ポスト量子暗号ソリューション開発のBTQ と ITRI が次世代半導体技術開発で協力を発表
BTQ
エネルギー効率の高いポスト量子ハードウェアソリューションを開発するため、台湾のITRIと複数年にわたる協力関係を締結
※本報道資料は、BTQ AGが2022年9月7日に The Quantum Insiderで配信したプレスリリースの抄訳です
リヒテンシュタイン、2022年9月7日 ―BTQ AG (本社:リヒテンシュタイン。以下、BTQ)は、デジタルアセットのセキュリティを専門とする量子テクノロジー企業です。この度、ブロックチェーン、テレコム、その他長期的なデータセキュリティを必要とする業界のアプリケーション向けに、エネルギー効率の高いポスト量子ハードウェアソリューションの開発を目的として、世界有数の技術研究開発機関である台湾のITRI (Industrial Technology Research Institute, 工業技術研究院)と複数年の協力関係を締結しました。
BTQは、量子コンピュータを敵対的に利用しようとする脅威に対処するため、以下の3段階のアプローチを開発しました。
BTQは、ブロックチェーン環境内でNIST PQCアルゴリズム(米国国立標準技術研究所が標準化を進めている量子コンピュータでも解読が困難なポスト量子暗号アルゴリズム)をサポートするためのソフトウェア・インフラストラクチャを開発しています。最もスペース効率の良いNIST PQC署名アルゴリズムであっても、ビットコインとイーサリアムでは、公開鍵とデジタル署名が21.2倍と24.3倍のスペースを消費することになります。これらの性能低下は、取引速度、ガス価格、ネットワーク全体の分散化に影響を与え、広範囲に影響を及ぼします。BTQは、圧縮を使用せずにECDSAを新しい標準化されたアルゴリズムに置き換えるよりも何桁も優れたスペースの節約を達成できました。
一方、リソースに厳しい制約がある様々なアプリケーションや市場では、専用ハードウェアソリューションも欠かせません。例えば、一般的にバッテリーで動作するIoT(Internet-of-Things)機器では、エネルギー確保が厳しいため、PQCアルゴリズムを採用することは困難です。ITRIとの共同研究では、PQC計算を高速化するためのエネルギー効率の高いチップを開発することに重点を置いています。BTQとITRIは共同で、従来のフォン・ノイマン型アーキテクチャを捨て、コンピューティングとメモリ要素間のデータ帯域幅の拡大とメモリアクセスの低レイテンシ化をサポートする、いわゆるCIM(Compute-In-Memory)技術の半導体技術を開拓しています。
また、インターネット通信の安全性を確保するために、BTQは標準化団体やアカデミアと協力して、ポスト量子暗号方式の開発、強化、高速化に取り組んでいます。通信ネットワークが5Gシステムに向けて進化する中、IoT機器やインフラプロバイダーから発生する膨大なマシン型トラフィックに対して、信頼性の高い通信が求められています。BTQとITRIの共同研究は、重要なネットワークとそれを通じて接続される数十億のデバイスに対して、エネルギー効率の高い量子セキュアなソリューションを提供することになります。
この共同研究は、PQC計算向けに従来のCPU/GPUソリューションと比較して、1/10以下となる大幅な省電力化を実現するためのハードウェア/ソフトウェアの実現に焦点を当てています。
オリジナルの記事(英語)はこちら:
BTQ & ITRI Announce Collaboration to Develop Next-generation Semiconductor Technology for Post-quantum Cryptography – The Quantum Insider
https://thequantuminsider.com/2022/09/07/btq-itri-announce-collaboration-to-develop-next-generation-semiconductor-technology-for-post-quantum-cryptography/
■ 企業概要
BTQ AG
2021年に創業し、リヒテンシュタインを拠点として、北米・日本・台湾にビジネスを展開して活動。ポスト量子暗号ソリューションを開発提供する企業です。アプリケーションからハードウェアまで幅広いレイヤーでサービスを提供します。
https://btq.li/
本社: Dr. Grass-Strasse 12, 9490 Vaduz, Liechtenstein
■ お問合せ先
日本市場担当:田中香織
email:desk@btq.li (日本語でokです)