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美食の街・パリで人気のスパークリング清酒、チョコレートの祭典でも注目を集める

2022年11月22日 14時00分更新

文● ASCII

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 パリ市の南15区にある見本市会場「ポルト・ド・ヴェルサイユ」にて、10月28日~11月1日の5日間にわたり、世界最大級のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」が開催された。

世界最大級のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」

 今年で27回目となる本イベントは、発祥の地であるパリでの開催とあり、世界中からチョコレート業界のプロ、クリエーター、業者が集結し、活気にあふれていた。

 本イベントで注目を集めていたのは、パリで日本人女性として初めてチョコレートの専門店「Les 3 Chocolats(レ・トロワ・ショコラ)」を構えるショコラティエ・佐野恵美子氏のスタンド。スパークリング清酒「澪」と、この日のために開発したチョコレートのマリアージュを披露し、プロから一般の来場者まで幅広い層から人気を集めていた。

世界中で急成長する日本酒市場
美食の街・パリにもスパークリング清酒「澪」が定着

 日本酒造組合中央会は、2021年度の日本酒輸出額が、前年比166.43%の401.78億円に達したと発表(出典:財務省貿易統計)。コロナ禍で世界的に流通が制限される中でも、家飲みを始めとした新たな需要を生み出し、日本酒の輸出量は安定的に推移した。2021年は経済活動の回復が見込まれ、世界中で需要が上乗せされた形で急伸。今後、世界的なコンテナ輸送のひっ迫の解消などによりさらなる伸長が期待できるという。

 スパークリング清酒「澪」は、2011年に松竹梅白壁蔵より誕生。現在では、北米を中心にアジア、ヨーロッパなど39ヵ国に展開しており、総輸出量はおよそ7倍に急進し、日本酒ブームを象徴するブランドに成長した。美食の本場・パリでも、日本料理店や日本食材を扱うスーパーマーケットでスパークリング清酒「澪」は人気を集めているという。

「日本酒に挑戦してみたいお客さまには『澪』をすすめる」と話す、パリ「TO restaurant(ト・レストラン)」の守屋シェフ

アジア食材を扱うスーパーマーケット「K-MART(ケーマート)」でも「澪」は売れ筋だという

スパークリング清酒「澪」とチョコレートのマリアージュに注目

 「澪」のサロン・デュ・ショコラへの出店は今回で3回目となる。今年は、佐野恵美子氏とのコラボレーションを実現。サロン・デュ・ショコラ当日には、出展したスタンドで「澪」のために作ったオリジナルチョコレートを振る舞った。

 佐野氏は25歳で渡仏し、フランスのパティスリー界をけん引するパティシエに師事した後、渡辺美幸氏がオーナー・パティシエを務める「ラ・プチット・ローズ」にてチョコレート制作を担当。2017年にはパリ4区マレ地区に自身の店舗「レ・トロワ・ショコラ」をオープンし、2019年には世界のショコラティエベスト100の中の31人に贈られる「Les meilleur des meilleurs(ベスト・オブ・ザ・ベスト)」を受賞した。

 佐野氏は、ゆずやきな粉、抹茶、みそ、みりんなど日本の素材を使用し、フランス人にとって身近な素材を掛け合わせるなど、日仏の文化を融合した繊細なチョコレートが評価されている。スパークリング清酒「澪」と、佐野氏が創作したチョコレートのマリアージュは、世界へ向けて日本のおいしさ、素晴らしさを伝えるという挑戦のメッセージが込められている。

佐野恵美子氏

 佐野氏は、「『澪』はとても女性的で、フルーティー、非常に上品と感じた」と「澪」の第一印象を語り、今回のマリアージュについて「『澪』を飲んだときの後味が、洋梨やマスカットなどの爽やかな味わいを感じたので、日本を代表するシャインマスカットを特別に取り寄せた。爽やかさだけでなく、日本酒の心地よい苦味というのも表現したかったので、皮ごとぜいたくに生クリームに漬けて香りを閉じ込めている。お酒感を足すために酒粕も加えている。チョコレートは全体のバランスからカカオ61%を使用した」と説明した。

 会場に訪れたシェフや食のプロたちのコメントは以下の通り。

「両者を味わったときに生まれるマリアージュとしての、味わいや香りのバランスが素晴らしい」(レストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」のジャーナリスト AnneとCharlotte)

「マリアージュは口に残りすぎず、すっきり。切れ味の良い後味になっている。たしかに『澪』だけをいただくとマスカットの味わいが現れて呼応している。余韻が残りすぎない感じもよい」(パリ3つ星レストラン「Kei Restaurant」のシェフ・パティシエ高塚俊也シェフ)

「こんなにまろやかな日本酒を飲んだのは初めて! マリアージュとしては、『澪』はチョコレートよりも甘みを感じるのが面白い。チョコレートの中のブドウの香りもふくめて、スパークリングがすべてを包み込むように感じる」(お茶とパティスリーのジャーナリスト/フランス・ティー愛好会 創業者 Gilles Brochard氏)

 和食がユネスコ無形文化遺産登録されたのは2013年。登録10周年を目前にして、和食は世界の人々の日常に浸透し始めている。フランスでも、「澪」は日本酒でありながらも、スパークリングであるという新しさから、フランス料理やフランス人のライフスタイルにおける様々なシーンで受け入れられている。日本食が世界に広がる中、「澪」をはじめとした日本酒もますます身近なものになっていくことが予想される。世界各国での今後の展開に注目したい。

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