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デバイス×ソフトウェア「Sonar」で広がる可能性、バッテリー交換式で駆動は無限大!

ハイエンド志向のゲーミング用でこれ以上のヘッドセットは登場するのか? と思える完成度「Arctis Nova Pro Wireless」レビュー

2022年10月12日 17時00分更新

文● Okano 編集●八尋/ASCII

手元で完結できる「GameDAC Gen2」

複数の入力を切り替えられるDAC「GameDAC Gen2」

 バッテリーの充電器を兼ねている「GameDAC Gen2」では、複数の入力を切り替えられるほか、イコライザーの設定を行なうことができる。2.4GHzのサウンドもこちらとヘッドバンドでやりとりしている形だ。

 ボタンを兼ねたダイヤルと、タッチ式ボタンがついたシンプルなデザインのDACも質感が高く、ダイヤルの回転も適度にスムーズで、ハイエンドモデルであることがひしひしと伝わってくる。

 Dacには、パソコンやPS5などをで2つ入力(USB Type-C)することができ、音の切り替えのほか、音の調節もDacに搭載されたダイヤルで直感的に操作することが可能で、手元で完結できるのが利点だ。とくにフルスクリーン時など、パソコンでゲームをしていると画面は切り替えたくないけど音を調節したいといった場面に便利だ。

背面のインターフェース

2つの接続系統でらくらく通話

 本モデルは、2.4GHzのサウンド(Dacとの通信)と、Bluetoothの2系統の接続方式を持っている。本体には通常の電源ボタンと、Bluetooth用のボタンがあるのはこのためだ。つまり、スマートフォンやタブレットなど、Bluetooth対応機器に接続して通話などを行ないつつ、パソコンやコンソールハードでゲームをできるということになる。

2.4GHzに加えBluetoothでも同時に接続可能

 とくに、9月に発売された『スプラトゥーン3』などに代表されるNintendo Switchは、本体の基本的な機能としてのボイスチャット機能などは備えていない。スマートフォンを介して実現はできるが、やはりDiscordやLINE通話といった、専用の音声通話ソフトが使えない。だが、Arctis Nova Pro WirelessでNintendo Switchの音をBluetoothで、パソコンのDiscordの通話を2.4GHzで接続することで、簡単にミキシングして1つのヘッドセットで完結できる。

各種ボタンもしっかり搭載

新開発のパラメトリックイコライザー「Sonar Audio Software Suite」

 ゲーマー向けとしては世界初となるパラメトリックイコライザー「Sonar Audio Software Suite」により、ゲーム、ボイスチャット、マイクのサウンドを制御することができる。これは、SteelSeriesが提供するソフトウェア「SteelSeries GG」に同梱された「Sonar」にゲームの音・ボイスチャットの入出力の音をとおすことで、それぞれの音を事細かに調整することができるというものだ。

「Sonar Audio Software Suite」

 例えば、ゲーム音であれば最適な周波数を調整して、重要なサウンドを聞きやすくすることができる。『Apex Legends』や『Forza Horizon5』などのメジャーなタイトルはプリセットも用意されているので、まずはプリセットを試してから、自身の好みに設定していくのがおすすめだ。

ゲームタイトルによっては最適なプリセットが用意されている

 とくにFPSにおいて、音の取捨選択は大切であり、足音や銃声、窓ガラスの割れる音やアビリティーを放つ音など、敵の行動によるサウンドは重要であり、これらを聞きやすくなるのはありがたい。実際にApex Legendsで試してみたところ、遠くにいる敵の足音が聞き取りやすくなったように感じた。

 また、音の定位もとても正確に感じ取ることができ、レインボーシックス シージといった複数のフロアが存在するタイトルでは、音の左右だけでなく、上下までも聞きわけることが求められるが、これらもなんなく聞き取ることができた。

 なお、PS5のTempest 3Dオーディオや、Xbox、Windows、HoloLens 2のMicrosoft Spatial Soundといった、空間オーディオにも対応している。筆者はPS5専用ソフト『Returnal』で試したところ、背後にうごめくクリーチャーの音や環境音が全方位から聴こえてくるような表現を感じ、どこになにが潜んでいるかわからない世界の恐怖感が増しているように感じた。

 これらの音を聞き取りやすくする要因の1つが、アクティブノイズキャンセリングだ。外界の音を遮断することで、ゲームの音をよりくっきりと聞き取れる下地を作り出してくれている。静寂の中でゲームの音だけを聞いているイメージだ。トランスペアレンシーモード(外音取り込みモード)に切り替えることもできるので、家族の声や宅配の音を聞き逃したくない場合に活用したい。

 そのほか、ボイスチャットの音声をノイズキャンセリングしてくれたり、コンプレッサー(音の強弱を自動で調整してくれる機能)をかけられたりと、「Sonar」にはさまざまな機能が備わっていて、どれも便利で試したくなるものばかりだ。なにより、本機とソフトをインストールするだけで完結する手軽さがいい。

AI搭載のノイズキャンセリングマイク「ClearCast Gen2 マイク」を搭載

 マイクには、AI搭載のノイズキャンセリングマイク「ClearCast Gen2 マイク」を搭載し、キーボードやパソコンのファンなど、周囲のノイズを消音してくれる。とはいえ、マイクの音質はゲーミングヘッドセットとしてはいいくらいの感じで、過度の期待は禁物だ。ただ、マイク部分はイヤーカップ部に完全に収納することができるので、使わないユーザーでも気にする必要はない。

Arctis Nova Pro Wirelessの完成度はかなり高い

 筆者個人としては、デバイスのハイエンド化が進むにつれ、デバイス自体の性能は頭打ちになっていると感じている。その高性能をふんだんに盛り込んだのが「Arctis Nova Pro Wireless」という印象だ。高音質なサウンドとゲームに適した定位、高いデザイン性と上質さを持った付け心地の良い筐体、そして2系統の無線接続と、2つの出力を簡単に切り替えることのできるDacなど、「これ以上の製品は出てくるのか?」と思ってしまう(強いて言うなら伸びしろはマイクだ)。

 極めつけは「Sonar」によるゲーム・ボイスチャットのイコライザーにより、ゲーム内外の便利な機能、つまりゲームにおけるQoLを高めてくれる機能を、「SteelSeries」というプラットフォームで完結することができる。

 SteelSeriesのCEO、エティシャン・ラバーニ氏は、以前国内メディアのインタビューの中で「デバイス自体の性能は頭打ちでも、ソフトウェアと組み合わせることで可能性は広がっていく」と語っていた。それが今回の「Arctis Nova Pro Wireless」と「Sonar」の組み合わせということなのだろう。5万6070円と、相応の価格帯とはなっているが、間違いなくその価値のあるゲーミングヘッドセットといえる完成度だ。

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