GAUDI 2は管理維持の経費削減に効果大
今年5月に行なわれたIntel Vision 2022で、インテルはGAUDI 2を初公開した。といっても詳細はあまり明らかになっておらず、唯一示されたのはNVIDIAのA100と比較して約2倍のスループットを実現できるということだけだった。
A100の2倍というのは新製品としては全然十分ではない(H100の3分の2の性能ということになる)わけだが、ここでHabana Labsはおもしろい見解を出してきた。
昨今のデータセンターでは、ディープラーニングに要するコストがどんどん上がっているとする。理由はより複雑なモデルと繰り返し回数の増加、アプリケーション利用の広がりなどだ。
ところが、GAUDI 2はディープラーニングに要するコストの削減に大きな効果がある、というのがHabana Labsの主張である。要するに絶対性能だけでなく、TCOの削減に効果が大きいとしたわけだ。
GAUDI 2そのものはプロセスの微細化と処理エンジン強化(3倍)、メモリーの容量増加と高速化、ネットワーク強化(100G×10→100G×24)と、猛烈に内部構造を強化したGAUDIといった形になっている。その内部構造が下の画像だ。
TPC(Tensor Processing Cores)が3倍に増やされた以外に、新たにMME(Matrix Multiplication Engine)が2つ追加されている。またHEVC/H.264/VP9/JPEGなどのデコードが可能なMedia Engineも新たに追加された。
ちなみに図には出ていないが、初代GAUDIでは24MBの共有SRAMが搭載されており、これを利用して送受信やTPC間でのデータ共有などを行なっていたが、GAUDI 2ではこれも48MBに増やされている。
GAUDI2が他のAIアクセラレーターと異なることの1つは、マルチチップ構成でのインターコネクトである。制御そのものはホスト(Ice Lake-SPサーバーをここでは念頭に置いている)からPCIeレーンでつながるが、カード同士は100GbEで接続する、という独特の構成である。
なにせ1つのGAUDIから24本の100GbEが取り出せるので、そのうち3本はネットワーク接続用に回すとして、残り21本は丸々余っている。これを300GbE×7構成にして、GAUDI 2同士の相互接続に使う、という構成である。下手な独自インターコネクトを作るより、100GbEを流用した方が効率的と考えたのだろう。
さてGAUDI 2の性能であるが、これはIntel Innovationで示されたものと大差ない。
今回新たに示されたのはスケーラビリティーで、複数枚のカード(初代GAUDIを含む)を利用したケースで、枚数に応じてリニアに性能が増えるとしている。
この連載の記事
-
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ -
第764回
PC
B100は1ダイあたりの性能がH100を下回るがAI性能はH100の5倍 NVIDIA GPUロードマップ -
第763回
PC
FDD/HDDをつなぐため急速に普及したSASI 消え去ったI/F史 -
第762回
PC
測定器やFDDなどどんな機器も接続できたGPIB 消え去ったI/F史 -
第761回
PC
Intel 14Aの量産は2年遅れの2028年? 半導体生産2位を目指すインテル インテル CPUロードマップ -
第760回
PC
14nmを再構築したIntel 12が2027年に登場すればおもしろいことになりそう インテル CPUロードマップ -
第759回
PC
プリンター接続で業界標準になったセントロニクスI/F 消え去ったI/F史 -
第758回
PC
モデムをつなぐのに必要だったRS-232-CというシリアルI/F 消え去ったI/F史 -
第757回
PC
「RISC-VはArmに劣る」と主張し猛烈な批判にあうArm RISC-Vプロセッサー遍歴 - この連載の一覧へ