クラスターと近鉄不動産は、連携して実施するという「バーチャルあべのハルカス」についての発表会を11月9日に実施した。
大阪リアル会場(あべのハルカス)/バーチャル空間会場で同時開催された本発表会。東京のメディア関係者の多くがメタバースプラットフォーム・clusterのバーチャル会場より参加していた。
本発表会では、「バーチャルあべのハルカス構想」および将来の展開の説明、そしてバーチャルあべのハルカス制作内容の説明などが行なわれた。
バーチャルあべのハルカス構想とは
「あべのハルカス」を舞台にリアルとバーチャルを融合させ、新たな「街づくり」の可能性を追求していくというバーチャルあべのハルカス構想。
自社プラットフォーム・clusterで多数のイベント開催実績やバーチャルコミュニティーを構築してきたバーチャルに強みをもつクラスターと、あべのハルカスを運営するリアルに強みをもった近鉄不動産が連携して実施される。
バーチャルでのデータ分析をリアルに活かす
本構想では、リアルとバーチャルを連携し、駅・百貨店・ホテル・展望台など多様な業種に応じたビジネスモデルの実証実験することが発表された。
あべのハルカス近鉄本店や大阪マリオット都ホテル、ハルカス300(展望台)など、同施設には多種多様な業種の施設が入っている。
またバーチャル空間のcluster内では、なにに興味を示したか、なにを購入したか、どこに移動したかなどの「見る・動く」のデータが保存できるという。
そこで本施策では、リアルと同じ施設をバーチャルあべのハルカス内に設けることで、リアルでは収集できない、詳細な動的データが取れるとしている。
たとえばバーチャル上で百貨店などを創り、そこでなにを買ったか、なにを選んだなどのデータを実際に反映することができるということになる。
インキュベーションスペースの提供
構想の2点目は、自由に創作できるインキュベーション機能をもったスペースを提供すること。
これはバーチャル/リアルともに、クリエイターや若者を集め、同じ価値観を持ったユーザーの交流スペースを作ることで、そこから新たなモノづくりを推進していくという考え。
クラスターの加藤CEOは「リアルとバーチャルが連動したインキュベーションスペースは稀有であるとしつつ、バーチャル空間だけだと(そこで終わってしまう)限定的なクリエイションが、実際にリアルに現れたりすることで新たな価値を生み出す」とコメントしていた。
バーチャルあべのハルカスは2023年3月にオープン予定
発表の最後で加藤CEOは、本施策をバーチャルあべのハルカスだけで完結するのではなく、さらに広げていく考えを明かした。
クラスターと近鉄不動産がつくるものを楽しんでもらうだけでは不完全だとし、「つくる体験」と「コミュニティ」をキーワードにバーチャルを巻き込んでいくことで新しい「街づくり」をしていきたいと語った。
近鉄不動産も、あべのハルカスを題材にした「都市型メタバース」の構築に続き、将来的には、「観光型」・「郊外型」など「沿線全体」のメタバース化を図っていくとしている。
なお、本発表はキックオフという位置付けで、構想についての詳細な具体案については今後発表されていくとしている。
リアルとバーチャルの融合ということで大規模なプロジェクトとなりそうだ。続報を待ちたい。