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NTTのICTを駆使したウィンドサーフィンを体験できるシミュレーターがリアルすぎた

2022年11月17日 14時00分更新

文● 中山 智 編集●ASCII

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マリンスポーツは不確定要素が多いので
シミュレートするのが非常に難しい

 こういったICTを駆使したスポーツへの取り組みというのは、ランドスポーツではかなり進んでいる。一方でマリンスポーツでは水、特に海水への対応が大変なことと、陸から離れた海上で行なわれるため、リアルタイムでデータを送信するには通信環境のハードルが高く、ランドスポーツほどの普及は進んでいない。

デモ用のボードとセールも用意されていた

 そのためマリンスポーツでは、たとえば風や波にあわせてセールやボードのセッティングを変えた場合、それで本当に速くなっているのかどうかというのは、プレーヤーの感覚に頼っていたところが大きかった。これがデータとして収集できれば、より効率の良い練習などができるというわけだ。

 今回そういったハードルを乗り越えて、NTT人間情報研究所が「ウインドサーフィンシミュレーター」を開発している。まずはカメラや傾き・速度といったセンサーに加えて、LTEでの通信が可能なモジュールを開発。そのモジュールをウィンドサーフィンのマストやボードに取り付け、海上からリアルタイムでデータを送信している。

マストに装着するモジュール

 陸上では、そのデータを元にウィンドサーフィンのボードとマストの傾きを再現できるシミュレーターを設置。海上で走行するプロウィンドサーファーが操作するボードの動きを、リアルタイムで体験できる。

ハーネスをつけて、ブームにぶら下がった状態を体験できる

 シミュレーターの映像は本来だとHMD(ヘッドマウントディスプレー)を使って、より没入感のあるリアルな体験が可能だが、今回は屋外ということで、通常のディスプレーでの再生となっていた。ちなみに説明員によると、屋外でのHMDは外光が影響して想定どおりに動作しないためとのこと。

本来はHMDを使うため、よりリアルな感じになるとのこと

 また会場そばの駐車場には、ドコモの移動基地局車を配置し、シミュレーターへのデータ送信は5Gを経由していた。海上のウィンドサーフィンからのデータ送信も、低遅延がウリとなっている5Gにしたいところだが、バッテリーと通信エリアの問題で、現状は4G/LTEの通信を使用しているそうだ。

会場近くに移動基地局があり、シミュレーターの通信に活用

 リアルタイムのデータではなく、収集したデータを元にウィンドサーフィンの動きを再現した状態のシミュレーションを体験してみたところ、かなり本物の動きに近い印象。筆者はウィンドサーフィンの経験が多少あるが、セールの引き込み具合こそ再現はできてはいないが、ボードのヒール・アンヒール(傾き)や風によって変わるマストの動きが映像としっかりリンクしていて、かなりリアルに感じた。

実際のボードの動きを再現して動く

セールの動きもシミュレート

 マリンスポーツでのICT導入が進むことで、競技者のレベルだけでなく競技人口の拡大にもつながるので、今後の展開に期待したい。

ウィンドサーフィンを含むマリンスポーツでの一層のレベルアップに期待

海上には冠スポンサーとしてANAのブースもあり、同社の2階建て巨大旅客機A380の模型も展示

大会副会長が京浜急行電鉄 取締役社長 川俣幸宏氏で、海上最寄り駅も京急の津久井浜駅ということで、開会式にはマスコットのけいきゅんの姿もあった

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