経済産業省の西村康稔大臣は、10月中旬に、熊本県内に建設しているTSMC(台湾積体電路製造)の半導体工場を視察したという。
「投資規模は約1兆円。10年かかる工事を2年でやっていると言われた。ものすごいスピードでやっている」と西村大臣は語る。
西村大臣は、3年ぶりに幕張メッセ会場でのリアル開催が行われたCEATEC 2022のオープニングセレモニーに駆けつけ、来賓として挨拶。そこに、直前に視察した熊本の半導体工場建設の内容を盛り込んだ。
TSMCが設立したJapan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)による工場建設の総投資額は86億ドルで、政府は最大4760億円の補助金を拠出する。出資には、ソニーセミコンダクタソリューションズおよびデンソーも名前を連ねている。
生産開始は2024年12月の予定だ。
「九州地域では、関連する中堅中小企業の投資意欲が出ており、人材育成に対する意欲も高まっている。若い人に、半導体が持つ魅力を伝え、関心を高めたい」とする。
従業員1700人のうち1200人を地元で採用する計画であり、さらに、半導体生産に使用される部材などは、50%以上を国内から調達する計画だ。そして、熊本大学は、2024年春から、半導体人材を育成するための学部として、「情報基盤融合学環」を設置することを発表している。周辺の都市開発の検討も進んでおり、九州を震源地として、日本の半導体産業の復興ののろしがあがっている。半導体産業にとっては久しぶりに明るい話題が目白押しだ。
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