最新パーツ性能チェック 第386回
ゲーム&クリエイティブ性能を検証。ねらい目はCore i5?
ゲームでRyzen 7000と対決!Core i9-13900K/Core i7-13700K /Core i5-13600K速攻レビュー【後編】
2022年10月20日 22時00分更新
AI処理も全体的にスピードアップ
最後にAI(GPU)を利用した処理におけるパフォーマンスをチェックしよう。まず試すのは、「Topaz Gigapixel AI」だ。800ドット四方のJPEG画像を30枚読み込ませ、それを3200ドット四方にアップスケールしつつAIで超解像処理を施しながら出力する時間を計測した。学習モデルは“Very Compressed”を選択している。AIプロセッサーはGeForce RTX 3080を指定し、メモリー使用量も最大とした。
AI処理はGPUが行うためCPUは添え物のようは存在になるが、それでもCPU性能の差はキッチリと出ている。同じCore i5でも、第12世代と第13世代では処理時間に20秒近い差がついている点に注目したいところだ。
続く「Topaz Video Enhance AI」では、1280×720ドットのMP4動画(30秒)を読み込ませ、これを“4K UHD”、即ち3840×2160ドットにアップスケールしつつ超解像処理を加える時間を計測した。学習モデルは“Artemis High Quality”とした。
ここでも第13世代CoreはRyzen 7000シリーズよりも安定して速いことがわかる。先ほどの静止画30枚では差がせいぜい20秒程度と小さかったが、こちらでは30秒の元素材に対して1分以上の差がついているため、より強力な第13世代Coreを選ぶメリットは十分にあるといえるだろう。
まとめ:Ryzenに比肩する性能を獲得するも、
発熱や消費電力増大は大きなマイナス要素
以上で第13世代Coreのレビューは終了だ。Ryzen 7000シリーズに奪われたCINEBENCH番長の座を奪還したものの、処理によってRyzenに大きく負けるものもあれば、差がない場合もあり、快勝とは言えない状況だ。
Core i9-13900Kはパワーと引き換えに消費電力の著しい上昇、さらには高負荷時の発熱と問題が多い一方で、Core i5-13600KはCore i9-12900Kと同等以上の性能を発揮し、さらにRyzen 7 7700XやRyzen 5 7600Xに対しても良好なパフォーマンスを見せていた。5万円台という価格も考慮すると、筆者の中でのCore i5-13600Kの評価は極めて高い。円安&コスト高の影響をあまり受けていないZ690マザーボードと組み合わせることをオススメしたい。
しかし問題は、360mm水冷でもサーマルスロットリングを出してしまうCore i9-13900Kだ。もちろんこれはMTP常時無制限運用というテスト条件にあることも確かだが、ではパワーを絞れと片付けてしまうのも何か違う。
サーマルスロットリングも含めての制御と考えられなくもないが、サーマルスロットリングを安全弁にするという精神的な障壁は大きい。できればRyzen 7000シリーズのように、温度や電力などのパラメーターでキッチリ管理した上でのフルパワー運用が可能な仕組みが欲しかった。この状態では、来年登場予定の“Special Edition”は一体どうなるのだろうか?
この連載の記事
-
第458回
自作PC
Arc B580のRTX 4060/RX 7600超えは概ね本当、11本のゲームで検証してわかった予想以上の出来 -
第457回
自作PC
インテル新GPU、Arc B580の実力は?AI&動画エンコードは前世代より超強力に -
第456回
デジタル
「Ryzen 7 9800X3D」は高画質設定でも最強ゲーミングCPUであることに間違いはなかった -
第455回
デジタル
「Ryzen 7 9800X3D」が最強ゲーミングCPUであることを証明する -
第454回
デジタル
性能が最大50%引き上げられたSamsung製SSD「990 EVO Plus」は良コスパSSDの新星だ -
第453回
デジタル
性能も上がったが消費電力も増えた「Ryzen 7 9800X3D」最速レビュー、AI推論の処理速度は7800X3Dの約2倍! -
第452回
自作PC
Core Ultra 200Sシリーズのゲーム性能は?Core Ultra 5/7/9を10タイトルで徹底検証 -
第451回
自作PC
Core Ultra 9 285K/Core Ultra 7 265K/Core Ultra 5 245K速報レビュー!第14世代&Ryzen 9000との比較で実力を見る -
第450回
デジタル
AGESA 1.2.0.2でRyzen 9 9950Xのパフォーマンスは改善するか? -
第449回
デジタル
Ryzen 9000シリーズの性能にWindows 11の分岐予測改善コードはどう影響するか? -
第448回
デジタル
TDP 105W動作にするとRyzen 7 9700X/Ryzen 5 9600Xはどの程度化ける? レッドゾーン寸前を攻める絶妙な設定だが、ゲームでの効果は期待薄 - この連載の一覧へ