンテンツをディスプレイにセットする必要があったが、今はネットワークからリアルタイムに送り込むことができるようになり、設置や運用が圧倒的に効率化された。電源さえあればどこでも表示することができるため、利用場所が大きく広がっているのである。

 ネットワークを用いたデジタルサイネージ事業を8年前から展開しているのが、独立系システム開発企業の情報技術開発(tdi)だ。同社は企業の情報システムのコンサルティング、開発と運用を主業としている。8年前に新規事業としてはじめたデジタルサイネージ事業は大きな実績を挙げており、すでに全国44都道府県で約1万台のサイネージが稼働している。

 サービス名称は「DAiS Signage」。クラウドに接続されたシンプルなサイネージと、運用管理のサービスをSaaSとして小売店などに提供する。運用に関する手間を極力かけないことをコンセプトに開発されており、遠隔管理によって現場に行かなくてもコンテンツの更新とシステムの監視が可能。また、1社で数千台のサイネージを長期間管理する大規模運用にも対応しているのが特徴だ。

 同社でデジタルサイネージをはじめとした新規事業を企画、開発しているのがソリューション企画部である。同部担当部長の植島淳一氏はこう語る。

「デジタルサイネージ市場は、2020年の東京オリンピックによる需要拡大が期待されていましたが、コロナによって不発に終わりました。しかし、代わりにウィズコロナの店舗運営で働き手の不足や店舗サービスの非接触化、従来型サイネージをオンラインでメンテナンスするニーズなどが高まり、クラウド型サイネージへのシフトが進んでいます」

24時間365日ノンストップで稼働し、メンテナンスできるインフラが必要

 クラウド型サイネージの運用には、基盤となるクラウドが重要な役割を果たす。数千台のサイネージから情報が送られてきたり、逆にコンテンツを送り込む場合に遅延がなく、安定した送受信ができるネットワーク構成にしなければいけない。

 また、店舗によって営業時間、休業日が異なり、深夜まで営業する飲食店や、24時間営業のコンビニエンスストアもある。サイネージの運用は24時間365日ノンストップで稼働するシステムでなければいけない。サーバーやシステムの冗長化については重要な条件になる。

小売現場でのDAiS Signageの利用例

 さらに、顧客のサイネージの数が増えてきた際に、柔軟に増設が可能なスケーラビリティも必要だった。だが8年前、同社がクラウドストレージの検討を始めたころは、国内でクラウドの利用が今ほど進んでいなかった。社内にも、クラウドのインフラについて社内にも知っている人間がほとんどいなかったという。

 情報量が少ないなかで、優良な候補に挙がったのが、同社のグループ会社でもあるカゴヤ・ジャパンの「KAGOYA FLEX クラウドサーバー」だった。企業同士のつながりがあることで、コミュニケーションがスムーズに取れたことも導入を後押しした。

「当時のデジタルサイネージは、オンライン化していてもサービスとして提供されているものはほとんどなく、顧客のデータセンターにシステムを作り込んでいました。しかし当社は、お客様がインフラを持たなくても使えるサービスにこだわり、SaaSとして開発を進めました。そして完成したのが、DAiS Signageです」(植島氏)

 最初のバージョンをリリースしたときは、KAGOYA FLEX クラウドサーバーは、ベアメタルのサーバーしかなく、VMwareを使ってゲストOSで仮想サーバーを建て、その上にシステムを構築した。その後、KAGOYA FLEX クラウドサーバーも進化し、HA(高可用性)の第2世代システム構成が登場、信頼性はさらに向上した。現在は、さらに進化した第3世代となっており、クラウドサーバーとベアメタルサーバーのハイブリッド構成となっている。長年の協業の間には、障害が発生することもあったが、それらを乗り越えることで強固な信頼関係ができあがった。

 現在、DAiS Signageのシステム構成ではユーザー企業の担当者は、自社のPCから同社のCMS(コンテンツ管理システム)にログインし、画像、または動画のコンテンツをアップロードし、配信日時などの設定もオンラインで行なう。コンテンツはKAGOYA FLEX クラウドサーバー内でセキュアに管理され、店舗などに設置したモニター、タブレットに向けて決められたスケジュールで配信される。大容量の動画コンテンツの場合は、外部のCDN(Contents Delivery Network)サービスとのAPI連携によって配信を行ない、通信の負荷を分散する。

データ量が増えても安心の料金体系

 KAGOYA FLEX クラウドサーバーは料金体系も魅力的だった。他の多くのクラウドサービスがデータ転送量に比例する従量課金であるのに対し、KAGOYA FLEX クラウドサーバーはデータ転送量に関係ない月額固定料金制を採用している。そのため、端末台数が増えたり、動画など容量の大きなコンテンツが必要になっても、コストが変わらない。SaaS方式でサイネージのサービスを提供する同社にとっては都合がよかった。

 植島氏は、カゴヤ・ジャパンのサポート体制についても高く評価する。「24時間電話がつながり、国産サービスならではの日本語サポートも安心です。いつでも対応してもらえるのは心強いですね」と語る。

 また、たとえばストレージやCPUなどのインフラをスケールアップする場合にも、同社とカゴヤでタイミングを調整しながら、互いに人が監視する下で更新を進めることができる。システマチックに更新してしまう場合、万一不具合が起きて原因究明に時間がかかれば、サービスの停止の事態になりかねない。

「24時間ノンストップで情報配信を続けるデジタルサイネージの運用にとって、人の目と手によるサポートは、他のパブリッククラウドにはない安心感があります」(植島氏)

デジタルサイネージの可能性はまだまだ広がる

 今後同社では、サイネージを見ている消費者の属性を収集していきたいと考えている。POSデータの連携なども検討していく。また、同社にはAI開発やデータ分析を担当するチームも存在する。そのチームとの協業で、来客予測のシステムとサイネージを連携させるシステムの開発も進めていきたいという。「流通、小売業に対するトータルソリューションの提供を目指していきたい」(植島氏)

 もう一つ、植島氏が取り組みたいと思っているのが、デジタルサイネージを使った業務改善だ。「小売業界は、バックオフィスの業務効率化に力を入れています。その一環で、店舗DXのツールとして、デジタルサイネージ使うケースが出てきています」

 流通・小売以外の業種でも、デジタルサイネージの利用が始まっている。たとえば建設業の現場事務所に設置して、その日の作業の確認や、本部から現場に対して、安全確認の注意喚起を徹底させるメッセージを配信するなど、新しいアイデアが続々と生まれている。

 こうした業務との連携を進める際に、tdiの本業であるシステム開発部門の力が生きる。植島氏は、SaaSであるDAiS Signageと、顧客企業の社内システムをつなぎ込むカスタム開発によって、他社ができない付加価値を提供していきたいと語る。

 デジタルサイネージはクラウドサービスと連携することで、一方通行の情報表示機器から、双方向性をもったデバイスへと進化する。KAGOYA FLEX クラウドサーバーに支えられ、tdiから出てくる新たなサイネージソリューションに期待したい。

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(提供:カゴヤ・ジャパン)

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